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今 大変なことが起きています。
ここ数日で 漫画やアニメ、ゲーム、映画、小説、TVのエンタテイメントに到るまで破壊されかねないような東京都の条例が成立寸前です。
コレが通ってしまえば今年の10月から施行されてしまいます。
前から噂にはなっていたのですが、ギリギリの所に来ていることに同業者さん達が気付き、声を上げました。

(記事) 東京都が都議会に提出した「青少年健全育成条例」改正案をめぐり、波紋が広がっている。改正案では、マンガやアニメのキャラクターを想定した「非実在青少年」という概念を新たに設け、内容によっては「不健全図書」に指定することができるようになっているほか、ケータイのフィルタリングについて、事業者に努力義務を定めている。
http://www.j-cast.com/2010/03/12062216.html?p=all


昨日 都庁内で行われた「非実在青少年」規制の緊急集会に行って参りました。
緊急集会には漫画家の里中先生、永井豪先生。竹宮先生、ささや先生や弁護士さん、大学教授、コミックマーケット代表などが参加、この成立寸前の条例がいかに危険で、創作活動を脅かすものであるかの 記者さんたちの質疑も相次ぐ中 真剣なアピールが続きました。

私も 最初はこの条例のことを なんとなく知ってはいたものの、「児童ポルノ規制」に伴って出てきたこともあり、アタマから反対というわけにもいかず「もすこし勉強してから考えよう」などと あまり内容も把握せず呑気に構えていたのです。

ところが… 友人などから「大変なことになりそう。もう今月中に条例が通ってしまいそう」と聞き、あわててネットで情報を頭に入れ、とりあえず正確な状況を把握したいと集会に駆けつけました。
去年のメディア芸術センター設立の委員をした時、理不尽な事でも通ってしまう政治の世界の恐ろしさを経験したからです。
定員100名の会場は入りきれないほどの人で溢れていました。

集会で里中先生が「たった一人の正義を全ての人に押しつけようとすることの危険」をおっしゃっていたのですが、確かに「児童ポルノ」には被害者がいて問題だし 許しがたいことです。
制作した側を罰したり 間接的に荷担したことになる買う人間も処罰する必要もあるのでしょう。
でもそれに乗じて、架空のキャラクター達も処罰の対象に含めてしまおうという この乱暴さ!
18才以下に見えるキャラクターたちを使ってが性的に興奮したり妄想させたりするような描写のある漫画、アニメ、ゲーム、映画、図書(もちろんコミケも)は全て「悪」。
ほとんどの漫画やアニメ、ゲームなどがこれに入ってしまいます。
描くことも 買って所持することも処罰の対象って… 
私の過去の原稿も捨てろって事ですね?

どの時代の魔女狩りですか?

「青少年を守る」が どうして年頃の関心のほとんど全てを占める 妄想を禁じる方向に走るのでしょう?
その年頃に妄想しないで きちんとした大人に成長するとは とても思えません。
恋愛と性的関心はセットになっているのに 片方を無いモノにするなんて とうてい無理なのに。
色々なキャラクターに感情移入することによって 自分と違う他人の心の動きを学んで 恋愛スキルを磨いたりもできるのです。

また表現の自由をそぐ形で、ポルノ的な表現や販売禁止に力を入れている国ほど 青少年の強姦事件の発生率が高いということも、因果関係をよく考えて欲しいのです。


ある人が 都に電話して「16才の少女が30才の男性と恋愛をしてセックスする描写のある漫画は 条例にひっかかりますか?」と質問したら
職員は「条例の文章どうりに運用すれば 引っかかると思いますが」と応え
「すごく真剣な恋愛でもですか?」と また問いつめたら
「真剣な恋愛については 条例が通ってから、その役目の人たちが決めるでしょう」と応えたというエピソードが紹介されました。
。。。。。。

今回のことで ある都議さんの秘書の方と電話でお話できたのですが、「そんなに広範囲にわたるわけないし、細かい事はマンガ家さんにも委員に入ってもらって、決めますから」とおっしゃるのです。
今回の条例の中身は とても偏った価値基準のPTA団体や宗教団体、警察関係の人たちが決めたモノのようです。
広範囲を含む危険のある条例が通ってしまった後で、その 漫画を理解できるかどうかもわからない数人の人が善悪を決めて 処罰の程度を決めてしまえるということなのです。
それこそが本当に危険なことなのに。

もう恋愛少女マンガとか みんなダメな可能性があるのです。 「萌え」も禁止。

「でも要するにあまりエロっぽく 描かなければいいだけの話でしょ?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。自主的に規制すればオッケーとも考えられるかもしれません。
でも出版物を18禁に指定されるのを恐れて 出版社も作者もグレーゾーンに近づくまいと 表現を大幅に制限して描くようになることは目に見えています。
そして「良い子のマンガ」を目指したら  日本のこの分野が築いてきたクオリティと魔法は消え去ります。
影響は はかりしれません。
健全で清潔な場所に 創作の神様はいないからです。

条例推進派や普通の方達は「内容があって良い漫画」と「悪くて下品で下らない漫画」にきれいに分けられると思っている節があります。だからこそ「条例を作れば自然淘汰的に良い漫画だけが残り、良コンテンツを堂々と輸出できていいでしょう」などとおっしゃるのです。

とんでもない誤解です。
両者は互いに混じり合っており、「悪くて下品で下らないからこそ 人生が見えてきて心を打つ」という作品も多いのです。

世界中にオタクを誕生させた日本のメディアパワーは 規制のない混沌とした中から出てきたもの。
小説や映画と同じように、いえ それ以上に多種多様の作品があふれ、同人誌も含め膨大な数の人たちが漫画を描き、ピラミッド構造になったその人材の豊かさが、頂点に来るベストセラー作家を生み出してきたのです。
善も悪も醜さも笑いも すべてを併せ持った世界だからこそ、他の分野や世界に類のないものとして影響を与え、世界中の人を引きつけてきたのです。

そもそも3年くらい前にアメリカの高官が「ポルノ規制しろ」って各政党のトップ呼び出して国会の法案にしようとしたけれど「表現の自由」を保証した憲法上 無理で、それじゃあと 簡単に成立させやすい都条例にコレが来たらしいのです。
出版社や他のメディア産業のほとんどが 東京に集中している以上、この条例は ほとんど国の法律と同じ効果を持ちます。そして首都にならって地方へもこの条例では成立する動きになるでしょう。
憲法違反なのに?

ただでさえ大不況の最中なのに 日本のメディアコンテンツ産業を根こそぎにして どうしようというのでしょう?

とにかく採決をする側の都の議員さんに手紙を出して、反対してくれるよう嘆願するしか 今は方法がありません。
今 この条例を審議している委員会の中では 与党側は賛成。野党側の民主議員が全部法案可決に反対しても過半数に満たず、 民主自体もきれいに可決反対で意見がまとまっているわけではないという状況なようです。

また弁護士さんが仰っていたのですが、この条例に賛成する側はメリットになる(「自分は児童ポルノに反対して法案を提出しました」と選挙で売りにできる)けれど、「表現の自由を守れ」という反対派の議員さんはデメリットを覚悟しなくてはならない、と。

表現に係わっている私でさえ、最初「この条例は本当に悪いモノなのか?」と疑ったように、悪い部分を証明するためには 丁寧な説明と 理解できるだけの受け手の知識が必須で、それがない有権者に理解してもらうのには とんでもない労力がいるからです。
ですから勇気を振り絞って反対票を投じてもらうためにも「自分の後ろには こんなに支持してくれる都民がいる」と感じてもらう必要がある、と。

一人でも多くの方に このことを知ってもらい動いてもらうしか この条例を阻止する方法はありません。
今 一斉に漫画関係の友人達や出版社も、情報の拡散のために動き始めています。
どうか私たちが生み出してきた文化を守るためにも、そしてこれからの日本の活力を奪わないためにも どうかご協力をお願いいたします。


【東京都青少年健全育成条例改正問題のまとめサイト 】
http://mitb.bufsiz.jp/

【IT media news】
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/09/news103.html

【無名の一知財政策ウォッチャーの独言】
http://fr-toen.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-cbc1.html


*都条例案は 全国から抗議のファックスや手紙が凄い数 届き、6月に審議続行になりました。けれど決して廃案になったわけではなく、推進派は2ヶ月の準備をして臨むものと思われます。
引き続き この条例がこのまま通ることのないよう、ネットなどで情報を得て 監視し続け反対表明する必要があります。
私もちょうど仕事の切れ目だったこともあり、10通近く手紙を出しました。(^_^;
抗議した方たちの手紙は 自分の文章で素直に意見を表明した手紙が圧倒的で、それが議員さん側を「これは組織で動いているのではない」という驚きを引き起こし、審議続行の流れになったようです。

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さいとう ちほ
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