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Final Magazine vol4 〜#45 鈴木 將一郎〜 アメフトのフィールドをサバンナに例えるなら、 爆発的なスピードで獲物へと襲いかかるこの男は正にチーター。 狙われた獲物が逃れる術はない。 アメフトは11人のプレーヤーが決められたアサイメントに基づいてプレーする 知的なスポーツだが、 この男がフィールドで躍動する時、 そこにいるのは”狩りの時間”を楽しむ獰猛な肉食動物だ。 昨年は日本代表にも選出されたFRONTIERSで1、2を争うビックプレーメーカー、 ”野生児狩人”#45鈴木將一郎は苦悩していた。 しょういちさんは奥さん(真理美さん)との間に2人の息子さん ≪將虎(まさとら)君、大凱(たいが)君≫を持つ2児の父親だが、 タイトルにある親父とはしょういちさん自身のことではなく、 しょういちさんのお父さん(幸男さん)のことだ。 スポーツマンだった幸男さんは学生時代にテレビで見たアメリカンフットボール という競技に 衝撃を受け、大学でプレーすることを志した。 アメフト部がある東海大学へと進学したが、諸々の事情で、違う道へ進むことと なる。 中学時代、陸上で走り幅跳びをしていたしょういちさんだが、 陸上選手として行き詰まりを感じていた。 そんな時、幸男さんがしょういちさんにアメフトをやってみないかと勧めた。 自分が青春時代に強く興味を持ちながら、 プレーすることなく終わってしまったアメリカンフットボールという競技。 その夢が息子へとバトンタッチされた瞬間だった。 新しい競技への挑戦を決意したしょういちさんは足立学園へと進学する。 高校時代、RB,TE,OL,LBと様々なポジションを経験したしょういちさんは、 OLとして専修大学のコーチの目にとまった。 そして”少数精鋭のアスリート集団”として知られる専修大学へ入部する。 以下の記述は専修大学に対する個人的な所感となるが、 私はこのチームのフットボールがとても好きだ。 何が好きかというと、ノリだ。ノリ、言い替えれば声を出すということは、アメ フトにおいて重要だ。 攻守とも、シュンとなっているチームにモメンタムは決して来ない。 専修はOff,Def共に常に盛り上がってプレーしていたイメージが強い。 特に伝統的にDefが良いが、ピンチの場面でもその状況を楽しんで、 チャンスへと変えているようにすら思える。 しょういちさん曰く 「人数が少ない分、一人一人が声を出して盛り上げないと相手に飲まれてしまうので、自然にみんな声を出している」とのことだ。 しょういちさんもその例外に漏れず、よく声を出す。 初めてしょういちさんに会ったのは実は私が大学1年時の専修大学と猛暑の中の 合同練習なのだが、 「おら、おら、慶應どうした〜!もうばてちゃったのか〜!」 と煽りまくっていたのを鮮明に記憶している。 3年の春にチーム事情によりOLからLBへと電撃的なコンバートが慣行された。 チームメイト、しょういちさん本人共にこのコンバートに衝撃を受けたが、 高校時代に経験していたこともあり、野性味溢れるプレースタイルはディフェンスで開花した。 そしてそのLBの実績が買われ、FRONTIERSへと入部することとなる。 昨年の7月に、第3回アメリカンフットボールワールドカップ2007川崎大会が開催された。 富士通FRONTIERSからは、米山さん(#80WR)、平井さん(#13DL)、 そしてしょういちさんが出場した。 大会の注目は ”2大会連覇している日本が、今回から参戦する本場米国にどう立ち向かうか” その一点だったといっても過言ではない。 そして予想通り日本と米国が決勝で対戦することとなる。 結果はオーバータイムまでもつれた末、20対23の惜敗だった。 私も会場で観戦していたが、二回り程体の大きなアメリカに対して日本は奮闘していたと感じたし、最後は観客が一体となった正にワールドカップ決勝にふさわしい試合だと思った。 だが、実際にフィールドで戦ったしょういちさんは、 試合結果以上の実力の差を実感していた。 「もちろん体格は劣っているし、身体能力もアメリカの選手は高い。 けど、俺が感じたのはそういうものを抜きにしての圧倒的なBASICの差だった。」 ”BASIC”すなわち、ブロックやタックルといったフットボールのエッセンスとなる部分だ。 「スピードだけはある程度通用する実感はつかめたけれども、 ディフェンダーとして一番重要なタックルはまだまだだと痛感させられた。」 打倒米国という目標を掲げて一致団結していた日本代表。 常にピリピリした雰囲気で練習から各選手が最高のパフォーマンスを見せていた という。 決して口にはださなかったが、 代表からFRONTIERSに帰ってきてチームのスタンダードの差を感じたそうだ。 「FRONTIERSには代表に選ばれてもおかしくないすごい選手がいっぱいいる。 けれどもチームでやると決めたことをやらない人がいたり、 ムラがあったりして、スタンダードの差は歴然としている。 自分は口であれこれいうタイプではないので、 常にプレーでひっぱってチームのスタンダードを上げられる存在でありたい。」 若手が多いFRONTIERSにおいては、 中堅からベテランと呼ばれるポジションに移ろうとしているしょういちさん。 その言葉からは、自分がやらなければという責任感がひしひしと伝わってくる。 11人のオフェンダー全員がアサイメント通りにプレーできれば全プレータッチダウンだ。 だが11人のディフェンダー全員が全力でパシュートした時、 決して一発タッチダウンは 起きないといわれる(ロングパスは除いて)。 パシュートは気持ちさえあればだれでもできるし、 コースを変えることによって能力も関係ない。要は気持ち次第である。 だが常に全力でパシュートするということは口でいうほど簡単な事ではない。 米国では守備選手の評価基準として パシュート能力が一つの重要なファクターとして位置づけられていた。 前項で記述したスタンダードの中でしょういちさんが特に意識しているのが このパシュートだ。 パスラッシュで猛然とQBへ襲い掛かるしょういちさんのインパクトは大きいが、 逆サイドから倍速でキャリアーへと迫ってくるパシュートもまた彼のプレーの魅力の一つだ。 何より日本代表に選出された時、 ディフェンスコーチから告げられた選出理由がパシュート能力の高さだった。 しょういちさんのパシュートに対しての認識はディフェンダーとしてのあるべき姿勢だと私は思う。 「パシュートは調子がいいとか悪いとか関係なく、気持ちさえあればできる。 相手も関係ない。今シーズン特に自分のプレーが納得できなくて、 悩むこともあるけどそういう時こそパシュートだけはしっかりやろうと意識しているよ。」 冒頭で苦悩という表現を使ったが、今しょういちさんの中では様々な葛藤が渦巻いている。 ディフェンスのシステムが変わって、うまく対応しきれていない自分がいる。 故障も後を絶たない。 仕事も今年から急激に忙しくなった。 若い時はがむしゃらに思いっきりやれば周りがフォローしてくれるという感覚があった。 だが、今は自分がやらなければという責任感からミスを恐れてしまう。 そして何より、煮え切らない自分のプレーを何かのせいにして、納得しようとしている自分が許せない。 フットボールを始めてから14年、しょういちさんは初めて大きな壁にぶつかっている。 そんなしょういちさんにとって大きなモチベーションとなっているのが 植木さん(#26SF) の存在だ。 2年連続でオールXに選出されたハードヒッターは、 そのパフォーマンスのみならずフットボールに対する姿勢でも群を抜いている。 「アメフトに対してあんなに貪欲に向上心をもって取り組める植木を尊敬している。 ”ライバル”は漢字で”好敵手”書くけど、 どこか好きというか尊敬できる部分がないとライバルとして認められないんだと思う。 そういう意味で植木は俺の最大のライバル。」 何かを変えたくて、今年からクロスカントリーを始めたのも植木さんの影響だ。 葛藤を率直に吐露してくれたしょういちさんだが、最後には力強くこう語ってくれた。 「今はいろんな意味で試練の時だと思う。 けどこれを乗り越えれば、その先に絶対何かが見えてくると思う。 応援してくれる家族のためにも絶対にやってみせる。」 私はこの言葉を聞いて、秋のシーズン鳥肌の立つようなビックプレーを連発する#45の姿を 想像せずにはいられなかった。 ■今井主将からのしょういちさんへのコメント 私なりにしょういちろうさんについて少しコメントしたいと思います。 プレーはもちろんのことフロンティアーズ中で、精神的にも頼りになる存在のしょういちろうさんは、私にとってもアメフトや私生活の様々なことを相談できる先輩の一人です。 いつでも真剣に話を聞いてくれ、素直に自分の意見をいってくれる。 プレーからは猛獣の様な人とイメージしてしまうだろうが、 しっかりとした考えを持ち、自分の道をしっかり歩いている魅力的な人だと感じます。 もうすぐシーズンも始まります。 「どんなプレー、活躍を魅せてくれるか」 チームメイトとしてとても楽しみです。 そして目指すは日本一・・・ ◆次号!しょういちさんからご指名いただきました!!!
ヒントは、「プレーの嗅覚ピカいち、FRONTIERSディフェンスのいぶし銀」 乞うご期待を!!! |
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