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Final Magazine vol.9 〜#56 高崎 康宏(たかさき やすひろ)〜 (写真提供:チームカメラマン 池田 理氏) 1990年、柔道日本選手権無差別級で一人の男が観衆の度肝を抜いた。 ”平成の三四郎”こと古賀稔彦選手だ。 体重70キロで100キロ超級の選手を一本背負いで投げ飛ばして勝ち進んだ。 決勝こそ、後の”格闘王”小川直也に敗れるが、 まさに柔よく剛を制すの美学を体現した大会だった。 富士通沼津工場で行われた今年の夏合宿。 タイトのやぐらからOL対DLの1ON1を撮影していた私の目に飛び込んできた光景は、 それに匹敵するインパクトがあった。 FRONTIERSのDLは決して大きいとは言えないが、 それよりも一回り小さなOLにドライブされている。 DLがやられた時、「いいぞ、高崎!!」という大野OLコーチの声を聞いて、 初めてそれが誰なのか認識できた。 先日のシルバースター戦、対面の130キロ超級のDL相手に勇猛果敢にドライブし、 完全にコントロールしていた姿はまさに、アメフト界の千代の富士。 秋入社の遅れてきた新人、”スパーク”#56高崎康宏だ。 100キロにも満たないサイズから生み出される 爆発力のあるヒットの秘密と、新人としてのチームへの想いを聞いた。 アメフト選手が過去の経歴スポーツの統計を計ったら何が多いのか分からないが、 陸上出身の選手がその走力を生かしてレシーバーをやったりするのはよくある話である。 高崎は中学時代陸上の短距離選手で、100mを専門にしていた。 本人は、それほどストイックに取り組んでいなかったと謙遜するが、 高崎がドライブする時の強烈な足の回転数を見ると、陸上出身というのがうなずける。 高校はアメフト部のある東京の佼成学園に入ったが、特に部活には入らず、 バイトをしながら日々を送っていた。 一年が過ぎようとしていた時、高崎は突如アメフト部に入部する。 友達がいるわけでもないのに、中途半端な時期に未経験の部活に入部するというのは、 かなり勇気のいる行動である。 このタイミングでいきなりアメフトを 始めた明確な理由は本人にも分からないそうだが、恐らくアスリートの血が騒いだのだろう。 入部するやいなや、ラインとしてOLとDL両面で活躍して※トップボーイにも選出された。 そして推薦で日大へと進学する。 ※アメフト専門誌「TOUCHDOWN」が選出する関東、関西の優秀な高校選手100名。 日本大学フェニックス。 故篠竹幹夫監督が日本のアメフト界に遺した功績は、私などが語るまでもなく計り知れない。 計17度の学生王座、3連覇を含む4度の日本一に輝いている。 そんな日大出身の選手がFRONTIERSには9名いるが、 その内篠竹監督と直に接しているのはわずか4名である。 残りの5名は今年の新人で、人工芝の新グラウンド、新体制の元、昨年甲子園ボウル出場を果たし、 再び強豪日大の礎を築いた日大新世代の選手である。 ちなみに、彼らが大学1年の時私(松元)は4年で、 入れ替え戦がかかった秋のリーグ戦最終戦の対戦相手が日大だった。 エースレシーバーの松林を必死でスカウティングしたのを覚えている。 結果は6TDを喫しての惨敗だった・・・。 松林は当時からセンス抜群で、さらにスピードもあった気がする。 人のことは言えないけど、ぜひダイエットをがんばってほしい。 話を高崎に戻すと、当時上級生が少ないということもあり一年時から試合に出場してきた。 その経験値の高さは貴重といえるだろう。 大学時代印象に残っていることについて聞くと、 「4年時のクラッシュボウルが一番緊張しました。法政に勝った時はとてもうれしかった。 逆に甲子園ボウルは会場の長居が味の素スタジアムに似ていたので、 あまり緊張せずにのびのびプレーできました。」と答えてくれた。 WRの#4松林、#25守谷、DLの#92一木、そしてOLの#52高橋、 #56高崎と日大ニュージェネレーション5名の今後の活躍がFRONTIERSの勝敗を大きく左右するだろう。 アメフトにおいてキックオフを除く全てのプレーはC(センター)のスナップから始まる。 逆に言うと、Cがきっちりスナップをだしてやっとプレーが始まるわけで、 スナップミスは練習を重ねてきたプレーを台無しにしてしまう上、 ターンオーバーに繋がる大きなミスだ。 高崎は日大時代からCとして活躍しているが、最初はスナップが全く出せずにとても苦労したそうだ。 スナップと一言にいっても、セットバックのQBに手渡すスナップ、 ショットガンで5yほど後ろのQBに投げるスナップ、パントカバーやフィールドゴールで 12〜15yほど後ろのキッカーに投げるロングスナップの3種類がある。 加えて高崎は※日大特有の7yほど後ろのQBへもスナップしていた。 ※日大黄金時代のショットガンオフェンスはプレーによってQBが、 Cから7〜10yに位置を変えてプレーしていた。その後は7yになり、現在は通常のショットガンの5y。 「7yのスナップの時は両手で出していたので、その後ブロックするのが大変でした。 とにかく素早く正確なスナップを要求されて、監督とアフターで3時間ひたすら スナップをやったこともありました。」 その成果もあってか、 今では”FRONTIERSのクルーン”と呼ばれるほどの高速スナップを投げている。 しかし、本人はまだまだスナップに相当神経を使っているようだ。 「速くて安定したスナップを確実にできているというレベルではないです。 もっと練習して、スナップに全くストレスを感じないようになりたいです。」 他チームではLS(ロングスナッパー)という専門のポジションの選手もいるほど重要なスナップ。 高崎のスナップ技術の向上はFRONTIERSの勝利に必ずや繋がるだろう。 柔道、レスリング、ボクシング、格闘技と呼ばれるスポーツには階級が存在し、 同じ体重の選手が技術を競い合っている。 しかし、アメリカンフットボール、特にラインは格闘技の要素がかなり強いと言えるが、 無差別級の戦いだ。 もちろんチームプレーなので、コンビでブロックしたりサポートしてくれたりするが、 結局は1対1の戦いに勝たなければならない。 Xリーグのトップチームのラインは平均体重で110〜120キロはあるだろう。 そんな中、高崎は90キロ台で奮闘している。 自分より重い相手にヒットで負けないために何を意識しているか聞いた。 「とにかく相手より絶対低く当たることです。そして、当たるポイント。 当たったら足を止めずにかき続ける。 これが一つでもできなかったらサイズのない自分はやられてしまいます。」 さらに#57白木が高崎の長所を指摘してくれた。 「高崎は当たった時のバックアーチがとてもきれいで、力がしっかり相手に伝わっていると思う。」 高崎と同様にLBの新人の#41木下もかなり軽量だが、 ヒットは強く当たった時のバックアーチがきれいで、相手に力が伝わっているのがよく分かる。 しかし、当然ながら高崎は現状のサイズで満足しているわけではない。 「飯はかなり食っているんですが、昔から体重が増えにくい体質なんです。 増やさなくてはいけないのは分かっているんですが・・・。」 高崎にとって当たる相手は常に自分より重い相手で厳しい戦いとなるが、 自分の理想のヒットでスパークしてほしい。 取材を通して高崎の口から出てくる言葉は常に謙虚だった。 OLユニット内で目標とする選手について聞いても、 「直希さん(#75山本)や白木さん(#57)はすごいと思います。 でも、みんな本当にすごい人ばかりで誰とは言えないですね。」といたって低姿勢。 そして最後に抱負を語ってもらった。 「自分はまだまだだけれども、ユニットとして日本一になりたい。 そして、自分がその一員として迷惑をかけないようにしっかりやりたいです。」 安定したスナップとスパークするブロック、 腹筋の割れた新人OLがFRONTIERSの日本一に向けて大きな働きをしてくれるだろう。 ◆編集後記 白木栄次からのコメント。。。◆ 生レバー大好き。(生レバー食べ放題に行くほど) しかも大食いで、早食い。(木村以上の米お化け) これでなんで太りにくいのかが、分からん・・・ 初めて高崎君のドライブを見た時は衝撃的でした。 これは負けてられん!とさらに向上心が湧いてきたのを覚えています。 最強ユニットになって、日本一へ突き進みましょう〜。 次回!!!高崎選手からご指名いただきました!
ついに記念すべき、10人目! 「ゴットハンドを持つ不死鳥・・・」乞うご期待を! |
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