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何かが大きく動き始めている。それが具体的にどういうものなのか、まだ見えてこない。若くて強力な指導性を持った政治家も登場した。しかし彼らは、安穏な時代を生きてきた。これから訪れるに違いない、悲劇的な時代を、そんない旨く、やすやすと乗り切れるか、どうか。少なくとも私にはそう思えない。
きっとケツわるよ。そんなに恰好ようはいかんのよ。ははは。
いつもの調子であの爺は嘲笑っている。
あいつは、人並み以上に、開き直った図太い神経を持ち合わせている。開き直ったと云うより、厚かましい、といった感じだ。
しかしそれが彼の感性なのだろう。
問題は、彼らが頼みとする年代が全く冷めていることだ。
内心彼らは、政治家に転身した芸能人を内心笑っている。外野席の彼らには、そんな大それた野心がないだけだ。しかしその一方で、政界の若きリーダーとして、全く評価していない。
もしろ冷笑している。ただ目立ちたいだけだ。彼らに変な競争心だけは立派にある。だからむしろ冷笑と憎しみの目を持っている。
現在華々しく振る舞っている芸能界から転身組も、国民からは、見透かされている。
まだ老人組はいい。むしろ同年配の若者が、全く冷めている。
そのうちに怒り狂って彼らに牙をむく可能性もある。
そのことのほうがはるかに怖い。
しかもその怖さに彼らが気づいていない。若いだけに、怖いもの知らずなのだ。
全く別な次元から、どんな人間がこれから出現するのか。
ひょっとして、何もかにもかもが間に合わなくて、大きな悲劇や混乱が、人間を全く予想もしない方向に引っ張って行くかもしれない。
今の段階では、全く何も見えてこない。
ただいえることは、なにかとんでもない事態が起きそうな気がする。悲劇をかわすために出現したが、能力のある政治家に出会うことにもなく、結局は悲劇的な結末を迎えそうな気がする。
そんな悲劇の種もまだ見えてこない。
明るい夏の朝のような気がする。
抜け目のない損得勘定と、自己主張とが一緒になって、若い政治家から、自信満々な言葉が吐かれる。
そんな可笑しさを、真面目に報道している、同じ世代のジャーナリストの間抜けぶりを、笑って良いのか、悩んでいいのかとっまどっている。
そんな複雑な夕刻だ。
そうね。そんな風に見えるのかしら。と美香はいった。
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