|
牛乳って雌牛が妊娠して
授乳の為に授かったおっぱいを
人間が掠め取ったものだって
そうだよ乳牛とは
当然と言えば当然だけど
出産後一定期間経過するとおっぱいの出が細くなって
子供が大きくなる頃にはもう出なくなる
おっぱいの出が悪くなった牛に餌を多く与えても
経費が嵩むだけだから
映像とコンピューターでリアルタイムに牛の状態を分析して
配合飼料の内容や量を決めて
適正な時間に適正な量を
与えるコンピューター制御付き飼料供給ロボットが
出来たんだって
そりゃあいいや
いままで4時間も掛かった飼料やりが
15分ぐらいで終わる
酪農経営には画期的な製品だ
栄養の良さそうな酪農家のおじさんが言っていた
NHKの朝のニュースで
広島の原爆記念式典の後だった前だったか
戦争は悲惨だから
14万人からの人間が一気に焼き殺されたから
でも米軍搭乗員の一人はいまでも言っている
あの一発は正当な一発だった
あの一発によって数百万の日米戦争犠牲者が生まれなくて済んだ
数の不正確さを別にすれば言えなくもない
如何なる行為にも製品にも
それなりの妥当性はある
しかし余りにも生きるのが辛いから
こうなったらひと思いに原爆でも水爆でも構わないから
或いはすい星でも衝突してくれて
一挙に人類が消滅してくれたらどんなにすっきりするだろう
そう思っている人間もいる
何処にいるかどれだけいるかは分からないけど
世界中にいることだけは確かだ
いや人間だけじゃない
如何に生命は循環するとはいえ
無理矢理に食わされて生まされて
殺されるために管理されて
剥奪されるために生かされる
そんな牛や馬や豚などの動物がすべて
そうなのかは分からないけど
地球上三千万種の種の中で
人間だけがこんなに増えて
その一方で貧しさも増えて
傲慢にも
人間だけのために地球があると錯覚して
際限もない効率化と拡散を繰り返して
破壊は確かに怖いけど
自死を望む少年や
なんでもいいから兎に角ぶっ壊して呉れと叫ぶ心の荒涼の方が
もっともっと怖いのに
凛と響く少年少女の原水爆反対の声の向こうで
マスコミを意識した政治家の空虚なお題目や
正義に見せかけたスローガンや
駆け引きやはったりや
儀式化したセレモニーの
空しく響き渡る鐘を聞きながら
牛は悲しそうな目をしてレンズを覗いた
牛は何を語りたかったのか
|