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ITを経営に活かす
最終回 第52号(2006/7/3)
情報技術を使って経営革新や業務改革を最高に成功させる実践的な知恵を紹介
ITのソムリエ・デジタリアン 馬場 文康
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目次:
1.失敗は成功のもと
2.コラム:グループコーチング
「未来質問&肯定質問」の巻
3.編集後記
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☆☆★1.失敗は成功のもと
☆★
★
「ITを経営に活かす」は今回をもって最終回となります。
最後ですから、お気楽に失敗にまつわる話をお送り致します。
最近、「失敗学」なるものをマスコミで良く見聞きしますが、
失敗から学ぶことも多いと思います。
今回は情報システムの何たるかも知らない頃の失敗談から話を紐解きます。
それは、あるメーカーの設計部門でのことでした。
設計部門から製造部門へ設計図と共に製造指図書と部品表を送付していました。
設計図は毎回、ほぼ同じものが使用されるので、指示する側の設計部門も、
受け取る製造部門も阿吽の呼吸で流れ作業のごとく進んでいきます。
ただ、製造指図書と部品表は納品物によって若干内容が異なっていました。
製造指図書と部品表には設計上の様々な決りや注意事項があり、
部品どうしで使えない組み合わせがあったり、予め在庫を確認しなければ
ならない部品もありました。
問題は、この製造指図書と部品表に、ときどき間違いがあったり、
変更や追加が日常茶飯事の如く、数多く発生していたことでした。
その度に、現場の流れが狂い、納期に影響を与えたり、品質の悪化を
招いていました。
この状況を改善しようと情報システムを作ることになりました。
設計部門で製造指図書と部品表を入力すると必要なチェックが行われ、
間違いを排除した上で製造部門へ送る仕組みを作ることが狙いでした。
この要件定義を手伝った私は、製造指図書と部品表を書くのに必要な
様々な決りや注意事項を現場で聞き取りながら仕様化していきました。
しかし、調べていくとキリがないほどのルールがあることが分かってきました。
同じ様な部品表でも顧客ごとに少しずつ仕様の違いがあったり、
他の納品物との関連を考慮する必要があったりと大層複雑でした。
また、中には特殊な部品が使われ、設計者が自分で部品を保管しているような
ものまでありました。
要するに例外事項が多すぎて、仕様にまとめるのは一筋縄ではなかったのです。
結局、ルールの大部分は入力者にチェックしてもらうことなりました。
また、製造部門への自動転送に関しても誰が承認するかで一悶着ありました。
正規のワークフローは決まっていましたが、飛び込み対応や代行入力のルールは
部署ごとに若干の違いがあり、ここでも「割り切り」が必要になりました。
結局、部品表を紙に出して、従来通りに印を押して提出することにしました。
完成した情報システムは当初、好奇心も手伝って、使う人もいましたが、
入力が面倒なのと、使うメリットが少ないので、徐々に使われなくなりました。
ルール自体も新しい製品が出る度に、どんどん変わっていきます。
そして、最後には情報システムの存在自体が忘れ去られました。
昔のほろ苦い経験ですが、今にして思えば間違いだらけのプロジェクトでした。
まず、情報システム以前に仕事のやり方そのものに問題があったのです。
例外だらけの設計をそのままにして、いくら情報システムでチェックしても
限界があったのです。
またワークフローを標準化せず、現状のまま認めるという割り切りをしたために
従来通りの個別最適が生き残ってしまいました。
ここでの教訓は情報システムは万能ではなく、情報システムだけで解決しない
問題があるということでした。
◆失敗から学べば、それは成功です
失敗から得る教訓があります。
その教訓を次に活かすことができれば、その失敗は失敗ではなく、
成功であると言えます。
(「失敗は失敗さ」と批評する人もいるでしょうが。)
最近良く聞く「失敗学」で気付いたことは、
大きな事故は小さな事故を重ねるうちに発生するということです。
つまり、大きな失敗というものは失敗全体の氷山の一角にすぎず、
小さな失敗が繰り返されていると、そのうちに大きな失敗が発現する、
ということです。
逆に言えば、小さな失敗は放置せず、早めに対処することで
大きな失敗を回避できるということでもあります。
成功したプロジェクトと言えども、その中には小さな失敗が隠れています。
小さな失敗は早めに見つけ出し、大きな失敗へ発展する前に、
その芽を摘み取ってしまうことが大事であると言えます。
◆失敗の積み重ねはシングルヒット、成功の積み重ねはホームラン
失敗から教訓を得ることは大事ですが、失敗で学ぶことができる教訓は、
「次回、やってはいけない」ことを一つ学んだに過ぎません。
つまり、多くの「やってはいけないこと」の集合体の中の、ほんの一つである、
ということです。
厳密に言えば、「やってはいけないこと」をいくら集めても、
成功する道は見えてはきません。
(実際には、それ程ひどい状況にはなりませんが、...)
一方、成功体験は丸ごと、成功への道であり、次回もそのまま実行すれば
成功する確率が高いということです。
たとえ、どんなに小さな成功であっても、それは貴重な成功体験ですから、
大切にしなければなりません。
失敗したプロジェクトであっても、その中から成功した経験を探し出して、
共有しておくことが大事です。
前述の失敗事例では、大胆な割り切りによって情報システムを完成するところ
まではできた、という一点では成功体験を勝ち得たと言えます。
多くのプロジェクトが日の目を見ることもなく消えてしまうことを考えると
小さいながらも貴重な経験でした。
◆小さな成功を勝ち取る
業務改革はアイデア勝負でもなく、地道な改善活動でもありません。
また前述の事例のように単に情報システムを作れば実現できるほど簡単なもの
でもありません。
たとえ小さくても成功体験を積み重ねることで、ノウハウが蓄積でき、
自信がついて、着実に目標を達成することができるようになります。
そして、やがて大胆で抜本的な業務改革や経営革新ができるようになり、
自らの実力で競争優位を獲得できるまでになるでしょう。
それにはプロジェクトチームが一丸となって持続的に仮説検証を重ね、
継続的に小さな成功を勝ち取っていく過程こそが大事なのです。
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□□■2.コラム:グループコーチング
□■ 「未来質問&肯定質問」の巻
■
人は失敗すると「どうして失敗したんだろう?」と後ろ向き、否定的な質問を
やってしまいます。
過去の行動を振り返り、反省することも大事ですが、それだけでは
前向きで元気な「やる気」は出てきません。
コーチングでは、将来に向かって何をすべきか?
どうすれば成功できるか?、を考えます。
このときの質問が未来質問と肯定質問です。
これは文字通り、未来に向けて肯定的に問う質問です。
目的を達成するために「何をするか?」、「何ができるか?」を
考えることで、創造的な創意工夫が生まれてきます。
様々なアイデアを考える中から、大きなブレイクスルーが生まれることも
あります。
ただし、最初から最後まで未来質問&肯定質問だと、受ける側も変に
気負ってしまい、疲れてしまいます。
(それだけ、脳が刺激され、活性化されているということですが、...)
現状を冷静に見つめ、取りうるオプションを洗い出してから、
未来を肯定的に捉え、自らの可能性を探求することで、
内に秘めている「やる気」を前面に出すことができるのです。
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○○●3.編集後記
○●
●
情報システム開発のライフサイクルに従って、ITを経営に活かす方策を
私自身の棚卸しを兼ねて綴ってまいりました。
この1年もの長い間、私の拙い文章をお読み頂き、心から感謝致します。
ひとまず「ITを経営に活かす」は本号を持って最終回とさせて頂きます。
今後は私の雑多な経験をご紹介しながら、プロジェクト管理や情報システム開発
に関する話題をお送りしたいと思います。
かって、ドイツ帝国を創建したビスマルクは
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」と言ったそうですが、
他人の経験を知ることは、歴史に学ぶことと同義だと思います。
また、ハーバード・ビジネス・スクールのライリング教授は
「賢者は経験から学ぶが、真の賢者は他人の経験から学ぶ」
と述べています。
賢明な読者の皆さんには、ぜひ、私の稚拙な成功事例や失敗事例から
教訓を見つけ出して頂きたいと思います。
ただ、このメルマガのタイトル「ITを経営に活かす」のままでは
失敗談を述べるには少々窮屈ですので、このメルマガも当分、休刊と
させて頂き、流行りのブログで公開していきたいと存じます。
次回以降は以下のブログで続けていきます。
http://blogs.yahoo.co.jp/digitalians_biz
どうぞ、今後もご贔屓にして頂ければ幸いです。
さて、最後になりましたが、ご購読頂き、
ほんとうにありがとうございました。
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