Cafe 『La bussola nella vita』旧舘

紅茶、小説、HMKUについて書いてます♪ こちらは旧舘のほうでございます。詳しくはトップの記事を・…

Breath Dragoon

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Breath Dragoon(25)

「・・・・・・」
口数少なく、4人は荒野を進む。幸い、まだ魔物とは遭遇していないが、まとわりつく霧が彼らの体力をじわじわと削っている。
「・・・ヴェルデ、まだ町にはつかんのか?」
ついに金剛が口を開いた。
「ああ。あと1時間かかるか、かからないかのところだ。」
「・・・あと、1時間・・・」
エミリアがもらしたその言葉は、誰にも聞こえなかった。
「・・・しっかし、これだけなんも出てこんと、さすがにこたえるのう。ここは魔物の巣窟だときいとったが」
「俺もそれは気になってる。気配は確かにあるんだが、姿は見えない。」
確かに奇妙なのだ。前にヴェルデが通ったときは、10分おきに魔物と闘った。それが今では、もう3時間は歩いているのにラプターの1匹でてこない。さすがに奇妙だった。
「何かあるんだろうか?」
「・・・・・・」
振り返って金剛たちのほうを見た。なぜか二人ともヴェルデの後ろに焦点が合っている。セフィがヴェルデの服を引っ張った。
「・・・ヴェルデ、あれ」
セフィが恐る恐る指差す。
ヴェルデはすばやく振り返った。
「・・・!!」
山のような竜だ。そいつが行く手をふさいでいる。まだこちらには気付いていないようだが、このままやり過ごすには近すぎる。
「・・・ヴェルデ、確かあのドラゴンって・・・」
「・・・ああ、俺たちが一回しか退治に成功していない・・・」
「・・・ビリュテクス・・・。深く高い山の主・・・」
茶色をした竜燐を身にまとい、二本の大きな角が特徴だ。その角は様々な物に加工できるが、何せ手ごわい相手だ。討伐はおろか、撃退させるのすら困難だという。
実際に、ヴェルデ達は過去に偶然遭遇し、満身創痍の状態でやっと撃退できたくらいだ。その鱗は硬く、大きな羽で風を操る。その巨体ゆえに飛ぶことは無いそうだが、その分尻尾が脅威になっている。
「・・・みんな、戦闘準備を。どうやら見逃してくれそうに無い。」
ビリュテクスの顔がこちらに向く。
「退治することを考えちゃいけない。あくまで撃退するんだ。」
「・・・わかった。」
エミリアはこれが初めてのドラゴンだろう。だが、案外彼女は平然としていた。
「・・・エミリア、・・・怖く・・・無いの?」
セフィが恐る恐る尋ねる。
「・・・今ここで臆しても、仕方なかろう?」
「・・・そう、だよね。」
「みんな、来るぞ。やつが火を噴いた瞬間に左右に散らばれ」
それを受けて皆が返事をした。
ビリュテクスが口を開け、息を吸い込んだ。
限界まで吸い込んだあと、口をこちらに向けた。口の中は猛った炎であふれている。
「いまだ、散れ!!」
ヴェルデは叫びながら右に転がり込んだ。エミリアも右へ。セフィと金剛は左に転がった。
その僅か後ろを火球が通り過ぎていく。その弾道上は自然に燃え上がり、炎の壁を作った。
「・・・ヴェルデ、私たちに勝ち目はあるのか?」
先ほどの炎を見て、エミリアが信じられないという声を出した。
「ああ、勿論さ!諦めなければ!」
自分に言い聞かせるようにヴェルデが言う。
「とにかく、おれは近付いてやつの腹を叩き斬る!エミリアは魔法と弓で奴の頭を狙ってくれ!」
「わかった!」
二人はビリュテクスのほうに走り出す。同時にエミリアは指輪に向かって詠唱をはじめた。


「大丈夫か、お嬢ちゃん!」
「もちろん!」
ヴェルデ達の炎の向こう側では、転がった金剛とセフィが体制を整えていた。
「金剛さん、ビリュテクスの鱗は剣を通さない。けど、お腹のほうはまだ柔らかいの。そこを狙って!あたしは顔を狙うから」
「お、おう!」
言いながらセフィは今まで入っていたマガジンをはずしてポーチにしまい、薬室の中の一発も取り出し、代わりに違うマガジンを叩き込んだ。
二人とも走り出す。まだビリュテクスはさっきの吐炎の影響で動けないようだ。
炎の向こうのヴェルデとエミリアはもう先に行っているだろうか。
「アロウ!!」
そう思ったとき、炎の向こう側から声がし、1本の赤い光が飛び、ビリュテクスの頭にあたった。
複数回炸裂する。が、あまりビリュテクスのほうにダメージは無いようだ。
(良し、射程に入った)
ローグヴァルキリーを構えて、頭の少し上に狙いをつける。
「いけっ!」
セフィがトリガーを絞る。いつもと違うくぐもったボンという音とともに対象へと飛翔し、着弾して炸裂した。ビリュテクスのほうは爆発の衝撃でふらついたものの、やはり効果は薄いようだ。竜はすぐに体制を立て直し、息を軽く吸い込んでブレスを放った。
「お嬢ちゃん、危ない!」
「えっ!?」
ビリュテクスの放ったブレスは、地面を焼きながらセフィへと向かっていた。
セフィは次弾を装填していた為、遅れて回避に移る。
もう火球は目の前に迫っている。
(間に合わない)
セフィがそう思ったときだ。地面が急激に盛り上がり、土がブレスを防いだ。
着弾した火球はそのままそこで爆発する。
耳鳴りがするものの、土のおかげで何とか無傷だ。
「・・・土出壁」
「金剛さん、有り難う・・・」
「いいってことよ!さあ、それより反撃じゃ!」
「うん!」
再び走り出す。もうあと100mをきった。
そこでセフィは止まった。同時にローグヴァルキリーを構える。
金剛はそのまま走りつづけ、ビリュテクスの懐に飛び込んだ。
「おりゃあ!」
渾身の力をこめて如月を振るう。勿論指輪の力を乗せて。
隣では既にヴェルデが攻撃を開始している。
ビリュテクスは腹の敵を押しつぶそうと足を曲げた。
「金剛、避けろ!」
「なにっ!?」
いいながら転がって腹のしたからでる。
金剛も遅れて転がりでる。
一刹那後に地響きを上げてビリュテクスの腹が落ちてきた。勿論逃げ遅れたら命は無い。
「・・・あぶねえ」
ビリュテクスはそのまま体の向きを変えて尻尾を振り回してきた。
二人の目前に、トゲのついた尻尾が迫る。
ヴェルデはすかさず上空に跳んだ。金剛はそのまま尻尾の下をくぐる。
間一髪で二人とも直撃は免れた。
「クロス・ファイア!」
そう叫ぶ声と同時に3条の光の矢がビリュテクスの頭に飛ぶ。
右サイドからもくぐもった射撃音が。
それらはほぼ同時に着弾し、炸裂した。
さすがに竜のほうも痛手を負ったらしく、ふらふらとよろけた。
「よし、チャンスだ!」
すかさずヴェルデが腹に剣を突き上げる。
たまらずビリュテクスが腹を浮かせ、体を斜めに浮かせた。
さらに頭のダメージからよろける。
「いまだ、金剛!」
「ぬおりゃぁ〜!!!」
如月に指輪の力を乗せて、浮き上がった腹を切り上げる。
斬撃の後から黄色い光があふれ、爆発した。
爆発の衝撃で金剛が後ろに吹っ飛ぶ。
「金剛!」
ビリュテクスはそのままバランスを崩し、向こう側に倒れた。
山のような巨体を起こすには、相当の時間がかかる。
「よし、いまだ!逃げるぞ!!」
叫びながら金剛の下へ駆け寄る。
セフィとエミリアは先に行ったようだ。
その後姿を確認してから金剛を助ける。
「大丈夫か!?」
「おお・・・ちと魔力を使いすぎたの・・・」
「その無茶のおかげで倒せたんだ。ほら、立てるか?」
自分よりもがたいのいい金剛に肩を貸す。
「すまん、ヴェルデ」
「良いって、ほら、今はとにかくここから離れよう」
何とか体を支えて、二人は走り出す。
ビリュテクスのほうはこちらを恨めしそうな顔で見つめていた。
同時にもがいているが、恐らく当分は起き上がれないだろう。

だいぶ走って、先に行っていた二人に追いつく。
「大丈夫か、金剛!?」
金剛を見るなりエミリアは大声で叫んだ。
「おう!何とか無事じゃ!心配かけたな」
空いている右手でガッツポーズを取った。
「よかった〜」
セフィも嬉しそうに言った。
「ヴェルデ、もう大丈夫じゃ。」
「ん?ああ・・・」
金剛はすっとヴェルデから離れる。
「ふう、何とか抜けれたな・・・」
ヴェルデが後ろを見ながら言う。ビリュテクスの巨体がかすんで見える。
「もうあと少しでポートヴィルヘルムにつく。先を急ごう。」
四人はその号令で再び歩き出す。


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