Cafe 『La bussola nella vita』旧舘

紅茶、小説、HMKUについて書いてます♪ こちらは旧舘のほうでございます。詳しくはトップの記事を・…

Keep in mind

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Keep in mind(4)

「……何だあれ?」
「簡単に言えば、敵だねぇ〜」
全くの他人事のように亮介が言った。
それは一見大きい犬のようだったが、牙はまさしく野獣のそれだった。
体毛は殆ど無く、代わりに黒い靄のようなものが覆っていて、 爪も相当大きく、とがっている。剣道場の床が涎で汚れた。
「健一、来るぞ!」
いきなり亮介が叫び、握っていた木刀を健一に握らせた。
はっとする。相手は当然待ってくれない。恵子は守らないといけない。頼みの亮介も今は負傷してるし……
結局俺は何もできないのか?今になって亮介の大きさを感じた。
もう怪物は駆け出し始めている。その動きがスローモーションになって、ぼんやりと頭を通過した。
「健一、危ない!!」
再びはっとする。いつの間にか怪物はもう目前まで迫っていた。
殆ど反射的に木刀を構えて、姿勢を守りの型に移した。
もう、慣れきった型の変化。メリハリをつけて攻守を変えるとうまく動きやすい。確か顧問が言ってたな。
怪物は前足の異常に発達した爪を振りかざした。
とっさに木刀で弾く。
「メシィ」
嫌な音が広がったが、幸い木刀にめり込んだだけで爪は止まった。
攻撃が失敗に終わったと見るや否や、すぐに怪物は体を翻し、再び牙をむいた。
どうなってんだよ?!どうなってんだ!!
頭の中で言葉が延々廻っていく。一度にいろんなことが起こりすぎて、もう何がなんだかわからない。
「うわあぁぁ……!!」
頭を抑えて無意味に叫んだ。そうしないと頭が変になりそうだった。
「なんなんだよ!? 一体!!」
もう一声叫ぼうと息を吸った。そしたら後ろで声が聞こえた。
いつも馬鹿なことを言ってるけど、困ったときは頼りになる声。
少しうんざりするけど、その声が無かったらさびしい声。
「健一、落ち着け!! 基本の型から踏み込んで打つんだ!」
顔を上げ正面を見る。同時に体を攻撃の型へ移す。
相手はこちらをうかがって姿勢を低くし、唸っている。
やってやろうじゃねえか。
健一の眼に、もう迷いは無かった。
踏み込んで一気に間合いを詰めた。
「やあっ!!」
一気に、垂直に木刀を振り下ろした。
がつっ。見事に木刀は怪物の頭へとあたった。
続いて横から小手の要領でなぎ払う。顧問に今の振りを見られたら、きっと怒られるだろうな。
がつん。今度は怪物もさすがに食らったらしく、吹っ飛んで壁にぶつかり、そのまま動かなくなった。
まだ構えたままの健一がつぶやいた。
「やった、……のか……?」
「すごい!健一君!」
恵子も喜んではしゃぐ。そのそばにはいやに冷静な顔の亮介がいた。
「ん? どうした、亮介。」
亮介は黙って先程倒れた怪物を指差した。
見ると、怪物は、正確に言うと怪物の周りの靄のようなものが、ふくらんでる気がした。
「お、おいおい何だよ、何なんだよ?!」
本能的に体を後ろへ引く。
「健一、多分大丈夫だ。」
落ち着いた声が後ろで響いた。
「え?」
もう一度怪物を見てみた。霧は膨らみ、やがて薄くなって、消えた。
霧が消えると同時に怪物の体も霧となって消えていく。
「どういうことだろう……。こいつら、実体が無いのか?」
健一が怪物のいた場所を木刀でつつきながら言った。
「さあ、解らない。でも、このままここにいちゃまずい気がするんだ。でもここにいなくちゃならない気もする。」
「どっちなんだよ?!」
あやふやな亮介の答えに、鋭く健一が突っ込んだ。
「だって、こいつの存在だって意味不明なんだぞ?!」
つついていた場所を木刀で指しながら続けた。
「それなのに学校の中まで誰もいないし!おまけにここにいないといけない気がする?!」
「……まーまー、熱くならない」
亮介が健一を静める。
「たしかにここは危険だ。でも外が安全だとは限らないだろ?」
「え……?」
亮介は剣道場の窓の外を睨みながら言った。
「……あの空。この学校の真上以外真っ暗だろ?きっと外も、いや外のほうが危ない。」
「何が起きてるかはわからないけど、とりあえず今俺たちは生きてる。あの犬みたいなやつがまた襲ってこないとも限らないし、とりあえずいまは体制を整えよう。」
亮介の冷静な言葉を聞いて、健一は渋々了承した。
「……確かに、そのとおりだ。すまん、亮介。」
「別にいいよ〜」
ころっと表情を変えて亮介が言った。
今まで黙っていた恵子が口を開いた。
「じゃあさ、屋上に行ってみない?あそこからだったら町の様子も見やすいと思うし。」
「そうだな。ここで準備してから屋上へ向かってみよう。」
言いながら健一は奥へ木刀を取りに行った。
剣道部では腕力を鍛えるために竹刀よりも重い木刀をトレーニング用に置いていた。それは顧問の趣味も入ってたが。
「はい。これは亮介の。こっちは一応恵子の。それと救急箱。」
それぞれに手渡した。
「懐かしいねぇ、この感触」
「亮介君って、剣道部だったの?」
疑問に思った恵子が問う。
亮介の代わりに健一が口を開いた。
「ああ。一週間な。」
「あれは剣道が俺と合わなかっただけだよ」
相変わらずの軽い口調で亮介が言った。
「まあ、とりあえず屋上をめざそ。」
「よし、いくか。」
木刀しか手元に無いのが心細いが、無いよりはましだ。
慎重にドアに手をかけた。
ゆっくりノブを回す。
「……あれ?」
びくともしない。鍵がかかってるというより、外側から押さえつけられてるようだ。
「……どうした、健一。」
「いや、ドアが……開かない。ちょっと亮介、手伝ってくれ」
「あ〜い」
心配そうに見守る恵子をよそに、間の抜けた声で亮介が返事をした。
二人でドアノブをつかむ。
「いくぞ、せーのっ!!」
二人が同時に力をかける。ドアノブはびくともしない。
「くそっ、どうなってんだ?」
武道場の出入り口はここしかない。窓にはすべて格子があり、出ることは出来ないだろう。
「……仕方ない、ドアの窓を割って出よう。」
健一がそう言うと、亮介もうなずいた。
「それしかないな。」
健一はドアから一歩引き、木刀を構える。
踏み込んでドアのガラスを一閃した。
しかし、割れない。どんなに強く打っても、傷ひとつ付かない。
「はぁ、はぁ……」
「ほんとにどうなってんだ!?」
「……これはマジでなんか起こってるな」
「もしかして……私達このまま……」
恵子が不安そうな声を出した。

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こんにちは! 先日はコメントありがとうございました、ピエール亀岡です。学園ファンタジーもの大好きなんです。3人は一体どうなってしまうのか気になりますね! 早く続きが読みたいです♪

2006/8/28(月) 午前 9:35 [ 怪盗ヒゲ紳士 ]

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こんにちは! うちではまだ女の子が主人公のものは無いですけど、いずれ書いてみたいと思います! 楽しみにして頂いて有り難うございます(笑

2006/8/28(月) 午後 5:36 Ron


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