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………… ここ、は…… 目はまだ薄ぼんやりとしている。地面はしっとり冷たく、ごつごつしていた。体に痛みはあまり無い。だが、心のほうに何かすっぽりと抜けた所があるような気がして泣きそうな気分だったのは確かだった。 無理矢理頭を揺り起こす。 「……ん……?」 確か、俺たちは船に乗っていたはず……! 「ヴァンプ!」 返事は勿論無い。それどころか、あたりに動くものは自分以外にいなかった。 「セフィ! 金剛、エミリア!」 やはり返事は無い。荷物も剣と魔力を込めた傷薬2本だけ。しかも、よく見ればここは既に城の敷地内だった。 「…………」 となれば、大声を出すのはまずい。とにかくここから離れて、皆と合流せねば。 人気の無い内庭を歩く。不気味なほどに敵兵はいない。 「…………」 ヴァンプは、あのあとどうなったのだろうか。ただでさえ傾き、沈みかけていた船だ。それにあの混戦状況から考えると…… 「……くそっ」 殺しても死なないヤツ、というのが頭のどこかにあって、いつまでもはなれて消えてはくれない。涙が落ちそうになるのをこらえて拳を硬く握る。 内庭から城の敷地内にもあっさり過ぎるほど楽に入る事が出来た。敵はもうそれほど戦力を残していないのだろうか。
そう思って螺旋階段を上がる。石畳に足音が冷たく響いた。 「誰だ!!」 階段を上がりきったと同時に声が響いた。ダイニングのような部屋に兵士が20人ほどで作戦会議をしている所のようだ。同時に自分の無警戒さを嘆いた。 「げげ!」 「侵入者だ!!殺せぇ!!」 捕らえろ、では無く殺せ、というところから、やはりまだ魔法にはかかっっているようだ。一番近くにいる兵士がこちらに切りかかってくる。 ヴェルデはすかさずグラディウスを抜き、相手の剣を弾いてさらに追撃した。まさに一瞬の早業。どうなったのか解らないままに兵士は後ろへ吹っ飛ぶ。 「く、くそおぉぉ!!」 逆上した兵士が飛び掛ってくる。ヴェルデはそれを軽やかにかわし、剣のそこで脇腹を強打した。兵士はうめいて倒れる。続く二人もあっさりと峰うちを決められ、わきにどさっと崩れ落ちた。 「さあ、次はどいつだ?」 抑揚ない声でヴェルデが言う。それだけで凍り付いてしまうような冷たい目で。 「く、くそぅ……」 兵士が一人、また一人と逃げ出していく。剣も、兜も放り出し、後ろなど振り返りなどもせずに。 「た、退却だ! 退却!!」 小隊長らしき兵士が号令をかける。一目散に駆け出していく兵士たち。もはや誉れ高きロードナイトの面影はどこにも無い。 ヴェルデはそのまま上へとあがっていく。外観的に3階建て程度だろうし、悪者は決まって一番高い所にいるというのが定石だ。目的地は、勿論国王、謁見の間……。 何の問題もなくヴェルデは3階への階段を上りきる。廊下から一番広い部屋に入ると、そこには待合室が広がっていた。そしてその一番奥の扉の向こうには、謁見の間広がっている。 「遅かったな」 誰かが、扉の前に立っている。 「待ちくたびれたぞ、旅人よ。」 ヴェルデはゆっくりと部屋に入る。暗い蝋燭の明かりで、ようやく相手の姿が見えてきた。 「…………」 大きい。2mはゆうにある巨体だ。しかもその体は白銀の鎧で覆われており、手には巨大な斧を持っていた。 「先に言っておくが、この道は譲らんぞ」 「……結構だ。譲ってもらえなければ、強引に通るまで」 ヴェルデはそのまま剣を構える。 「ほう、旅人よ。わしとやる勇気があるのか」 「悪いが、おしゃべりしている暇は無いんだ。」 「よかろう。では、参る!!」 大男は大地を蹴った。その巨体からは想像できないような速さで突っ込んでくる。 そのままスピードを載せて斧を振る。空気が震える。 その斬撃をヴェルデは跳んでかわした。同時にグラディウスを振り下ろす。 「ガシィ!」 左の篭手で防がれる。振り払われて、同時に斧をなぎ払う。 「峰うちなぞ使っておったら、わが身を滅ぼすぞ!!」 「…………」 ヴェルデは無言で剣を持ち替える。さらに相手の懐に飛び込んで切り上げた。が、またも鎧に弾かれる。 「どうした!? そんななまくら、痛くも痒くもないわ!」
言葉と同時に足元をなぎ払われる。ヴェルデは必死に飛んでかわすが、体のバランスを崩してしまった。
体制を立て直しきれていないうちに上から斧が降ってくる。慌ててグラディウスで防ぐ。「ガキィ……ン」 (!?) いつもの音と違う音。慌てて刃先を見る。 「……そんな……」 グラディウスは斧を防いだ所から真っ二つに折れていた。親父からもらった、大切なあのグラディウスが。 「旅人よ。運命を悔やめ」 大男が斧を振りかぶる。そして頭上に振り下ろす―― ――ああ、俺、ここで終わるのか―― |
Breath Dragoon
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こんばんは、Ron様w どうやら三人とも別々の場所に跳んでしまったみたいですね……。ヴァンプがどうなったのか気になりますが……他の三人がどうなっているのかもとても気になるところです。涙を堪えて先へと進むヴェルデは切なくもやっぱり強いですね。そして、現れたのは巨体の男……あわわ、今度はヴェルデがピンチに!! 次の更新も楽しみにしてますねw
2006/12/30(土) 午前 0:54
こんばんわw いつも感想有り難うございます☆ ヴァンプがこの魔法を使わなかったのは、自分が送れないからと、ばらばらに着いてしまうからだったんですね。その事を実はコンプレックスに思っていた……なんて類のお話も入れるつもりだったのですが^^; これからラストまであとちょっとです。よろしければ、最後まで見届けてやってください〜w
2006/12/31(日) 午後 9:37