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ヴェルデにとっては、むしろやりやすい相手のはずだった。元々ストライダーなのだから、対人戦よりもはるかに闘いやすい。グラディウスよりもリーチの長い武器もある。勝ち目は存分にあった。 「ディフィシオーネ、ひとつ尋ねたい」 あくまで隙を見せないように疑問を投げかける。 「なぜ、こんなことを?」 「……なぜ、だと?」 言葉に瞬時に怒りがあふれた。 「愚かな人間どもめ、自らが犯した罪も知らぬのか!」 「私の夫を殺したのは! 私の仲間を殺したのは誰だ!!」 「…………」 「誰のせいでこんなことになった! 誰のせいで旨くも無い酒に溺れなければならなくなったぁ!!」 声がその場を震わす。 「ここまでしておいて、良くそんな口が聞けるものだな、人間よ! わが同胞の仇、いまこそとらせてくれるわ!!」 竜が火を吹いた。赤い舌が地面を舐め上げた。 「くっ!」 ヴェルデは脇へ転がり込み、すぐに立ち上がって竜の顔を一閃した。竜が痛みに怯む。すかさずそこを斬り上げる。硬い鱗がはじけた。 「おのれ!」 ディフィシオーネが尻尾を叩きつけた。ヴェルデは後ろに吹き飛ばされ、壁に打ち付けられる。そして尻尾は止まらずに城壁を粉砕した。 「かはっ」 そこは3階。かろうじて床をつかむ。下には中庭の噴水が見えた。 「あっけないものだな」 竜の顔がそばまできた。吐息が熱い。 「くそっ」 「では、お別れだ。」 ディフィシオーネが息を吸った。ヴェルデはとっさに光の剣を作り、右目を突いた。 「がぁぁあ!!」 竜が凄まじい咆哮と共に大きく後ろに退いた。その隙に足をかけて這い上がる。 「おのれっ、おのれえ!!」 突いた右目のほうに回り連続で攻撃する。さすがに効いたのか前足を大きく上げてのけぞった。 ヴェルデが竜の下に潜り込んで胸を刺した。のけぞりから竜が戻ってくるのとあわせて。 凄まじい咆哮。大量の血飛沫。 ヴェルデが後ろに飛びのく。地面を揺らしながらディフィシオーネは地面に沈んだ。
「…………」 「……すまない……」 目を開けたままの竜の瞳から、一滴の雫がこぼれた―― |
Breath Dragoon
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