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2日間、つやちゃんに会いに行けなかった兄ちゃん。つやちゃんはどんな顔をしているのだろうかと思いながら、会いに行って来ました。 私が母のいるダイニングへと行くと、母はお昼ご飯も済んで歯磨きを待っている最中。そこにいたいたと、私は母の横へと駆け寄ります。そして2日ぶりのご対面を果たしても、母は素知らぬ振りをしています。ならばと、母のぎゅぅ〜と握っていた手を伸ばすと、「いたぁ〜!!!」と大きな声で喜びを表してくれます。でも決して、「いたぁ〜!!!」とは「痛い」だとは、口が裂けても言えない公然の秘密です。 でもこれで、母は私が横にいると言う事に、はっきりと気がついてくれたようです。私に何やら色々と話しかけてくれます。いつも何を考えているかわからないオタクでヒッキーな私を見ながら、母は色々と話しかけてくれます。そして母は私に、このように言います。 「ほなら、ここにいよう」 もう母が今日はどうして欲しいのか、この一言でわかりました。2日間私の顔を見ていなかった母は、ここで私の顔を見ていたいようです。 母はこの母のお家にやって来て、あと数ヶ月で3年になります。その間に尾はyは3回、お昼を過ごす場所は2回変わりました。それは周りが多少変化しても落ち着いて過ごす事が出来ると言う確信が、私や職員さんにあったからです。もちろん母は、ずっと落ち着いています。もうすっかり、ここが母の落ち着く場所になったと言う事でしょう。その事が、母のこの一言になったのでしょう。 まだまだ腰だけは少し痛い様子だった、つやちゃん。午後のひと時は、ベッドに横になってもらって過ごす事にしました。大好きなドキンちゃん達に囲まれて、兄ちゃんの顔を見ていたつやちゃんは、いつしか目をつむって静かな寝息を立てだしました。兄ちゃんの顔を見ながら、落ち着いた場所でお昼寝をした、つやちゃん。きっと幸せな気持ちに包まれていた事でしょう。 |
つやちゃん日記(特養編)
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土曜日と日曜日とは用事があって、つやちゃんに会いに行く事ができない兄ちゃん。つやちゃんの調子は少しずつ上向いているので安心して出かける事はできるのですが、週末を、つやちゃんには楽しく過ごしてもらいたいと思い、会いに行って来ました。 私が母のいるダイニングへと行くと、母は歯磨きを終えて洗面台の近くで一人で楽しそうにお友達とお喋りをしています。この母の姿を見ただけで、いつもの母の調子に限りなく近づいている事がわかります。この調子の良い母を連れて、お外がよく見える窓の所でお喋りすることにしました。 窓の所へとついて、母の車椅子をくるりとまわして、私とご対面といきます。すると母は目を細めて、このように言います。 「じまんなぁった〜」 おおお、母は私の事が自慢になったと言っているのでしょうか!やっとで母も私の魅力に気がついたようです。ここまでくるのに、何年かかった事でしょうか。 と思いながら母の方を見てみると、母の指は私の方を指し手はいません。母の指は、あらぬ方向を向いています。そこには、長い長い廊下があるではないですか!母は私などより、この奇麗な長い廊下が自慢のようです。 そうか、この廊下の方が兄ちゃんよりも自慢なのかと笑いながら母をもう一度見ると、今度は母はこのように言います。 「あしがついいったぁ〜」 あはは。またまた母は面白い事を言ってくれます。廊下が自慢で、そこに足がついて行ったと言うではないですか。 でもこの様に言う母の顔を眺めながら、母に対する愛おしさが湧いて来ます。母が言いたい事が良くわかるからです。長い廊下が自慢で、そこに足がついて行ったと言う母。きっと母はこの廊下に、母が歩んで来た道のりを重ねたのでしょう。そして母は、その道のりを自分の足で歩んだのです。暑い日も寒い日も、自分の足でお客様の所へと行って、私を大学まで出してくれたのです。自分の力で息子を大学へ出したと言う事が、母にとっては自慢なのです。この母の気持ちが、「じまんなぁった〜」と言う言葉へとなったのです。 「いろんな所へと行って、保険取ったの自慢だね」と言う兄ちゃんに、「いったんやねぇ〜」と答えた、つやちゃん。きっと心は昔のあの日の様に、足も軽やかに色々な所へと行っていたのでしょう。そして兄ちゃんが会いに行けない週末も、沢山の所で沢山の人とお喋りをして保険を沢山取って来てくれる事でしょう。 |
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つやちゃんのお家から電話がない事が、つやちゃんが元気でいる事だとはわかっている兄ちゃん。でも、つやちゃんの様子が気になって仕方ありません。つやちゃんの調子の一つの目安はお食事です。どのような感じでお食事をとっているかを見たくて、お昼ご飯に合わせて会いに行って来ました。 私が母のいるダイニングへと行くと、母はちょうどお昼ご飯にお箸をつけだした所でした。母の横に行って声をかけても、母は私が横にいる事などおかまいなしにお昼ご飯を頬張っています。私が知っているペースト比べて少し遅いような気はしますが、でもしっかりとお箸を使って自分の口に運んで食べてくれています。おまけに何回かコロコロと転がってしまいましたが、まんまるのミディートマトもお箸でつかんでがぶりと食べると言うパフォーマンスも見せてくれます。 この食べ方と真っすぐな姿勢、もちろん職員さんから聞いたバイタルから、母の調子は元に近づきつつあると言う感触を得る事ができました。 食事が終わりお腹が一杯になると、今度は周りの様子が気になるようです。お友達のまだ沢山残っているお昼ご飯が気になったり、お友達や職員さんを見ては「うふふ」と楽しそうな笑みを浮かべたりします。横にいる私は空気のようなもので、母はお友達と職員さんがスポットライトが当たっている舞台にあがっているかの様でもあります。 この母のお楽しみの間に、私はお茶碗やお皿を片付けに行きます。そして母の元へと戻ってくると、母は私の方を向き、目をまんまるにして、こう言います。 「あらぁ〜そうやぁ〜」 はいはい。そうです。そうです。「あらぁ〜」とまで驚いてくれて、私はお母さん、あなたのよぉ〜く知っている人です。先ほどから横にずっといました!母は眠りの国から目覚めた眠り姫のように私の顔を見て驚いています。 このように嬉しくてビックリしている母の顔を見ていると、私も母と一緒に嬉しくなります。ご飯の最中に私が横にいても気がつかないと言うのは日常茶飯事の事で、私もそれしきの事では動じません。夢の中で、お友達や職員さんとスポットライトが当たる舞台に立ったようになる事にも驚きません。 でも私が今日母のこの言葉を聞いて嬉しくなるのは、母がいつものようにご飯に集中し、周りの人の様子を見て嬉しがる姿が見られる事です。それは、母がいつもの調子に戻りつつあると言う事だからです。 母は調子が悪い時に私の顔を見ると、すがるような表情を浮かべます。食事よりも周りの様子よりも、私に側にいて欲しいと目が哀願します。でも今日の母は、火曜日にご飯をあまり食べない上に嘔吐したにも関わらず、ご飯や周りの様子に集中しているのです。これは安定した自分の世界に入っていて、この楽しい自分の世界、夢の世界から目が覚めると、そこにオイタばかりをしている私が突然表れて驚いたと言う、母の通常のパターんなのです。 この母の「あらぁ〜そうやぁ〜」と言う言葉は、母がいつもの調子を取り戻しつつあると言う事を表している言葉だったのです。 いつもの調子を取り戻しつつある、つやちゃん。午後はもっと体力を回復しようと言う事で、ベッドに横になることにしました。そして兄ちゃんの顔を見ながら、グッスリと寝入っていきました。きっとまた夢の中で、楽しく遊び回ってくれた事でしょう。 |
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午前中、ちょっとした用事で出かけていた兄ちゃん。あっと言う間に、つやちゃんに会いに行く時間になっていました。火曜日は、つやちゃんのお風呂の日。お風呂までの時間を、楽しく過ごしてあげようと会いに行って来ました。 私が母のいる食堂へと行くと、母は職員さんにお茶を飲ませてもらっている最中。でも、いつもとは様子が違います。どことなく眠そうな、そして大きく左に傾いています。母の近づいて声をかけても、いつものような反応はありません。 しばらくの間様子を見ていると、どうも母は腰がだるいのを我慢しているようです。時より体を起こそうとしますが、力が入らず元の姿勢にもどってしまいます。とりあえず歯磨きを終わらせて、一階に喫茶室でジュースを飲んでお風呂の順番を待つ事にしました。 この間も母は左に傾いては起こそうとして、そしてまた傾くと言う事を繰り返します。そこで私が後ろに行って母の体を持ち上げて、姿勢を元に戻してあげます。すると母は、「いてぇ〜、しんでまう〜」と大きな声をあげます。母は腰がだるいのではなく、腰が痛いのを我慢しているのです。 それでも腰を伸ばした後に、私が母の顔を覗き込むと、私にこのように言ってくれます。 「いたんやぁ〜」 「しんでまう〜」と言った直後に、「いたんやぁ〜」とは、何ともこの母の変わり身の早さに、思わず笑いが込上げて来てしまいます。込上げたついでに、母をぎゅぅ〜と抱きしめてあげたくもなります。 母は、先ほどから腰が痛いのを我慢していました。それはきっと、私の顔を見ながら、もっと未停滞と言う気持ちからなのでしょう。そして私が後ろから腰を伸ばした時には、あたりまえですが私の姿が見えないので、思わずそれまでの気持ちが表れ、「いてぇ〜。しんでまう〜」と言ったのでしょう。 その痛さよりも、私の顔を見ていたいと言う気持ちが、母の「いたんやぁ〜」と言う言葉になったのでしょう。それは、どんなに辛い時でも、私のために人知れず頑張って来た母の真骨頂なのです。この母の真骨頂が今日もまた、母をして「いたんやぁ〜」と言わせたのです。 腰が痛いのも何のその。今日もまた兄ちゃんと時間を、一生懸命に頑張った、つやちゃん。気がつくとお風呂の時間になっていました。お風呂に入って、腰の痛みを和らげて、明日はいつものような元気な姿を見せてくれる事でしょう。 |
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午前中を、またしても溜まりに溜まった家の用事に謀殺されていた兄ちゃん。気がつくと汗が体中から吹き出しています。外では気温も上がり、汗が滴り落ちるのももっともです。でも、つやちゃんに会いに行くのには、このような気温は問題ではありません。今日もまた、汗を拭き拭き会いに行って来ました。 私が母のいるダイニングへと行くと、そこには母の姿は見当たりません。きっとお部屋で足を伸ばすために横になっているのだろうと思い母の部屋へと行くと、母は大好きな職員さんにベッドに横にしてもらって一人で楽しそうにお喋りをしています。 そんな母に近づくと、母はすぐに私に気がついて、嬉しそうな表情で私を眺めます。そんな母の手を握ってあげると、母は「えへへ」と言って笑ってくれます。最近の母の言葉は、その大半が「あ〜、あ〜、う〜、う〜。うごぉ〜」と言った様に聞き取りにくくなっていますが、嬉しさや楽しさは、その表情と声のトーンですぐにわかります。 しばらくするとおトイレの時間となったので、私は外の景色が見える窓の所で母のおトイレが済むのを待つ事にします。 母はすぐにおトイレを済ませて、私の元にやって来ます。スッキリとした母は、相も変わらず機嫌の良い顔をしてくれています。そこで母と一緒にお散歩へと出かける事にしました。 お散歩と言っても、これだけ暑くなると中庭と言う訳にはいきません。お家の中の大遠征をすることにします。途中で職員さんから冷たいジュースをもらって話しかけてもらって、嬉しいと言う思いをしっかりと目で表してくれています。そして中庭がよく見える窓の所へと母を連れて行って、外の景色を見ている母の手をさすってあげると、母は私にこのように言います。 「ありがとのぉ〜 」 母は「ありがとう」と私に言ってくれます。思わず人目も気にせず(人目を気にしないのはいつもの事ですが・・・)母をぎゅっと抱きしめてあげます。 このよに私が母をギュゥ〜と抱きしめるのは、決して母が私に「ありがとのぉ〜 」と言ったからだけではありません。もちろん、私にこのように言ってくれるのは嬉しい事ですが。 それよりも何よりも私が嬉しいのは、母が「ありがとう」と言う感謝を表す言葉を言ってくれる事なのです。母の言葉は、もうかなり崩れています。それでも一生懸命にお喋りをしようとします。そして、「ありがとう」とか「うれしい」と言う言葉を口にしてくれます。 母が私の姿が見えなくても落ち着いた生活を送って、楽しいと感じてくれているからです。それは私がいない時に、職員さん達が母にどのように接していてくれているのかを表しています。 そうなのです。母は、毎日接してくれている職員さん達を始めとした、母を支えてくれている人に「ありがとのぉ〜 」と言ったに違いないのです。 今日も一日楽しく過ごした、つやちゃん。お散歩を終えると大好きなおやつの時間。大きなお口をあけて、皆さんの支えに元気に食べる姿で感謝を意を表したのでした。 |









