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哲学は継承され反駁され積み重なっていきます。
それはテーゼとアンチテーゼのつづれ織。
その知のパピルスに「愛は争いだ」と記したのが我らが勇者ヤスパース。

愛は相手を理解し、お互いが確認しあおうとする争いなのだという。
「愛してる?」「愛してる」これだ。
これは駆け引きでも勝ち負けでもない。
確認することで実存と実存の本来相容れない結びつきが
アイデンティティーの確立につながる。
これこそ、自己愛の確認であり、そこに無償の愛がなければそれは獲られない。
この一見矛盾する定理をヤスパースが大きく後押ししてくれている。

ヤスパースによると、人間は追い込まれる極限状態、つまり崖っぷち状況でないと
生きている実感は得られないという。これを「限界状況」と定義しました。

限界状況でなければ人間は動かない。
平穏を求めるけれど、その平穏では決して動かないのが人間の性なのだ。

私達は争いを忌み嫌います。
よい例が戦争ですが、それ以外にも争いはたくさんある。
人間関係、競争社会にあるすべての争い。
確かに戦争はよくない。しかしそれをもってすべての争いを封印できるものなのか?

争いを否定する手法がある。

なんとなく、納得できそうですが、これは喜怒哀楽を抑えようとする手法に似ている。
ここで喜怒哀楽の「怒」はもっとも危惧される感情として、攻撃性に結ばれる。
しかし、これは衝動的攻撃と戦略的攻撃にわけられている。
私達が気にするべきは前者のコントロールです。
戦略的攻撃には目的があり、その目的の内容にもよりますが、このすべてを
封印してしまうのは危険である。

というか、人間から感情や意志を奪ってしまうと物質化してしまい
人間ではなくなってしまう。
かといってバランスとかよい加減というテクニカル的手法では納得できない。
マニュアル化した教育に慣れ親しんだ私達は応用がきかないのです。
「矛盾する」とか「難しい」とくちを尖らせる。

ここでヤスパースは愛は争いであるとして、その争いには
「力づくの闘争」と「愛しながらの闘争」があるとした。

そう、私達は「愛しながらの闘争」を選択すべきなのです。
というのも、現実的に闘争はなくすことはできないからだ。
禁欲では解決しようとするのはどだい無理。
けれども現実の争いの不毛を前にして心優しい良識派はどうしても
このストイックな方策に傾いてしまいます。

その喉元にナイフを突き付けるようなクイズをヤスパースは提示する。
遭難して海に投げ出されたあなたと私が波間に浮かぶイカダを発見した。
しかしこのイカダは一人しか支えられない。さて、どうするか?
相手を自分の大切は人に置き換え提示される場合もありますが、
いずれにしても結果は悲劇でしかなく、困惑させられる意地悪な心理クイズです。

このクイズは選択の答えに意味はありません。考えることに意味がある。
つまり、力ずくの闘争で得られた生には意味がないのです。
なぜならそこで勝利しても孤独が待っている。人間は一人では生きられない。
では、二人とも死ぬのか。もしくは相手に譲って自分から死を選ぶのか?
ヤスパースはこの「死」と向かい合う(限界状況)が
生きている証となるというのです。

争いとは死、苦しみ、罪責を与えあうものです。
たとえ、その時勝利しても、次回勝利できるとは限らない。
そこに不安と恐怖が存在している。
しかし、その争いに愛を重ね合わせたらどうでしょう。
自分のため、ではなく。愛するもののために生きる、死ぬ。

たとえば、もっとも身近な、大切な、愛する人の死と直面したとする。
愛すればこそ、そこに記憶が残ります。その想い出を抱いて残されたものは生きる。
有限の人生のなかに死は存在しますが、愛は死と時間を超えてしまう。
ここに永遠が存在します。

ブラボー! ヤスパース 汝は知の勇者なり。

この証として
【生きることと死ぬことは同じ】
宮本輝の作品や『ゲド戦記』にも登場した等価生死観です。
「命を惜しむな名を惜しめ」という戦国武将の心意気を補足しておきます。
また、イカダの意地悪クイズから愛の永遠については、映画『タイタニック』のラストで沈んでいったディカプリオと生還したヒロインを思い浮かべていただくと解りやすいかも。


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与太郎
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