エルフの診察室

北国はもう氷と雪の中です

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 『おぞん?』 
 
 「そうよ〜オゾン。きれいな空気の素。
  雲さんはむくむくむく〜って、お空を上るでしょう。
 
  たか〜く、たか〜く上っていって、オゾンを持ってきてくれる。
   からだじゅうにくっつけて、雨になって海に届けるの」
 
 『おとどけものですよ〜って?』
 
 
 ★私はこんな時間が好きだ。
 
  「おぞん?」 
 
  もうすぐ3歳の娘が、上手に動き出した舌とくちびるで
  私の言葉をコピーする。
 
  あどけなく首をかしげ、ほほを染めながら。
  ベッドに腰かける私をのぞき込んでいる。
 
  もう〜親ばか。ぎゅっとして、つぶれるくらいハグしたいけど、
  母親になって4年目。少しは大人にならくちゃ…私が。
 
 「だからね? 雲さんだって、ちゃんとお仕事してるの」 
 
 
 ★私は「空の話」が好きだ。「海の話」も。
 
  それを聞きながら、めまぐるしく頭脳をフル回転させて
  質問を投げかけてくる、この子が好きだ。
 
  ちゃんと会話が成立してる。それどころか、ええっ〜と
  驚くくらいの言葉を返してくる。
 
  これはもう、ドキドキよ。婚約する前も、夫の次の言葉が
  楽しみだったけれど、それ以上ね。何倍も。
 
  『じゃぁさ、うみにふる、ゆきさんは? 
   おしごとのまえに、とけちゃうよ?』   
 
  すご〜い。この子、私の話を理解した上で、遠慮しながら
  「NO」を言ってるんだ。
 
  私とエリカは、「存在には意味と役目がある」という話を
  していた。
 
  のんびり海の空に浮かんでモコモコするだけの雲も、
  ちゃんと仕事をしていると話した。
 
  じゃあ「雪」は、仕事をする前にとけてしまうじゃないかと
  娘は反論している。
 
  「全存在には意義がある」という私の論説の、それは
  「アンチテーゼ」。
 
  世の中には、存在する意義も価値もないものが、ごまんと
  あると、私に迫っているのだ。                 
 

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