本棚

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]

肝臓先生

以前柄本明主演の映画「カンゾー先生」を観たことがありますが、この映画は良かった。
映画の舞台は戦時中の岡山県になっていますが、原作の坂口安吾の小説「肝臓先生」では静岡県伊東市が舞台になっています。

定本 坂口安吾全集 第四巻(冬樹社)の解題に書かれている解説ではこの小説は坂口安吾が伊東に移り住んだ時に聞いた実話に倣っていて、主人公赤城風雨は伊東市の町医者森遠がモデルになっていると書かれています。

小説の中では烏賊虎という伊東の一人の漁師から語り聞いたことを安吾が文章にしています。
史実と小説と映画はいずれもだいぶ異なりますが、そこに一貫して流れている精神は変わりません。
医は仁術といつの時代も憚ることなく唱えられてはいるものの、それを映える医師は一体どれくらいいるだろう。
医師のあるべき姿をこの人物に重ねることができるはずです。

僕はこれまで知りませんでしたが、伊東市街に天城診療所という診療所があって、その前に安吾の友人の彫刻家が作った肝臓を模した大きな石碑があり、その碑面に安吾が書いた詩が刻まれているようです。

今度帰省する機会があれば、伊東駅で途中下車してその碑文を探しに行こうと思います。
僕は、かかる医者になりたい。

推薦図書

「がん遺伝子の発見 がん解明の同時代史」黒木登志夫著 中公新書
「がん遺伝子に挑む(上、下)」 Natalie Angier著 野田亮 野田洋子訳 東京化学同人


僕の推薦図書です。また僕のボスが推薦して下さった本でもあります。
生物学としてのがん研究を知る本として適当と思います。

前者の本では癌研究者でもある著者が癌の生物学解明の歴史を基本的な生物学の解説を交えて説明しています。新書ですので比較的手に取りやすいかと思います。
後者の著者は科学ジャーナリストで、がん生物学の歴史を塗り替える業績を上げる研究現場に身を置き、研究者ではない観点から詳細な科学的解説を交えて臨場感溢れる記述でトップラボの現実を描写しています。こちらは研究者が読んでも面白いと思いますが、一般の方には少し読みにくいかもしれません。

木下杢太郎

木下杢太郎という作家がいます。
本名は太田正雄。明治18年に現在の静岡県伊東市に生まれ、東京帝国大学医学部を出てから皮膚科医になりました。
皮膚科の教科書には太田母班という疾患名があり、学生時代に学んだことを覚えていますが、その命名者が彼であることを知ったのは最近のことです。
鴎外と同じく、木下杢太郎という作家の名を知る人はいますが、太田正雄という皮膚科医を知る人は少ない。

伊東駅から歩いて10分くらいの所に木下杢太郎記念館という建物があります。
彼の生家であり、現在は資料館となっています。
伊東で育った僕は幼い時からこの人物の名を知っていましたが、特別関心はありませんでした。
文学を好む医学生が同じ伊東育ちの作家であり医者であるこの人物に親近感を抱くようになったのはしばらく後のことです。
資料館では皮膚科医としての彼の仕事や芸術家としての彼の活動を知ることができます。
文学から美術まで幅広い芸術活動を遺した彼は、医学史上も大変活躍した人物でした。
上京した後は東京都文京区に居をおき、鴎外を初め多くの文人と交友をもちました。

同郷の人間というのは特別な親近感を抱くものです。
時代こそ異なりますが、少なからぬ共通点をもつ先人に僕は何ものかを学ぶことができるだろうか。
あるいは後世に何ものかを遺すことができるだろうか。

白い巨塔

山崎豊子のこの作品を読んだときは衝撃だった。
たしか高校生の時です。
こんな過激な文章を女性が書けるものかと思ったりもした。
まだ医者になることすら考えていなかったその頃、その作品は僕の医療に対するイメージに少なからぬ影響を与えた。

僕の両親は読書が好きで、家にはおびただしい数の本があちらこちらに置かれている。
本棚は背表紙が並べてある状態ではなく、空間的に許容される限り詰め込まれている箱であり、トイレやバスルームを除く部屋には必ず何らかの本がある。

確か上巻と下巻の2冊からなるその本は、色あせて白というよりは肌色に近いハードカバーを呈していて、随分前に買われたものであることが想像できた。たまたま小さな本棚にあったその本を開いてから、一気に読み通さざるを得なかったのを覚えている。
あまりにも醜悪な描出は当時まだ純粋であった高校生には過激であり、そのような箇所は読み飛ばさざるを得なかった。
それでも最後まで読み通し、社会に訴える問題作とはかかる作品だと思ったものです。
書評には作品が与える社会的影響に配慮する必要があるといったことまで書いてあった。

出版された時から幾度もドラマ化されていますが、僕はドラマを見たことがない。
原作に勝る表現は映像では期待できないし、原作の衝撃があまりにも大きすぎた。

作品の中で出てくる里見医師は確か大学で基礎研究をしていましたよね。
医療の世界も随分変わったという実感がありますが、僕にできることは里見医師の見地を忘れないことかもしれませんね。

Oヘンリ短編集

短編は読みやすい。
新潮文庫からこの短編集が3巻出ていて、随分前に読んだことがある。
何気ない日常に思いがけない出会いや運命がある。
何気ない日常にこそ気づかない幸せがある。
そんな短編集である。
重たく長い話はない。
叙情詩を叙景詩に変えたような、そんな詩的な人生の風景画がそこには書かれている。

全2ページ

[1] [2]

[ 次のページ ]


よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

いまならもらえる!ウィスパーうすさら
薄いしモレを防ぐ尿ケアパッド
話題の新製品を10,000名様にプレゼント
ふるさと納税サイト『さとふる』
11/30まで5周年記念キャンペーン中!
Amazonギフト券1000円分当たる!
いまならもらえる!ウィスパーWガード
薄いしモレを防ぐパンティライナー
話題の新製品を10,000名様にプレゼント

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事