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昨日報告したシャガールのステンドグラスのある教会はまわりに畑があるだけでほかにこれといった施設はなく、昼食を取るためにそのちょっと南にある大きな町Royal Tunbridge Wellsに行った。ここは16世紀ごろから温泉が出る場所として貴族などがよく訪れたらしいが、現在は健康のためにその湧き水を飲むという程度の利用しかされていない。飲ませる場所に行ってみたが、女性が一人みやげ物と一緒に番をしているだけで、水垢のこびりついたちょろちょろと流れる石で出来たボール状の水槽は見ただけで飲みたくなくなるような代物だった。そのあたりはPantilesと呼ばれる観光スポットで、古い石畳とアーケードのあるジョージアンスタイルの建物でしっとりしたショッピングならびに食事どころを提供している(写真)。 |
旅行
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今日で今回のフランスのドライブ旅行も終わりだ。夕方5時のフェリーを予約してある。 帰りのルートはル・マンからシャルトル(Chartres)経由でルーアン(Rouen)に行きそこから高速で一路ブーローニュへ。 シャルトルには美しいステンドグラスで有名な大聖堂(Cathedrale de Chartres)があり、私は一度見たことがあるのだが妻が初めてだというので本日唯一の観光コースに選んだ。 この大聖堂はその名の通り大きいので、車で近づくとかなり遠くからでもその姿を認めることが出来る。地平線上にかすかに浮かぶ姿は好奇心を掻き立てる。 しかし町に入ってしまうと建物に邪魔されてかなり近くに行かないと見えない。したがって道路標識でCathedraleを探して運転していくことになるが、まあ中心にあるので迷うことはなかった。どうせ駐車が難しいだろうと思ったのでまっすぐ地下の有料駐車場に入れる。 建物は大きすぎてファインダーに入らない(最初の写真)。 ステンドグラスはたぶん正面の円形のものが一番見所なのだろう(次の写真)。 2回目のせいかあまり感動はなかった。ここより劣るのかもしれないが美しいステンドグラスはあちこちで見ているし、壮大なゴシック建築の教会も数え切れないくらい見てきたことも原因かもしれない。私としてはこの旅行記の最初のほうで書いたル・アーブルの新しい教会のほうが新鮮味があっていい。 このあとルーアンという大きな町に入ったらまた道に迷って、同じところをぐるぐる回る羽目になった。なぜか港町のディエップだとかカレーといったところへ行く標識がメインの通りに無いのだ。実はこの町は初めてフランスドライブ旅行をした1994年にも迷った記憶がある。太い道路がいくつも走っているものの街の真ん中を流れている蛇行したセーヌ川に架かる限られた数の橋のせいで道路システムがより複雑になっているのだ。しかも交通量はものすごくある。道路幅も片側5車線ぐらいのところも珍しくないが、曲がりたいからといって一番右側の斜線を走っていたら強制的に右折させられたりする。 ともかく何とかディエップ方面へ行く道が見つかり、しばらく走っているとカレー方面の標識も出てきて高速道路に乗れて、ほっとする。後はただひたすら走るだけである。かなりの余裕を持ってフェリー乗り場にたどり着き、旅程も終了した。 最後にフランスをドライブするに当たって気付いて点をいくつか記しておこう。 まず道路事情であるが、基本的にイギリスよりインフラはいい。ただし道路標識はイギリスのほうがはるかに整備されている。また、高速道路で道を間違えたとき、イギリスでは道路を降りてすぐ逆方向に簡単に行けるシステムになっているが、フランスではそういうドジをする人には不親切で、いったん高速を降りたら一般道をくねくねと勘を頼りに行って逆方向に行く道を探し出さなければならない。更に、イギリスと大きく違う点は、高速道路が日本のように有料であるという点である。通行料も結構高い。日本と違う点は短い距離なら無料であることか。 ラウンドアバウト(日本ではロータリーというようだ)の数はイギリスと同じくらい多い。昔は右側から来る車が絶対優先だったのでラウンドアバウトの中の車は入ってくる車に注意しなければならなかったが、今は入ってくる車のほうが一時停止しなければならないというイギリスと同じシステムになっている。当初はイギリス式にするということはイギリスのほうが合理的だと認めることになるので反発もあったようだが、車の数が増加してどうしょうもなくなったらしい。 制限速度は一般道路ではほぼイギリスと同じで、郊外では100km、村の中では80km、市街地では50km程度である。かなり高速で移動できる。 高速道路の最高速度はイギリスの114kmより早い130kmである。数年前まではそこを150kmで走っていてもビュンビュン追い越されたものだが、最近は取締りが厳しくなってみなさん全体に速度は抑え気味である。 広い国土にイギリス以上に高速道路網が発達しているが交通量は多くなく、前後に車影が全く無いことも珍しくない。これは一般道路でもよくある。 次に、ボルドーのワイナリー訪問に関してであるが、どこも快く見学者を迎えてくれるものの予約は絶対に必要である。 予約は現地の宿がリーゾナブルな手数料でアレンジしてくれる場合が多い。自分でするという手ももちろんあるが遠隔地から行きたいシャトーに電話やFAXで連絡を取るというのも面倒なので、私は宿に依頼することをお勧めする。宿を予約するときにそういうアレンジをしてくれるところを選べばよい。 私が今回使ったところは、アレンジの代金はシャトー1箇所に付き6ユーロであった。宿の経営者は地元の人なのでいろいろ融通も利くと思う。現に、私が訪問したシャトーの人はフィリップのことはみんな知っていた。 以上で今回の旅行記を終わります。ここまで読んでくださった方々、ありがとうございました。
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9時ごろB&Bを出発する。フィリップとモニカが荷物の積み込みを手伝ってくれる。そして、フィリップがかつて自分が働いていたシャトー・ラ・トゥール・カルネ(Ch. La Tour Carnet、4級)のボトルを一本プレゼントしてくれた。さらにもう一本自家製のアペリティフも付け加えてくれる。これはワインとコニャックを混ぜたアルコール度20%ぐらいの甘口だ。ちゃんとラベルも自分で印刷したものを貼り付けて、まるで商品のよう。写真はそれらを並べて撮ったもの。 |
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今回の最後のシャトー訪問は、私がリクエストしたシャトー・マルゴー(Ch. Margaux)だ。第1級格付けシャトーの中でも特に好きなシャトーなのだ。最初の写真はシャトーへのアプローチ。奥に見える白い建物がシャトー。次の写真はシャトー本館の門のところから撮ったもの。 見学者受付に行くと50代と思しき女性が待っていてくれた。今日はパリからもう一組の日本人カップルが来るという。定刻になっても現れないがしばらく辛抱する。15分ぐらい経ってようやく彼らが到着したのでツアー開始。このガイドさん、アメリカ英語だ。訊くと、もともと東欧の人間でかなり長い間アメリカにいたという。 ここも発酵槽は木樽であった。工場内では未だ収穫したブドウをプレスして果汁を抽出している部分もあった。山積みの絞りかすを従業員が処理している。彼女の解説によると、あのかすは業者に売るという。引き取った業者は他のシャトーから引き取ったものと混ぜてさらに果汁を絞ってワインを作る。いわゆるプレスワインというやつで、品質が落ちるので一流のシャトーでは商品化しない。 次の写真は2002年と2003年物が眠っている樽を保存した貯蔵庫。ここにも私のワインが一部居るはずだ。彼女によると2002年物は平年の出来だが2003年は近来経験したことのないよい出来であることが最近のチェックでわかったとちょっと興奮気味に話してくれた。あのとてつもない暑い夏がここではうまく行ったようだ。 ツアーの最後に展示室のようなレセプションのような部屋に来た。そこに分厚いハードカバーのノートブックが置いてあって、よければサインしていってください、といわれて記念にサインする。見ると午前中に多くの日本人が訪れていることがわかった。 そして試飲。2001年もの(写真)だ。 じっくり味わうが、やはり未だ硬い。過去には私は十分熟成したものを飲んでいるのでまるで印象は違う。 もう一組のカップルはグラスに注がれたワインをちょっと口につけただけで惜しげもなく残りを捨ててすぐに帰ってしまった。 私は貧乏性である上、これほどのワインを捨てるのは失礼かなと思ってすべて飲み干す。 先に帰ったカップルはかなりアロガントな人たちで、遅刻の侘びもせず、礼儀知らずという印象を受けた。ガイドさんも同じ思いの顔をしていたので同国人として残念に思うとコメントしたら、彼女、ちょっと待っててね、と奥に引っ込み別のワインをグラスに入れて持ってきてくれた。 なんとさっき彼女が興奮して話していた2003年のものを樽から汲んできたのだ。 早速飲んでみる。 しかし残念ながら私の舌のレベルではものすごいよい出来かどうかわからなかった。色も果実の濃縮度も2001年のものとさして違いがないように思えた。 このワインが瓶詰めされるのは来年(2006年)の夏である。そこまで熟成が進めばあるいは私にも比較できるかもしれない。 彼女とはワイン以外のこともいろいろおしゃべりした。アメリカの作家ヘミングウエーがここのシャトーに滞在して毎日のようにシャトー・マルゴーを飲んでいたんだってね、それで孫娘が生まれたという知らせを受けて、Margauxという名前にしなさいと電報を打ったらしいね、と話したら彼女曰く、その人がこの近くに住んでよくシャトーを訪れていたという話は聞いたことがあるけど、孫娘の話は知らない、とのこと。 とにかくすっかり彼女と仲良くなってしまった。この次ぎ来たらまた連絡してね、とプライベートな名刺まで渡してくれた。 これで予定した5箇所のシャトー巡りは終わった。それぞれワイン作りには違ったポリシーをもっていかによいワインを作るか一生懸命やっている。気候に左右される点は一般の農作物と変わらないが、設備投資が大変なだけにリスクはより大きいなぁと思う。ワインが高価なのは仕方ないか。 それにしてもムートン以外のシャトーは無料でガイドしてくれた上試飲までさせてくれて結構鷹揚だという印象を持った。毎年大勢の見学者に試飲させる量だけでも大変なものだろうに。 メドックのワインは大昔からボルドー市に拠点のある限られた数のネゴシアンが取り仕切るルールになっており、お土産を除いてはシャトーが直接ワイン業者や消費者に販売することはない。イギリスのBerry & Brosでも直接は買えないのだ。見学したすべてのシャトーがこのシステムを歓迎と言っていた。毎年値付けをするのはネゴシアンであるが、それでも販売に煩わされることなく生産に没頭できるのでそれでいいんだという。安定したシステムでの運用がいいということだろう。 夜はまたポイヤックの川べりのレストラン街に行った。もう平日だから沢山開いているかと思うと相変わらず閉じている店も多い。どうやらシーズンオフで来年の春まで閉店している雰囲気だ。フランスではよくあること。ブイヤベースで有名な南仏のカシスという町に行ったときもそうだった。 かといって遠くのレストランまで食べに行く気はしない。酔払い運転する距離が長くなるから。ちょっとでもリスクは少なくしたい。 それで選んだレストランが川べりにあるホテル付属のもの。食べている客を観察するとほとんどがそこに宿泊しているビジネス客だ。 例によって前菜に生牡蠣を頼む。メインは、メニューにダックがあったが品切れということでステーキを頼む。もっとフランス料理らしいものを頼みたかったがあまりチョイスはなかった。
ふと気付いたのだが1ダース頼んだカキが11個しかない。クレームをつけると恐縮して4個追加してくれた。(続く) |
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シャトー巡り二日目のトップはシャトー・ランシュ・バージュ(Ch. Lynch-Bages)。ポイヤック村の南側で人家がなくなってすぐのところにある。昨日最後に訪問した同じポイヤックのピションより2kmぐらい北である。 第5級格付けで、日本でもポピュラーな銘柄なのでご存知の方も多いだろう。今日は平日なので多くの人が働いている。普通の会社のように入口ホールに受付嬢が座っており、ガイド担当者を呼び出してくれる。ちゃんとした制服を来た女性が現れた。 見学者はここでも私たちだけ。前日に3箇所も訪問したことを告げると、それなら基本的なことはもうよく知っているだろうということでごく簡単に中を案内してくれた。発酵槽は木樽。設備はムートンよりも新しそうだ。 例によってツアーの終わりに試飲させてもらう。2001年だったが濃厚なブラックベリーの香り、飲むと結構硬い。昨日のピションもそうだったが、このビンテージを考えるとカベルネソービニオン主体のポイヤックではこれが普通だろう。ここは試飲だけでワインの販売はなし。買うかどうかの気を遣わなくて済むので妻はほっとしている。 午後の訪問予定は2時からなのでどこかで昼食を取らなければならないがちょっと早かったので、明日乗る予定のフェリー乗り場を下見することにした。 メドック地方の東側を流れる大河ジロンド川は南のほうからボルドー市を通って北上するガロンヌ川と西のほうからサンテ・ミリオンのそばを通って流れてくるドルドーニュ川が合流したものだ。 大河が2本合流したものだから川幅は非常に広く、メドック付近で5kmぐらいある。下流に行くと10kmだ。したがってこの川には橋というものが一本も架かっていない。 車の場合には以前書いたようにボルドー市の北と南にガロンヌ川に架かっている2本の橋を利用するしかない。 ところが、フェリーを使う手があることをフィリップから教えてもらい、帰りはそれを使うことにしたのだ。マルゴー村より7kmぐらい北にラマルクという村があり、そこから対岸のブライまで2時間に一本ぐらい運行されている。それを逃すと大変だから予行演習をしたというわけだ。 下見をしてラマルク村の中心部に戻ってくるとちょうど12時頃だったのでレストランを見つけて入った。誰もいない。カウンターの上に置いてあったベルを押すと奥からウエーターが出てきた。 食事したいと告げると首を横に振って、うちは12時から営業だという。もう12時過ぎているじゃないかというと、店の時計を見てあれっと言う顔をしてあわててテーブルに案内してくれた。 奥で自分たちの食事をしていておしゃべりで夢中になり時間感覚がなくなっていたものと見える。例によって安くておいしい「本日のメニュー」をいただく。 メインは帆立貝の炒め物(いわゆるサン・ジャック・コキーユだ)とても新鮮なホタテがボリュームいっぱい。白ワインが進む。(続く)
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