バレー

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重いですねー。ようやく本日のアップが出来ました


イメージ 1アダム・クーパー(Adam Cooper)主演のパーフォーマンスをロイヤルオペラハウスの地下にあるリンバリー劇場(Linbury、左の写真)で観た。

オリジナルではこの作品はナレーターによって物語の進行が語られ、それに合わせて音楽とバレーが演じられる。今回の公演では最初にナレーターが登場するものの、その後はダンサー自身によって通常の劇のように台詞が語られる。オーケストラはオリジナル通り7人で構成させる。

出演者
 兵士:Adam Cooper
 悪魔:Matthew Hart
 フィアンセ/王女:Zenaida Yanowsky
 ナレーター/王:Will Kemp

 指揮:Mikhail Agrest
 監督と演出:Will Tuckett

あらすじ
 2週間の休暇をもらった兵士がフィアンセと母親に会いに故郷へ帰る途中老人に扮した悪魔と出会う。悪魔は彼が弾いていたヴァイオリンと未来のことが既述されている本を交換してくれるよう頼む。兵士が応じると悪魔は彼を家に招待して歓待し、3日間を過ごす。兵士が村に到着すると、実は3日間ではなく3年が過ぎていたことを悟る。フィアンセは既に他の男と結婚しており、母親は幽霊が戻ってきたと勘違いして逃げる。すべてを失った彼は悪魔にもらった本を活用して金持ちになる。病気の王女を抱えた王と出会い、彼女の病気を治して結婚する運びとなるが、何ゆえか心の空虚感が付きまとい、再び悪魔と出会ったときにヴァイオリンを返してくれるよう頼むが断られる。王と共謀してそのヴァイオリンを奪うが逆襲されて再びヴァイオリンを取られ、彼は地獄に落ちる。

台詞を語るバレーダンサーの演しものははじめてみたが、筋の詳細がわかっていいかもしれない。ダンスをしている間は通常のバレーのようにダンスに専心しているのでダンスそのものに悪影響は与えないだろうし。
劇としては結構笑を誘う場面があり観客を楽しませる。ただ、公演そのものあるいは作品そのものが非常に優れたものかと言うとあまりそういう気はしない。音楽そのものもそれほど魅力的なものではないし。

イメージ 2観客を見回すと、かなりの数の日本人を認めることが出来る。アダム・クーパーのファンが日本から押しかけているそうだ。イギリスでは「マシュー・ボーンの白鳥の湖」以降はあまりぱっとしない人なのだが。写真はアンコールにこたえる出演者。向かって左から2番目がアダム・クーパー。

今日のバレーは3つのプログラムを上演するものであった。
(1) ウォルトン作曲 Tombeaux
振り付け:David Bintley
主演:Alina CojocaruとJohan Kobborg
(2) エルガー作曲 エニグマ変奏曲
振り付け:Frederic Ashton
主演:Christopher Saunders他
(3) ストラヴィンスキー作曲 春の祭典
振り付け:Kenneth MacMillan
主演:Tamara Rojo

「春の祭典」はまだ見たことが無いという理由で今日のプログラムを選んだのだが、いろいろの組み合わせの中でアリーナ・コジョカルが出演する演目のあるものにした。実は私は彼女が一番気に入っているバレリーナなのである。

「Tombeaux」は約25分ぐらいの演しもので、リリカルなメロディに載ったやや古典的な振り付けで女性ダンサーは黒のtutu姿で男性ダンサーは全身黒のタイツで踊る。コジョカルの可憐なバレーを堪能できて幸せ。

「エニグマ変奏曲」は美しい秋の庭で繰り広げられるエルガーと友人たちの日常のスケッチを描写したもので日常の服装で優雅に踊るもの。20名以上が登場し、特に主役というダンサーはいないのだが一応エルガーを演じる人の名前を挙げた。美しい場面だが、公演前に飲んだワインが効いてちょうど眠くなるタイミングで気持ちがよかった。上演時間約35分。

メインの演しもの「春の祭典」、見事な振り付けであった。この曲に関して世の中には150以上の振り付けがあるらしいが、イギリス人の振り付けはこれのみだそうだ。私は昔レニングラードバレーだと思うがソ連製の映画を見たことがあり、それはロシアの民族衣装とコサックなどを含むローカルな踊りをふんだんに取り入れたもので、それはそれで楽しい思いをしたことを覚えている。

今日上演されたマクミランの振り付けは、もっと現代的で、ほぼ全員が暖色系のサイケデリックな模様の入った全身タイツに、顔は真っ白に塗って頬に模様を入れ、頭は鬘で男性ダンサーは白い坊主姿、女性ダンサーは長い髪の毛様のものをつけている。踊りはバレーというよりモダンダンスで、奇妙とも思えるような動作を繰り返す。しかし総勢40人以上の出演者が集団でそれをやるので迫力がある。このストラビンスキーの音楽に非常によくマッチしている。曲はご存知の通り突然終わる感じであるが、その瞬間タマラ・ロッホの体が空中に放り投げられ、舞台が暗転して終わるという衝撃的な最後が強烈な印象を与える。35分間が非常に短く感じられた。

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   Tamara RojoとCarlos AcostaによるManonの1シーン

昨夜コベントガーデンのオペラハウスで見たバレーの感想を述べる。
演目はマスネー(Jules Massnet)の作曲した同名のオペラのバレー版。振り付けは高名なChoreographerであるケネス・マクミラン(Kenneth MacMillan、故人)による。
原作は18世紀のAbbe Prevostの小説。同じ内容でマノン・レスコーという題でプッチーニもオペラを作曲しており、オペラとしてはこの方が有名である。

あらすじは、兄の斡旋で娼婦として金持ちから金銭を得ているマノンがあるときグリューという名の学生と恋に落ちる。金持ちの金を盗んで彼との生活を楽しむが警察に捕まり、アメリカに放逐される。グリューも一緒についていくが放浪の末マノンは死んでしまう。

今夜の主演は、マノン役にタマラ・ロホ(Tamara Rojo)、グリュー役にカルロス・アコスタ(Carlos Acosta)という共に当代世界屈指のダンサー。アコスタはこれまで何度かロイヤルバレーで見たことがあるが、ロホは今まで当日不出演などがあって私にとって今日が初めてである。

この二人が一緒に踊るバレーは筆舌に尽くしがたいくらいすばらしい。第1幕で二人が出会ってお互いに愛を告白するシーンと第3幕最後でマノンが死ぬ直前のデュエットは息を呑むパーフォーマンスであった。振り付けは曲芸的な動作を要求しているが、二人の動きを見ると非常にスムーズなので一見苦も無くやっているように見える。しかし細部を見るとそれぞれが高度なテクニックを連続して組み合わせたもので、息の合ったこの二人だからこそ演出家の要求する感動的な空気を余すところなくかもし出すことが出来たものと思われる。

私はアコスタと言う人はしなやかな筋肉で持って激しい動きを美しく表現する人と言う印象を持っていたが、今日の公演を見て微妙な感情も感動的に表現できる人であることを発見した。ロホも高名なバレリーナであることは知っていたが、今日目の当たりに見て並外れた技量を持った人であることを確信した。

数十人に及ぶ共演のダンサーたちも一流といえる技量を持つ人が多く、ロイヤルオペラの層の厚さを感じさせる。日本人ダンサーはRyoichi Hiranoという人が参加していた。
しかしこのような感動的パーフォーマンスを日常のごとく見ることの出来るロンドンというところは底知れぬ芸術都市である。それを育ててきた英国人のよき伝統にも拍手喝采したい。私がロンドンを離れられぬ理由のひとつである。

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