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A Picture of Britain展

テートギャラリーで開催中のイギリスの風景画展を見てきました。素直に楽しめました。

イメージ 118世紀から今日の作品までイギリス本島であるGreat Britainを隅々まで網羅して歴代の風景画を一堂に集めたものです。

ターナー、コンスタブル、ゲインズバラなど有名どころはももちろん入っていますが、大部分は初めて聞く名前でした。

18-19世紀の画家は自然をありのままにほんとに緻密に描く人が多くいますが、その中でも全体の色調を整えて強調すべき自分の印象をきっちり表現することで個性を出す人の作品はやはり感銘を与えます。

時代の流れに応じてテーマや画風がどんどん変わっていく様を見るのも面白いものでした。フランスなどと違って特段に絵画史に影響を与えた画家がいなかった状況下では、私としては新しいものほど共鳴を覚えてしまいますが、まあ自然なことと思っています。

私の好きな絵の中から一部の作品を写真にて紹介しますが、上から、
Grimshawの1865年作品 Bowder Stone。転がっている石が写真のように精密な描き方ですが、全体の色のバランスが魅力的です。

Brownの1919年作品The Line of the Plough。イングランド東側の海岸を描いたものですが思い切り広くした空と海、砂浜などの構図から詩を感じます。

Carringtonの1921年作品 Farm at Watendlath。構図の面白さと緑色の微妙な色使いでほのぼのとした温かさが表現されています。

Cameronの1936年作品 Wilds Assynt。構図も面白いし、ブルー系統の微妙な色使いがはっとするほど美しさを醸し出しています。

Frida Kahlo展 – Tate Modern

Tate Modern美術館で開催中の美術展に行ってきました。
イメージ 1彼女は1907年生まれで1954年に若くして亡くなったメキシコの画家です。母親はインディオの血を引く混血、父親はドイツ人です。この複雑な混血によって彼女は生涯を通じて自分のアイデンティティに真剣に悩むところがあります。ハイティーンの時には乗っていたバスと市電が衝突して重傷を負い、生死をさまよう体験をします。しかしベッドに臥せって時間をもてあましたときに絵を描き始めましたので、それは彼女の人生を決めた出来事になったのです。後年結婚しますが、流産とか、夫が自分の妹を含む複数の女性と関係を持ったことから離婚を経験します。このようないろいろなトラウマ的出来事が彼女の作品に影を映しますが、その事情を知るものには大変わかりやすい絵になっています。インディオあるいはメキシコ土着文明からは神を含むすべての現象、生命の根源は太陽であり、滅亡と再生産もそれに依存していることを強く認識していました。西欧の血からは合理的な思想を受け継ぐものの今一のめり込めないところがあったようです。セックスに対する関心も高く植物や果物を描く場面でもそれが強く感じられる作品も多いように思います。そういった諸々の思想を人物画や、静物画など多彩のテーマで表現していった特異な作家というところでしょう。それが死後50年以上たった今彼女の業績が見直されてこの展覧会となりました。見ていて気持ちのいい絵ではありませんが、強烈な個性を感じました。
写真は展示されていたものの中から任意に3枚を選んだものです。

トレーシー・エミン展

Tracy Emin(1963年ロンドン生まれ、写真)はInstallationや絵画など現代的な作品を制作するアーティストである。
イメージ 1



彼女は1997年に発表したInstallationで、下の写真のようにテントを張って内側に1995年までに彼女と寝た男性の名前100人以上を書いた布を貼り付けたものでまず注目を集めた。
イメージ 2



内側は下の写真のようになっている。
イメージ 3


同じくInstallationで、Tate Galleryが主催する1999年のTurner賞にノミネートされたことで一躍有名になった作品「My Bed」において、自分の乱雑なベッド(下着だけでなくコンドームやタンポンまで散らばっている)を展示するというのも話題になった。要するにセックスを含めて自分を赤裸々に晒す作品で有名になった人だ。

今回は、「When I think about sex…」という題名の展覧会であり、作品はすべて2005年に制作されたもの37点である。カンヴァスや紙に書いた絵画、布地にイラストや文字を縫い付けてイメージを表現したEmbroidery、立体的なInstallationなどで構成されている。

展示されている作品のいくつかを紹介すると、下の最初のものは「It’s not the Way I Want to Die」という題のInstallation。木の廃材などを使った小型のジェットコースターのような造作物。
イメージ 4



次の写真が「Yellow Dress」という題のカンヴァスに描いた絵画。恐らくモデルは自分自身であろう。
イメージ 5



最後の写真が「Holding on to Love」という題で、Embroideryである。写真ではわかりにくいが、下半分のパッチワークのところに描かれている白いものは精子の形をしている。
イメージ 6



ざっと全体を見て、アートというものは自分を表現する手段であるにしても素材が生のままでほとんど昇華し切れていない。そんなつもりもないのだろうが。セックスがテーマなのでわかりやすいことは確かであるが、それがどうした、と言いたくなる。心地よさも不快感もない。正直言ってよくわかりませんでした。
イメージ 1South BankのHayward Galleryで現在開催中の展覧会を観てきた。レベッカ・ホーンは1944年ドイツ生まれのアーティストである。彼女の作品は、絵画、フィルム、詩、彫刻からInstallationまで及び、当初は偶然性のなせる表現を織り交ぜた絵画やInstallationが主作品であった。例えば、モーター仕掛けのスプレーが噴出する絵の具で描くとか(最初の写真)、定期的に運動する鏡による光の投影などである。

そういった作品群は一時期流行したような手法で、私はあまり感心しない。ほとんど感動がない。そういった中で、明確なメッセージを感じる作品もある。

イメージ 2例えば右の写真に示すもの。これはモーターが間欠的に動いて、蟹の足のように配置されたナイフが対向するナイフの切っ先と一瞬触れたかと思うとまたゆっくり離れる動作をする。そして左側のナイフには赤い文字が一字ずつ書いてある。L・O・V・Eである。これに対して右側のナイフには黒い文字で、H・A・T・Eと書いてあるのだ。愛と憎しみが織り成す我々の世界を象徴した作品といえるだろう。

それが最近の(恐らく2000年以降の)Installation作品では、モーターと光を使う点は同じだが、スピーカーから流れるニュージーランドの作曲家Haydon Chisholmの静かな音楽と相俟って、Installation全体がより洗練された独特の世界を強く提示している。ひとつの独立した空間が必要であるが、その中では詩を感じるとともに、ほかの芸術とは違う雰囲気に包まれていつまでもそこに居たい気を起こさせる。

今回の最後に展示されている「Light imprisoned in the belly of the whale」がその代表的なもので、暗くした大きな空間の中で複数の投射機によって、壁、天井、床に彼女の詩が黒抜きの文字で回転しながら投射される。床の真ん中には3mx4m程度の四角い水盤が置かれており、天井から吊り下げられた巨大な針状の棒が水面近くをモーターの力でランダムな軌跡を描いて行く。その動きは間欠的である。私も含めて多くの観客が心を打たれてその部屋のあちこちにたたずみ、瞑想にふけっていた。「鯨の腹に閉じ込められた光」とはよく言ったものだ。

最新のInstallation作品というものは最近ずいぶん見ているのだが、感想を書けるほどの感銘を受けたものはこれが最初かなという気がする。
引き続き、バッキンガムパレスの女王美術館で開催されている展覧会の報告です。
スペインのハプスブルゲ家の支配下にあったネーデルランド地方(現在のオランダとベルギー)はプロテスタント勢力の抵抗で17世紀になってまず北部が独立してオランダとなりました。後年、残りの地域はカソリック国として独立してベルギーとなりますが、紆余曲折を経て完全に独立したのは19世紀になってからです。

オランダは独立によって社会は充実し、多くの画家が輩出して数々の傑作を残し、黄金時代を迎えます。それをいち早く認めて沢山の絵を購入した当時のイギリス王室はなかなかのものだと思います。その絵がイギリスの画家たちに影響を与えて、ゲインズバラ、コンスタブルやターナーなどの風景画家、さらにはレイノルズなどの肖像画家を生み出す素因になったのだろうと察せられます。

イメージ 1レンブラントの絵はカタログによるとここに4枚あるのですが、今回はそのうち、老婦人の肖像(1629年)、墓場で復活したキリストとマグダラのマリア(1638年)、自画像(1642年)の3枚が展示されています。

老婦人の肖像(左の写真)はレンブラントが23歳のときの作品で、既にレンブラントならではのものすごい腕前に圧倒されます。迫力があります。よくこれだけ精緻に皺が描けたこと。このモデルは画家のお母さんだという説がありますが、23歳の息子の母親にしては老齢過ぎると思います。
イメージ 2


自画像(右の写真)は彼が頂点にいるときのもので、顔からゆったりした満足感が漂っています。絵のサイズは50x40cmぐらいで小型ながらかなり丁寧に描かれています。


イメージ 3

キリストの絵は彼が最初に復活したのはマグダラのマリアのそばという伝説を題材にしたもので、レンブラントの絵としては珍しいテーマだと思います。少なくとも私はこの手のものは他には知りません。ただ、絵としてはあまり感心しません。

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