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テートギャラリーで開催中のイギリスの風景画展を見てきました。素直に楽しめました。 ターナー、コンスタブル、ゲインズバラなど有名どころはももちろん入っていますが、大部分は初めて聞く名前でした。 18-19世紀の画家は自然をありのままにほんとに緻密に描く人が多くいますが、その中でも全体の色調を整えて強調すべき自分の印象をきっちり表現することで個性を出す人の作品はやはり感銘を与えます。 時代の流れに応じてテーマや画風がどんどん変わっていく様を見るのも面白いものでした。フランスなどと違って特段に絵画史に影響を与えた画家がいなかった状況下では、私としては新しいものほど共鳴を覚えてしまいますが、まあ自然なことと思っています。 私の好きな絵の中から一部の作品を写真にて紹介しますが、上から、 Grimshawの1865年作品 Bowder Stone。転がっている石が写真のように精密な描き方ですが、全体の色のバランスが魅力的です。 Brownの1919年作品The Line of the Plough。イングランド東側の海岸を描いたものですが思い切り広くした空と海、砂浜などの構図から詩を感じます。 Carringtonの1921年作品 Farm at Watendlath。構図の面白さと緑色の微妙な色使いでほのぼのとした温かさが表現されています。 Cameronの1936年作品 Wilds Assynt。構図も面白いし、ブルー系統の微妙な色使いがはっとするほど美しさを醸し出しています。
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美術
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Tate Modern美術館で開催中の美術展に行ってきました。
写真は展示されていたものの中から任意に3枚を選んだものです。 |
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Tracy Emin(1963年ロンドン生まれ、写真)はInstallationや絵画など現代的な作品を制作するアーティストである。 内側は下の写真のようになっている。 同じくInstallationで、Tate Galleryが主催する1999年のTurner賞にノミネートされたことで一躍有名になった作品「My Bed」において、自分の乱雑なベッド(下着だけでなくコンドームやタンポンまで散らばっている)を展示するというのも話題になった。要するにセックスを含めて自分を赤裸々に晒す作品で有名になった人だ。 今回は、「When I think about sex…」という題名の展覧会であり、作品はすべて2005年に制作されたもの37点である。カンヴァスや紙に書いた絵画、布地にイラストや文字を縫い付けてイメージを表現したEmbroidery、立体的なInstallationなどで構成されている。 展示されている作品のいくつかを紹介すると、下の最初のものは「It’s not the Way I Want to Die」という題のInstallation。木の廃材などを使った小型のジェットコースターのような造作物。 次の写真が「Yellow Dress」という題のカンヴァスに描いた絵画。恐らくモデルは自分自身であろう。 最後の写真が「Holding on to Love」という題で、Embroideryである。写真ではわかりにくいが、下半分のパッチワークのところに描かれている白いものは精子の形をしている。 ざっと全体を見て、アートというものは自分を表現する手段であるにしても素材が生のままでほとんど昇華し切れていない。そんなつもりもないのだろうが。セックスがテーマなのでわかりやすいことは確かであるが、それがどうした、と言いたくなる。心地よさも不快感もない。正直言ってよくわかりませんでした。
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そういった作品群は一時期流行したような手法で、私はあまり感心しない。ほとんど感動がない。そういった中で、明確なメッセージを感じる作品もある。 それが最近の(恐らく2000年以降の)Installation作品では、モーターと光を使う点は同じだが、スピーカーから流れるニュージーランドの作曲家Haydon Chisholmの静かな音楽と相俟って、Installation全体がより洗練された独特の世界を強く提示している。ひとつの独立した空間が必要であるが、その中では詩を感じるとともに、ほかの芸術とは違う雰囲気に包まれていつまでもそこに居たい気を起こさせる。 今回の最後に展示されている「Light imprisoned in the belly of the whale」がその代表的なもので、暗くした大きな空間の中で複数の投射機によって、壁、天井、床に彼女の詩が黒抜きの文字で回転しながら投射される。床の真ん中には3mx4m程度の四角い水盤が置かれており、天井から吊り下げられた巨大な針状の棒が水面近くをモーターの力でランダムな軌跡を描いて行く。その動きは間欠的である。私も含めて多くの観客が心を打たれてその部屋のあちこちにたたずみ、瞑想にふけっていた。「鯨の腹に閉じ込められた光」とはよく言ったものだ。 最新のInstallation作品というものは最近ずいぶん見ているのだが、感想を書けるほどの感銘を受けたものはこれが最初かなという気がする。
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引き続き、バッキンガムパレスの女王美術館で開催されている展覧会の報告です。 スペインのハプスブルゲ家の支配下にあったネーデルランド地方(現在のオランダとベルギー)はプロテスタント勢力の抵抗で17世紀になってまず北部が独立してオランダとなりました。後年、残りの地域はカソリック国として独立してベルギーとなりますが、紆余曲折を経て完全に独立したのは19世紀になってからです。 オランダは独立によって社会は充実し、多くの画家が輩出して数々の傑作を残し、黄金時代を迎えます。それをいち早く認めて沢山の絵を購入した当時のイギリス王室はなかなかのものだと思います。その絵がイギリスの画家たちに影響を与えて、ゲインズバラ、コンスタブルやターナーなどの風景画家、さらにはレイノルズなどの肖像画家を生み出す素因になったのだろうと察せられます。 老婦人の肖像(左の写真)はレンブラントが23歳のときの作品で、既にレンブラントならではのものすごい腕前に圧倒されます。迫力があります。よくこれだけ精緻に皺が描けたこと。このモデルは画家のお母さんだという説がありますが、23歳の息子の母親にしては老齢過ぎると思います。 自画像(右の写真)は彼が頂点にいるときのもので、顔からゆったりした満足感が漂っています。絵のサイズは50x40cmぐらいで小型ながらかなり丁寧に描かれています。 キリストの絵は彼が最初に復活したのはマグダラのマリアのそばという伝説を題材にしたもので、レンブラントの絵としては珍しいテーマだと思います。少なくとも私はこの手のものは他には知りません。ただ、絵としてはあまり感心しません。
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