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オルゴール きまぐれノオト オルゴールの世界をご案内
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 スイスはサントクロワの住人、フランソワ・ジュノーは現代オートマタ作家の旗手であると言えるでしょう。
 最近の作品はオートマタというよりも、18世紀にジャケ・ドローらによって製作されたアンドロイドに近いかもしれません。
 姿や動きに徹底的なリアリティの追求がなされ、ややぎこちない動きとも表現できるオートマタとは一線を画しているようにおもえます。
 ただ、サントクロワを訪れた人ならばご存知の通り、リュージュ社の工場の前にある彼のアトリエには日本語で「オートマタ工房」と書かれてあって、だからやはりオートマタなのでしょう。
 ジュノーの作品との出会いはあまり芳しいものではありませんでした。
 「オルゴールの聖地」ともいえるサントクロワの博物館「CIMA」を初めて訪問したとき、そのガイドで一番最初に見せられたのがサイボーグのような人形が宙をぐるぐる廻るからくりで、古いオルゴールを期待していった者を鼻白ませる展示品でした。
 それがジュノーの作品であったので、ガッカリ感があってどうも印象がよくなかったのです。
 次にジュノー作のピエロ・エクリバンを見たのですが、ヴィシーやベルトランのものと比べてえらく小さいものでした。
 このピエロ・エクリバンは「オルゴールとオートマタのワンダーランド」にも載っていて、それを見てベルトランと同じ大きさとおもっていたので、その落差に戸惑いました。
 しかしその後信頼に足る美術関係の方から、ジュノーがオブジェの現代美術の作家であることを聞かされ、ジュノーの「作品」に納得するようになりました。
 ビデオ版「オルゴールとオートマタのワンダーランド」に出て来るへんてこりんなからくりオブジェや、ずっと以前に青山スパイラルホールで開催されたオルゴール芸術展に出品されていたこれまたへんてこりんな展示品も、オルゴールやオートマタという括り以前に彼の芸術表現であるのです。
 それらは深遠なる内面を表現するかのような抽象的な作品でありましたが、オートマタという具象的な作品にも彼の「芸術」が反映されていることを知りました。
 つまりベルトランのように伝統的オートマタの製作者ではなく、ジュノーの場合はそこに新しい芸術表現が加えられているのです。
 ジュノー氏と初めてお会いしたのは比較的最近で、愛知万博でゲストとして招待され来日した際のことでした。
 彼の姿はもちろん写真でしか見たことがなく、それも随分と若いころの写真であったため待ち合わせ場所に現れたロックミュージシャンのような風体の人物が誰だかわからず「me Junod!」と言われてしまいました(彼の母語はフランス語)。
 そのとき持って来た万博に出品されたオートマタが素晴らしかった。
 ジャンルとしては手品師であり、テーブルの上に小鳥が出て来る、つまりシンギングバード・ボックスの仕組みが埋め込まれたからくりですが、バードボックスの仕組みを知らない人には磨き上げられた金属の机の天板に小鳥の出て来る痕跡、つまり仕掛けが全く見出すことができないであろう優れたものでした。
 現在、日本では京都嵐山オルゴール博物館でフランソワ・ジュノー作の、大型で優れたオートマタの数々を見ることができます。
 また上海のオルゴール博物館にも優れた大型作品が多数展示されています。
 そしてフランソワ・ジュノーとは「芸術家」であるという認識に立ちそれらを見れば、オートマタに対してまた違った視点を持つことができるのではないでしょうか。
 もちろんその優れた動きの製作技術を堪能することは言うまでもありません。

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