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ミュンヘンとザルツブルクへの音楽旅行から帰って参りました。実りのある旅行でした。以前ブログでも書いたようにミュンヘンで3演目『オランダ人』『フィデリオ』『マイスタージンガー』を鑑賞しました。
2007年7月29日(日)20:00 ワーグナー『さまよえるオランダ人』 バイエルン州立歌劇場
アダム・フィッシャー(指揮) ペーター・コンヴィチュニー(演出)
コンヴィチュニーによるこのプロダクションは、ボリショイ劇場(モスクワ)との共同制作で2006年2月にプレミエ上演されました。”あっと驚く超衝撃的”な終わり方をするもので、いろいろと物議を醸したしているものです。指揮はアダム・フィッシャー、ワーグナー職人としてかなりの評価を得ている人で今年のバイロイトでも『パルジファル』を指揮しています。どにかくオーソドックスでストレート、落ち着いたしっかりとした響きを作り出す人で好感がもてます。
歌唱陣では偶然にも、ウーシタロ(オランダ人)、カンペ(ゼンタ)が新国立劇場(東京)で上演されたものと一緒になりました。圧倒的に感銘を受けたのは、カンペのゼンタで非常に豊かな声量とスケールの大きな表現力でこれは想像以上に素晴らしい出来でした。また演出上も重要な役であったためその素晴らしい演技力でも他を圧倒していました。ウーシタロのオランダ人ですが、これは会場内からもブラボーとブーイングが入れ混じったように、随分微妙でしたね。1幕では、深みのある声でじっくりと聴かせてくれたのですが、2幕以降全く歌が響いてこなくなってしまいました。カンペの気迫に圧倒されたのでしょうか?この調子で最後までいってしまったので、随分と欲求不満がたまりました。サルミネン(ダーラント)は、ベテランらしいしっかりとした歌唱。しかし、この日から3演目とも出演のため、この日はやや押さえているのかなあとも感じました。Kurt Streitのエリックは、声はよく出ていて良かったのですが、特筆するべきものもありません。
一番の問題は演出で1幕、3幕(但し、最後以外)は結構オーソドックスなもの。序曲は救済のないヴァージョンでした。2幕は舞台をスポーツジムに移したもので会場内から笑いが起こっていました。驚きは結末でゼンタがドラム缶から出した火薬に火を付けてすべてを爆破してしまうのです。その瞬間会場内(オーケストラピットも含めて)の電気がすべて消され、オケの演奏も止まって、ステージの後方で結末部分の演奏を録音したものが小さな音で流れるのです。これは『さまよえるオランダ人』という作品への全否定なのでしょうか?会場内はブラボーとブーの応酬。奇抜なアイデアであることは評価しますが、10年後、20年後このプロダクションが続いているかどうかだと思います。しかし、ここまでガツンとやってしまうと最初は衝撃的でも時間が経つにつれ飽きられるのではと思います。ブーの声が無くなった時こそ、この演出の終わりでしょう。
この『さまよえるオランダ人』は、2007/08のシーズン早速9、10月に登場します。今度は指揮者がシュテファン・ショルテス(エッセンのGMD、がんばってます)。オランダ人がブレンデル、ダーラントがリドルとこちらも楽しみな歌手陣です。但し最後は欲求不満が残るので、ワグネリアンの方は要注意です。
次回は、マイヤーが出演して注目を集めた『フィデリオ』です。
Der Fliegende Hollaender
Richard Wagner
Muenchner Opernfestspiele 2007
Sonntag, 29. juli 2007
Nationaltheater
Musikalische Leitung: Adam Fischer
Inszenierung: Peter Konwitschny
Daland: Matti Salminen
Senta: Anja Kampe
Erik: Kurt Streit
Mary: Heike Groetzinger
Der Steuermann: Kevin Conners
Der Hollaender: Juha Uusitalo
Ein Engel: Christine Polzin
Baerisches Staatsorchester
Chor der Bayerischen Staatoper
Statisterie der Bayerischen Staatsoper
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いいですねぇ〜、ミュンヘンの『オランダ人』。コンヴィチュニーの演出が面白そうですし、指揮者のアダム・フィッシャーは好きですし、そして何よりカンペ!!観てみたいです!!次回の来日公演に演目に入らないかなぁ〜。
2007/8/6(月) 午後 9:54 [ オデュッセウス ]
しかし、この結末はちょっとないだろうという終わり方です。
2007/8/7(火) 午前 4:59
ワーグナーの音楽は幕切れが最高なのに、着地の無い体操の鉄棒の演技を見るような感じです。素晴らしいオーケストラのメンバーはどう思ったでしょうね。
2007/8/8(水) 午後 11:45
Kurt Streitがワーグナーを歌ってるとは知りませんでした。カンペはどこども評判がいいですね。彼女来月ロスアンゼルスで「フィデリオ」に出演するので聴きたいのですが、多分経済的に無理なので2010年の「リング」(ジーグリンデ)までおあずけでしょう。
2007/8/9(木) 午前 1:44 [ 蘭丸 ]
JinKさん>ワーグナーへの挑戦であるこの演出は、結構指示されているようなので、このまま残るのかもしれませんが、、これはよくないですね。コンヴィチュニーが偉大な演出家であることは認めますが、このプロダクションはいけません。
蘭丸さん>Kurt Streitは、私は全く初めての歌手でよく知らなかったのですが、お聴きになったことがあるんですね。カンペはお薦めの歌手です。ジークリンデとは楽しみですね。
2007/8/9(木) 午前 2:36
アニア・カンペ、素晴らしかったのですね。東京でも好評で、聴きにいけなかったのが残念です。サルミネンも重量級のバスで、良かったでしょうね。/9,10月の公演はショルテスの指揮ですね!いま注目のクラウス・フローリアン・フォークトも出ますし、これも素晴らしい公演になるでしょう。
2007/8/11(土) 午前 11:07 [ mar*in*bba*o ]
martinabbadoさん>ミュンヘンの『オランダ人』、ブレンデルだとかなり激しいオランダ人になるのでしょうか?東京の公演ではウーシタロも評判が良かったようですが、これはかなり好みによって分かれるなという印象を持ちました。
2007/8/11(土) 午後 8:28
実は僕としてもブレンデルのオランダ人というのはなかなか想像がつきにくいのです。激しいオランダ人になるのか、それとも意外とかなり落ち着いた役作りをするのかもしれません。もしかすると、ブレンデルのオランダ人も好みが分かれるかも知れませんね(笑)。
2007/8/12(日) 午前 9:47 [ mar*in*bba*o ]
はじめまして。私もこのオランダ人は去年3月に観ました。プレミアの直後だったので結構評判になっていました。バイエルン4の生中継では、「とても特異なエンディングデで、放送事故ではありません。」と繰り返してました。
アダム・フィッシャーは最近ブダペストでワーグナーをやっていて、来年6月には4日間でリングを上演します。ウーシタロがワルキューレのウォータン、サルミネンがハーゲン、リドルがフンディングを歌います。お時間があったら是非どうぞ。
2007/8/13(月) 午後 9:18 [ haydnphil ]
haydnphilさん>こんにちは。アダム・フィッシャーのサイト時々拝見させていただいていました。よろしくお願いいたします。フィッシャーのリングがブダペストで聴けるのですね。まだドイツにいたらぜひ聴きにいきたいですね。情報ありがとうございます。
ミュンヘンでは、もうフィッシャーを聴く機会は無くなってしまうのでしょうか?
2007/8/14(火) 午前 4:49
関係の深いオペラ座なので、そのうちまた復活するとは思いますが、客演指揮者は劇場マネージメント次第なんだそうです。ヨナス+メータとはとても関係が良かったんですけど。
ブダペストのリングはキャスティングは一流だけど、チケットが安くて良いですよ。最高でも約40ユーロだから、通しで観てもミュンヘン1回分くらいです。
2007/8/14(火) 午後 11:48 [ haydnphil ]
haydnphilさん>ドイツでも安くて良い公演を観れるように心がけていますので、そのチケット代は魅力的です。実は昨年の夏休みにブダペストへ行きオペラも観ましたので、また行ってみたいと思っています。ミュンヘンでもまたフィッシャーが聴けるといいのですが。
2007/8/15(水) 午後 11:04