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椎間板ヘルニアでしばらくオペラやコンサートをキャンセルしていた小澤だが、指揮をするのは病気後今回がはじめてだろうか?小澤が元気そうにオケピットに現れてこちらも安心した。小澤征爾音楽塾も今回が9回目になるようだが、音楽を学ぶ学生や若手演奏家にとってこのような機会をもてることは非常に貴重な経験になるだろうし、またここに選ばれている人達も相当レベルの高い人達なので聴く方もそれなりに満足することができる。
演出はタングルウッド音楽祭をはじめ長年小澤と仕事をしているデイヴィッド・ニース。私は以前サイトウキネンフェスティバルでニースが演出した、ベルリオーズの『ファウストの刧罰』をテレビで見た記憶がある。面白いなあとは思ったが詳細は覚えていない。プログラムを読んでいると随分と台詞にこっているようである。改めて言うまでもないが、喜劇にとって台詞はとても大事である。前回鑑賞したウィーン・フォルクスオーパーともなると、まあ台詞の妙もドイツ語がわかる人には楽しめるのだろうが、やはりシュトラウスの音楽は普遍的なものであると思うので、台詞次第では我々(日本人)の楽しむ『こうもり』を作り上げることも十分可能である。今回の公演はそれに十分成功した公演だったし会場の大多数のお客さんそれに満足していたのではないだろうか。
今回はウィーン・フォルクスオーパーのアンサンブル歌手を中心としたものではなく、大歌手を結集して行った公演だが、どの歌手も演技達者で楽しむことができた。特にアイゼンシュタイン役のボー・スコウフスは最近ドイツでも大活躍の歌手で私もよく聴いた歌手なのだが、喜劇役者としての才能も十分にあることを示してくれた。ロザリンデ役のロスト、ファルケ博士役のギルフリー、フランク役のカルロも好演していた。一方すこし弱いと感じたのはアデーレ役のクリスティ、歌は良いが演技はもう一つ。アルフレート役のギーツはもう少し声量がほしいかなあ。オルロフスキー公のゴールドナーはちょっと地味すぎる。この個性的な役をもっと作り上げて欲しかった。演出家にとってはこの役こそいろいろやりがいがあるのではないだろうか?フォルクスオーパーのコワルスキーが魅力的過ぎたので、かなり聴きおとり見劣りがした。
オーケストラはまずまずではないだろうか。小澤が指揮するとやはり小澤節になるのでそれでよいのだ。もちろん、いつも書く事だがオペラオペレッタを専門とするオケは、技術を越えた上手さをもっていると思った。そこに到達するにはやはり上手い人を集めただけではだめだ。常設のオケではなく若手の教育目的のオケであるので、そこを差し引いて合格点ということだろう。技術的な細かい点よりも、オペラ、オペレッタを上演する際には、やはり物語に寄り添うような演奏ができるかどうかだ。そのためには演奏家が物語の内容をきちんと理解いていないといけない。そうでないと説得力のある演奏はできないと思う。バイロイトが強いのはその辺りのためだ。
また今回のように世界に羽ばたく音楽家を多数育成することも重要だが、国内オケの水準を高くすることもまた重要である。やはり我々が常日頃から接するオケこそ良いプレーヤーでレベルの高い演奏をして欲しいものである。
初めて神奈川県民ホールを訪れたのだが、思ったより小さくてなかなか良いホールである。安い席でも舞台全体がよく見えて良い。東京文化会館とともにオペラ公演には、大きさ見やすさともに良いと思う。さらに最上階のロビーから見る横浜港の眺めは最高である。
2008年7月21日(月)神奈川県民ホール 大ホール
小澤征爾音楽塾オペラ・プロジェクトIX J.シュトラウスII世『こうもり』
塾長・指揮:小澤征爾
演出:デイヴィッド・ニース
装置:ヴォルフラム・スカリッキ
衣装:テイエリー・ボスケ
照明:高沢立生
振付:マーカス・バグラー
ディレクター・オブ・ミュージカル・スタディーズ:ピエール・ヴァレー
合唱指揮:キャサリン・チュウ
副指揮:鬼原良尚
小澤征爾音楽塾オーケストラ
小澤征爾音楽塾合唱団
東京シティ・バレエ団
ロザリンデ:アンドレア・ロスト
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン:ボー・スコウフス
アデーレ:アンナ・クリスティ
アルフレート:ゴードン・ギーツ
オルロフスキー公:キャサリン・ゴールドナー
ファルケ博士:ロッド・ギルフリー
フランク:ジョン・デル・カルロ
ブリント博士:ジャン=ポール・フシェクール
イーダ:澤江衣里
フロッシュ:小迫良成
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リエンツィさん、こんばんは。
わぁ、スコウフス、良かったのですね。(^^)
私、スコウフスのCDは何枚か持っていて、好きなバリトンの一人なのですが、まだ一度も生のオペラの舞台は観たことがないのです。
今回、彼が来日していることに気がついたのも、つい最近で、浜松のチケットは残っているようなのですが、東京のチケットはもう売り切れてしまっているみたいで・・・
せっかくのチャンスだったのに聴きにいけないだろうなぁ、残念です。
話は変わって、神奈川県民ホールはロビーからの眺望が、ホント、ステキですよね。
私も好きなホールです。(^^)
2008/7/25(金) 午前 0:29 [ - ]
カラヤンが椎間板ヘルニアになったのはもう少し後だったような気がします。これはまず完全に治ることはないですので先が思いやられますね。切っても同じです。Wienこんなに休んで大丈夫かな?
2008/7/25(金) 午前 5:40 [ 菅野 ]
snow_dropさん>日本でスコウフスに注目しておられたとは通ですね。わたくしは以前ドレスデンでみた、ベックメッサー役に関心しました。演出上、ただの喜劇役者では勤まらない、難しい役だったのですが見事にこなしてくれました。
スコウフスは、また来ると思いますよ。コンサートも積極的にこなしていますし、初めて聴いたのはハンブルクのライスハレで、ハンブルクフィルの演奏会で、これは現代音楽の歌曲でした。二回目はアムステルダムのコンセルトヘボウで、これはツェムリンスキーの抒情交響曲でした。そして三回目がさきほどのゼンパーオペラで『ニュルンベルクのマイスタージンガー』のベックメッサー役です。知的で深い表現をする歌手だと思います。
県民ホールは、いいですね。ただ自宅から片道2時間はかかるのがネックです。東京文化会館だと行きやすくて良いのですが。
2008/7/25(金) 午後 10:41
菅野さん>これからの10年で残す結果で、小澤も大きく変わるとおもうのですが、、。どうでしょう。
2008/7/25(金) 午後 10:42
カラヤンみたいに手術ばっかやってるとやばいですよ。カラヤンはその都度指揮の演奏能力も落ちてきましたね。
2008/7/26(土) 午後 7:05 [ 菅野 ]
小澤さん、お元気でよかったですね。明日は、びわ湖ホールへ来られますが、もう少し安かったらいいのになぁと思って見送ります。(個人的には日本人キャストでもいいのに)
こうもりは、序曲を聴くだけで元気になれるので好きです。
2008/8/1(金) 午前 11:46 [ mai ]
舞さん>チケットは確かに高いですよね。小澤とスター歌手が揃っているので仕方がないのですが、、、。日本では安くオペラが観れないのが残念です。なかなかヨーロッパのように娯楽の一つになっているわけではないので難しいのですが。
2008/8/1(金) 午後 10:36
スコウフス、ギルフリー、ロストというのはかなり豪華な配役ですよね。スコウフスはアバドとの「フィガロ」の録音もなかなかでしたし、最近買った「ドン・カルロス」フランス語版のロドリーグも良かったです。年末にウィーンに行くつもりなのですが、大晦日のアイゼンシュタインはスコウフスです。
今回のサンフランシスコのプロダクションというのは、もしかしたら一昨年僕が観たものと同じかもしれません。記事をTBさせて頂きます。
2008/8/2(土) 午前 11:15 [ mar*in*bba*o ]
martinabbadoさん>スコウフスそんな録音があったんですか!ドイツ物しか見ていなかったので知りませんでした。なかなか知的な深みの有る表現をする人ですよね。あまりものすごい声量というわけではありませんが。
年末ウィーンですか。羨ましいです。私は、当分海外には行けそうもありません(泣)。
トラックバックありがとうございます。
2008/8/2(土) 午後 11:20
スコウフスはドイツものやオペレッタのレパートリーが多いですね。ダニロは複数ソフトがあるようですね。「ドン・カルロス」は堂々とした歌唱・演技でした。
今年は夏休みが取れるかどうか微妙なところなので、せめて年末年始にと思いまして。一度は大晦日の「こうもり」を見てみたいのです。
2008/8/2(土) 午後 11:57 [ mar*in*bba*o ]
「音楽の友」に写真が載っていましたね。サンフランシスコ・オペラ所有の演出と聞いていたので「もしや?」と思っていたのですが、TBした公演と同じ舞台装置でした。第二幕がちょっと淋しいように思いました。
2008/8/22(金) 午後 11:34 [ mar*in*bba*o ]
そうでしたか。新国でも来シーズン『こうもり』やりますよね。私はフォルクスオーパーの来日公演にものすごく感動したのですが、やはりウィーンでみたいですね。
2008/8/23(土) 午前 0:00
新国立劇場の「こうもり」はフォルクスオーパーとも違うハインツ・ツェドニクの演出ですが、とても綺麗な演出です。
オットー・シェンクの演出も見ましたが、やはりNHKホールではなくウィーンで見たいものですね(笑)。
2008/8/30(土) 午前 9:31 [ mar*in*bba*o ]
「こうもり」は全員オーストリア人で固めないと様にならないですね。もうミュンヘンのクライバーのドイツ人だけでやっても違和感が生じます。台詞があるのは外国では訛りが出るので事実上やれないのですよ。
2008/8/30(土) 午後 9:05 [ 菅野 ]
martinabbadoさん>ジ・アトレ会員なので新国「こうもり」を申し込みました。楽しみです。
2008/8/31(日) 午後 7:53
菅野 さん>訛りはどうしても真似するのは難しいんですね。ただオーストリア人だけで固めるキャストも、なかなか最近で難しくなってきているのではないですか?
2008/8/31(日) 午後 7:54
フォルクスオーパーでしか「こうもり]の訛り聴くことができませんね。Staatoperでもドイツ人がたくさん入ってくるのでもう台無しです。まして外国の上演は全く行く気がないですね。Wienにいるとあの鉛で怒られたり良い思いしたりするのでとても忘れられないです。
2008/8/31(日) 午後 10:42 [ 菅野 ]
シュターツオーパーは、スコウフスも歌うんですよね。ドイツ人どころかデンマーク人ですよね。やはりウィーンにおられたことがあると、ウィーン訛りへの思い入れはお強そうですね。
2008/8/31(日) 午後 11:21
あの独特の訛りはどうしても忘れませんね。フォルクスの「こうもり」見ちゃうと、どうしてもStaatsoperの「こうもり」はバカらしくてちっとも笑えませんね。まして外国ではこの演目は考えられないですね。ドイツの歌劇場には一回も行ったことがないです。わざと避けているのですね。ドイツ人のコントなんて冗談にもなりませんからね。
2008/9/1(月) 午前 6:10 [ 菅野 ]