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先月の『大老』に引き続き国立劇場で新作歌舞伎『江戸宵闇妖鉤爪』を鑑賞した。この歌舞伎は江戸川乱歩の小説、「人間豹」を下に時代設定を昭和初期から江戸時代(幕末)に移してある。江戸川乱歩は私にとって本を読む楽しさを教えてくれた作家である。小学生のころ少年探偵団シリーズを読んでその世界のとりこになり、その後様々な本を読むようになったからだ。さらに後年20代を過ぎてから、乱歩の短編、「押絵と旅する男」「屋根裏の散歩者」「D坂の殺人」「パノラマ島奇談」等を読んでからエログロ好みの乱歩の真の世界にふれ興味をもったのだが、それ以後はやはり乱歩に影響を受けたと思われる京極夏彦の小説に少し嵌った後はあまり推理小説を読まなくなってしまった。京極の小説「魍魎の箱」が乱歩の「押絵と旅する男」からネタを借りているのは有名だ。
ところで乱歩の世界は映画にはなってはいるが歌舞伎になるのは初めてとのこと。乱歩自身相当な歌舞伎を含めた古典芸能好きだったらしく、自分の小説が歌舞伎になると知っていればさぞかし喜んだだろうとのこと。
この歌舞伎の見所は、乱歩の世界を江戸時代に移し、また人間豹の恩田をどのように染五郎が演じるのか?恩田による猟奇的な殺人シーンをどのように演じていくのか?幸四郎の明智小五郎は?等々興味は尽きない。
面白いと思ったのは、春猿による、町娘、人気女役者、人妻の演じ分けが面白かった。声色や立ち振る舞いを替え器用に見せてくれてわかりやすかった。また、染五郎の二役つまり、恋人を相次いで殺され精神をやんでしまう神谷と殺人鬼恩田の演じ分けである。また、染五郎の宙乗りもこの舞台の売りであり見所の一つであるが、最後のシーンの宙乗りは一番の見所である。立ち合いも見事!
このドラマというか乱歩の小説はどれもそうだと思うのだが、恩田がなぜどのようにしてこのような殺人鬼になってしまったのか、またなぜ殺すのか?といった理由は原作中には全く書かれていない。今回の歌舞伎ではある結論が示されるが、これをどのように受け止めるかは各人次第だろう。
いずれにしても歌舞伎の楽しさ、乱歩の世界、現代の社会問題にまで深く切り込んだ素晴らしい舞台である。
イヤホンガイドもなかなか良かった(人によっては最悪の時もある)。
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はじめまして、あんずと申します。類似記事紹介から来ました!
新作歌舞伎、面白い趣向がたくさんで、楽しめました☆
私も春猿さんに魅了されました!
2008/11/18(火) 午前 11:38
あんずさん、コメントありがとうございます。早速帰りに、人間豹を書店で購入しました。私は1階の花道とは逆の席で端っこの方だったんですが、結構楽しむことができました。
2008/11/18(火) 午後 11:06