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2007年のザルツブルク音楽祭のオペラ公演は、アルミーダ(ハイドン)、エフゲニー・オネーギン(チャイコフスキー)、魔弾の射手(ウェーバー)、ベンヴェヌート・チェッリーニ(ベルリオーズ)、フィガロの結婚(モーツァルト)等で、私は『オネーギン』と『アルミーダ』のチケットを予約しましたが、このうち『アルミーダ』は立ち見の安いチケットが取れずみることを諦めました。しかし、現地に行くと観たくなるもので、『アルミーダ』(360ユーロ)、『魔弾の射手』(460ユーロ)のチケットを取ろうかどうか悩みましたが、結局あきらめました。みればそれなりにいいものが観れるでしょうが、やはりこの分を通常の公演にまわした方が有益だと考えたためです。この日よりミュンヘンより再びザルツブルク入りしました。
2007年8月1日(水)19:00 ザルツブルク祝祭劇場大ホール
チャイコフスキー『エフゲニー・オネーギン』
ダニエル・バレンボイム(指揮)
アンドレア・ブレット(演出)
アンドレア・ブレットは経歴を観ると初期からオペラ演出に携わっているようだが、極めて演劇的な要素が強くて場面によっては音楽の邪魔をしているか、あるいは音楽を止めていると感じられる場面も多々あった。ドイツではオペラ演出で読み替えは日常茶飯事なのでその辺は特に驚かないが、そういう場合でも音楽と絶妙なバランスをとるものであるが、今回の公演は完全にそれに失敗していた。
歌唱陣も全体的にいまいちで、主役級は若い歌手をそろえていたがどの歌手も実力不足の感じがした。そこそこだったのはタチアナ役のAnna Samuil、1幕からなかなかの美声と声量でなかなかいいのではないかと期待したが、タチアナの一番の見せ場であるラブレターを書くシーンは、いまいち心に響くものが無かった。拍手こそ起こったものの、ブラボーの一声もかからないのはちょっと寂しい。またPeter Matteiのオネーギンだが、この人は声量もあまりなく、歌も単調で退屈だった。しかし、3幕のラストの場面ではこの両者かなりの熱唱で素晴らしかったので、それまでが悔やまれる。Josef Kaiserのレンスキーは今回の出演者の中では、歌唱力、演技力すべてが一番良かった。Ekaterina Gubanovaのオリガは歌自体は悪くはないのだが、存在感があまりなかった。これは演出家のせいなのだが、タチアナのキャラクターがはっきりしない、またはオルガのような要素ももったタチアナだったため、オリガが全く目立たなかったのだ。タチアナとオルガの対比をしっかりみせておかないと、オネーギンとレンスキーの対比までぼけてしまうのだ。そして忘れてはいけないのはグレーミン公爵を歌ったフルラネット、超大物バス歌手だが圧倒的な迫力と存在感そして表現力で他の歌手を圧倒していた。
バレンボイムは絶好調で大きな指揮ぶりで舞台上にも合図していたが、ウィーンフィルもこの人が振るとやはりこうなるのかと感心(?)してしまった。ところどころものすごいアップテンポになるところや、オケをガチャガチャと賑やかに鳴らすのはいつものバレンボイム節。ウィーンフィルとバレンボイムはなかなかの好演だったと思う。しかし、演出家や歌手の選定をもう少ししっかりとやっていただきたい。
Peter Iljitsch Tschaikowski
Eugen Onegin
Daniel Barenboim, Musikalische Leitung
Andrea Breth, Regie
Renee Morloc, Larina
Anna Samuli, Tatjana
Ekaterina Gubanova, Olga
Emma Sarkissjan, Filipjewna
Peter Mattei, Onegin
Joseph Kaiser, Lenski
Ferruccio Furlanetto, Gremin
Ryland Davies, Triquet
Georg Nigl, saretzki
Sergej Kownir, Hauptmann
Thomas Koeber, Vorsaenger
Blanka Modra, Schauspielerin
Michel Ogier, Schauspieler
Viginie Roy, Schauspielerin
Wiener Philharmoniker
Konzertvereinigung Wiener Staatsoperchor
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