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ベートーヴェンの交響曲 講談社現代新書 金聖響、玉木正之(著)
今回は最近読んだ本の中から。なかなか指揮者自身が自分の解釈について詳細に本で語ることは少ないと思うが、この本はそのような珍しい本である。金自身その危険性も述べている。俊敏様式ということが言われるようになって、ジンマン、ノリントン、ラトル、ヤルヴィ等々、ピリオド奏法を取り入れた新しいスタイルのベートーヴェンの交響曲を最近ではいくつも聴く事ができるようになった。この本の著者の一人である金聖響もその一人である。金自身のフルトヴェングラー、カラヤン、バーンスタイン等々いわゆる巨匠の時代の演奏スタイルについての言及も随所にある。もちろんこれらを完全否定しているわけではないし、評価もしている。そういった点も含めて、著者自体の演奏スタイルや考え方を各交響曲について述べた本である。分量的には少ないのだが、2番や8番といったベートーヴェンの交響曲の中では比較的地味な2曲への思い入れも書かれていて面白い。特に8番は私もお気に入りの曲なのでうれしい。
クラシックを聴き続けていると、いろいろな方向へ進んで行くものだが、毎回必ず帰ってくるのはベートーヴェンの交響曲である。
全く初心者には向かない本だが、ベートーヴェンの交響曲について改めて勉強したい人、最近の俊敏様式によるベートヴェン演奏に感心の有る人、金聖響のファン、いるのかどうかわからないが玉木正之のファンには、お薦めの本である。
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