|
エッセンのアールト劇場で『エレクトラ』を鑑賞した。ニコラス・ ブリーガーによる現行プロダクションは2000年1月22日のプレミエで本公演は、今シーズン最初の公演である。後何回この劇場でオペラを観ることができるかわからないが、本当に素晴らしい劇場である。指揮者のショルテスもウィーン、ミュンヘン等でワーグナーやシュトラウスを振りこれらのエキスパートとして徐々に認知されてきているようである。今回はお得意のシュトラウスだけに多いに期待していた。 ところが、この日オケピットいっぱいに広がったオケ団員だがなにやら騒がしくて落ち着かない。指揮者のショルテスが入ってきても立っている団員がいる。直ぐに演奏不可能とのことで、ショルテスのアナウンスが入り15〜20分後に再開しますとのこと(エッセンでは2度目!)。ドイツ語がわからない私には理由まではわからないけど、オケピットを覗いていると、かなりの管楽器奏者の譜面台にライトが取り付けられていなかったみたいで、あわてて取り付けている。普通ならあり得ないミスだが、ドイツなら有りだ。これでちょっと集中力を切らしているのではないかと演奏面で少々不安になった。 しかし、さすがシュトラウスがお得意な劇場とあって、冒頭の「タ、タ、ターン」というところから一気に引き込まれる。時々歌手よりも大きな声を出してしまうショルテスは、いつものことでご愛嬌。やはりこの指揮者はブルックナーのシンフォニーなんかより、こういう劇的な音楽の方が遥かに良い。オペラ専門指揮者でいいのではないかなあ、シュナイダーみたいに。オケにはエキストラ等も多かったと思うが、結構まとまっていたし、弦楽器もショルテスの煽りに慣れていて上手かった。この日の演奏はとにかく一流劇場に匹敵するレベル。 この公演をさらに盛り上げていたのは充実した歌手陣だった。エレクトラ役のデヴォルは、ワーグナー、シュトラウスの諸役を得意としていて、もはや言及する必要のない名歌手だが、この日も素晴らしい歌唱を披露してくれた。ポラスキのように圧倒的な歌唱力で押すわけでなないが、全体のコントロールが上手く安心して聴くことができる。また、その演技力でも存在感を示していた。以前小学校が舞台の『ローエングリン』でいじめっ子のオルトルートの怪演を思い出した。クリソテミス役のDanielle Halbwachsという人は初めて聴いた歌手だが、声量があって堂々とした歌いっぷりで、デヴォルと対等に渡り合っていた。エギスト役のRainer Maria Roehr、クリテムネストラ役のIIdiko Szoenylもなかなかの健闘。この劇場、指揮者とオケと面白い演出の割には、歌唱陣にいつも不満をもっていたが、シュトラウスだとこれだけレベルの高い声楽陣を揃えることができるのかと思った。 ニコラス・ ブリーガーの演出はモダンな舞台でアールト劇場と非常によくあった美しいものだったが、意味がよくわからないものが多々あった。特に最後の場面、舞台左手上のシャッターが開きそこに複数の医者や看護師が並んでいたのは、ちょうど舞台を手術室とみてそれを見学しているように見えたけど、そこまでの伏線が何もなく理解できなかった。 お客の入りは7~8割くらい、先日の『マハゴニー市の興亡』とあまり変わらないので、お客の趣味がよくわからない劇場だ。 2008年2月16日(土)19:00 アールト劇場 エッセン リヒャルト・シュトラウス『エレクトラ』 指揮:シュテファン・ショルテス 演出:ニコラス・ ブリーガー 舞台美術:Hans-Dieter Schaal 衣装:Uta Winkelsen 照明:Wolfgang Goebbel 演技指導:Kerstein Schuessler 合唱指揮:Alexander Eberle der wideraufnahme:Carsten Kirchmeier クリテムネストラ:IIdiko Szoenyl エレクトラ:ルアナ・デヴォル クリソテミス:Danielle Halbwachs エギスト:Rainer Maria Roehr オレスト:Almas Svilpa アールト劇場合唱団 エッセン・フィルハーモニー管弦楽団 |

- >
- エンターテインメント
- >
- 音楽
- >
- その他音楽






