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腰痛と不眠

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ひょんなことから、プロ野球の現役選手と二人のコーチに神経ブロックをする機会があった。
 
プロ野球の選手は相当体を酷使しているし、身体のあちこちが痛んでいるのである。それほどまでに鍛えないと、豪速球を投げ込めないだろうし、時速140kmのボールを打ち返すこともできないであろう。
 
 要するに、彼等は何のために、神経ブロックを受けに来たかと言うと、腰痛と不眠の治療のためである。肉体の酷使が原因で、腰痛に苦しんでいるのであり、結果で評価される厳しい世界に生きているため、不眠に悩まされるのである。
 腰痛に対しては、腰部硬膜外ブロックを行い、不眠に対しては星状神経節ブロックを行った。彼等は、4,5日間釧路に滞在し、ほぼ毎日ブロックを続けた。
 その中の一人、当時の松原コーチについて触れておきたい。
 私と同世代の、特に巨人ファンはよく知っていると思うが、松原さんはかって大洋ホエールズの四番バッターで、巨人戦ではよく打って私のような巨人ファンを悔しがらせたものである。まさしく憎き松原である。その後巨人にうつって、王選手の後をついで活躍したので、憎さもやや薄れているのであるが、強烈な存在感のある選手である。
 その話をしたところ、現役時代のホームランの半分は巨人戦で打ったとのこと、巨人戦は観客数も多く、テレビ中継されるので、全選手が燃え上がったのである。ちょっと話がそれるが、彼が現役時代よく打ったピッチャーはヤクルトの松岡投手だそうである。信じられないことであるが、振りかぶって投げる時一瞬ボールの縫い目が見えて、球種が読める、だから打てたのだ、と語っていた。
 彼は、来院時もう六十歳に近い年齢であったら、老眼鏡も必要とせず、元気である。その当時の日米野球の時、キャッチャーがいなくて、現役時代に経験のある松原さんが、おそらくブルペンであろうが、現役投手の球を受ける羽目になったらしい。その後から腰が痛いそうで、歳よりの冷や水のようなことをするから、と嫌味を言われながら、硬膜外ブロックによる治療を受けたのである。2回で軽快した。ブロック後、外来のベッドの上で雷のような大イビキで眠ってしまい、皆に大謝りしていた。彼は、もはや「憎き松原」ではなく、私同様猥談の好きな気の好い愛すべきオヤジである。
 松原さんによると、一緒に来たエースは方が痛くて投げられない状態が続き、随分勝ちを逃がしたそうである。良い方法がないだろうか、と聞くので、方甲上神経ブロックのことを教えてやった。
 彼等が帰る頃には、腰痛も不眠も軽快したと喜ばれて帰っていった。
 その後、彼らの口コミで何人かの野球界の方々が来院し、ブロックを受けている。神経ブロックは野球界にも貢献しているのである。

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