社会学っぽい話

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「死」というモノから

私たちの中には「死」という概念がある。


かつて、人であったものが、そうではなくなること、これを指して、私たちは「死」と呼ぶ。

人が物質に変わるとき、そこに死がある。


そして、死は不可逆だ。とりあえず今のところ。


したがって、私たちの中に死を経験した人間はいない。


しかし、にもかかわらず、私たちは「死」を認識し、死について語る。


世界から切り離されること、私たちの世界を離れて違う形になることが、私たちの世界の言葉で語られている。


したがって、私たちが耳にしうる、あるいは観測しうる「死」と呼ばれているものは、その字義に反して徹底的に私たちの世界の中に存在するモノである。

死者の気持ちを感じることも、死後の世界について考えることも、すべてが、私の生きる世界の中にある。

しかし、本来的に死が意味することは、私の世界からの対象の消滅であったはずだ。限りなく視点を個人に近づけるなら、死とはその存在を認識できなくなることだといえる。

つまり、「死」という概念の存在自体が、論理的に不可能であるような矛盾を抱えているわけである。


しかし、だから、死については語ることは無意味であるというわけではない。

むしろ、より問われねばならないのは、にも関わらず「死」という概念がなぜ、そしてどのように存在するのか、ということである。

私たちが社会的通念として、実質的には不可能なモノをどのように形作っていくのか、このことが社会学の面白みであろうと思う。


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