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夢と現の境界 2

あんまり間をおくとまず間違いなく更新しなくだろうから、続きを書いておくぜ。

ちなみにこれは前回からの続きね。多分、気にとめてくれてる人もいないだろうけどw


 では、現実とは事実そのものである、という立場をとる場合、バーチャルはどのようなものになるのか。ここでいう事実とは、つまり客観的なもののこと。前回の「相対的多数によって支配的に保持されている世界認識」を現実と呼ぶと、たとえばコペルニクス的転回が起こる前は、天動説が現実だった、てなことになってしまう。どれだけ相対的多数の人間によって保持されていようとその世界観が間違っていることもある。ある日突然地球が太陽の周りを回り始めたのではなくて、認識がズレていたわけだ。

 ここから「現実とは事実関係そのものである」、という立場を取るとき、「バーチャル」なものはその事実関係から外れる者全般をさす。つまり、事実による裏付けがある認識が現実で、事実による裏付けがない認識がバーチャル、てな具合。バーチャルに対する倫理的な批判はだいたいこの発想に根ざしていることが多い。バーチャルっていうのは何の根拠もなく、根無し草な、事実に目を向けられないダメな人間が落ち着く先である、というような批判は多分みなさんもみたことありますよね。

 だから、この立場に立つとバーチャルなものは、無益なもの、もっと言ってしまえば人を惑わす有害なものという認識で捉えられる。そして、現代社会ではバーチャルなものが氾濫し、何の事実にも根ざさないバーチャルなものの方を人々が信奉してしまうこと、が問題視される。

 ところで、上の話の展開ってちょっと変だと思いませんか。何の事実にも根ざしていないにも関わらず、人々が信奉し、その存在が事実関係に影響を与えるって、おかしな事ですよね。「バーチャルは事実ではない」のなら、何かの影響や問題自体成立しないはず。

 そもそもこの客観主義という考え方は、近代社会の成立以後に急速に発展してきた思想です。それは、うちの学問で言うと構造主義的な考え方で、世界を動かしている客観的なメカニズムは存在するという信念に基づいています。えぇ、信念です。これは証明できませんから。私たちの観測している世界の外側に客観的な世界を仮定し、その世界の構造について観測している世界から類推を行うというのがつまり科学ですが、客観主義はこの科学主義とも強く結びている近代社会特有の思想です。だから、この立場に立ってバーチャルの侵犯を非難する際には、「科学的ではない」ということが良く理由として用いられるわけですね。

 しかし、よく順をたどって考えてみると、上に述べたとおり科学主義は一つの信念の上に成立しています。そして客観主義は私の観測している世界が客観的な世界とある程度似ているはずである、という仮定の下にしか成立できません。もちろん科学には手続き上の厳密さと論理的一貫性が求められるという点で、より確からしいのかもしれません。しかし、それを証明する手だてはありません。もちろんだから逆に客観的な事実関係が存在しないということも証明できないわけですが。どだい、主観によって客観を捉えようとするのが無理な話で、ウィトゲンシュタインの言語ゲームよろしく、私たちに可能なのは「客観的な認識」という主観でしかないわけです。

 そうなってくると、現実/バーチャルの二分法の境目はまたしても怪しくなってきます。現実は事実に裏付けされたもの、という定義を行う際に、事実が何かということが非常に怪しくなってくる。

 じゃ、この二分法は成立しないのか、というとそうでもない。ここで結局、この二分法には意味がないんですよ〜で終わってしまうのを「脱構築のアポリア」と言います。嘘です、私が今名付けました。世の中の嘘を暴くとかいうジャーリズムはだいたいここでおしまいです。彼らは近代主義の申し子ですから
 
 全ては嘘で終わりではなく、本当に大切なのはにもかかわらずなぜこの図式が機能するのかということです。現にこの二分法は社会的弁別の指標として機能しているわけですから。そこを明らかにせずに終わってしまうと、現に人々がどのようなメカニズムによってこの弁別図式を使いこなし、それがどのようなメカニズムで行われているかということを明らかにしないといけません。

でも長くなったので、ここで一回切ります。
つうことで次回は社会場の政治学でこの二分法を分析してみます。

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なんか面白そうな事書いてるなと思ったのですが、酔っ払って読んだらほとんど理解できなかったので再び来てみました。
難しいと感じましたが、何度か読み返してみたらバーチャルの侵犯っていう概念は理解できました。現実とバーチャルの境目は曖昧で変動しやすいもの、って内容で良いのでしょうか?だとしたら、私が感じている「世の中何が本当で何が間違いなのか、っていうのは本質的には分からない」っていう考えもこの投稿の中に内包されるのかな、と思いました。

2010/2/12(金) 午後 7:35 fatk


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