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 オリエント急行を真似た「七つ星」とかいう七〇数万円の特別列車が大人気らしいが、ブルジョア階級のいない日本で、誰が乗るのか? 

 フローベールの「感情教育」に七月革命だかで王宮を乗っ取った労働者たちが、玉座に座って、はしゃいでいるところを「なんと恥ずかしいこと」という意味合いの台詞をフローベールは書いているけれど、あれは自分が労働者階級であることを自覚して、王侯貴族を気取っているのだから、理屈は通っている。 

 日本の場合は、「真似だけ」が存在しているという恥ずかしさ。 

 誰だか知らないが、イギリスの生活経験のある女性が日本でイギリス風ティータイムの作法を教える教室を開き、また本も出しているそうだが、その女性がモーニング番組に出てきて、これをしてはいけない、あれもいけないと教えを説いていたが、面白かったのは、パーティーに招かれて、着席を勧められると、日本人の場合は、上席を辞退するために、すぐには座らないが、イギリスのティーパーティーの主宰者は、客が何処に座るべきか、最初から計算しているので、すすめられた席に座らなければ、自分の「位置=階級」に異を唱えていることになり、大問題になるので、すすめられた席に、必ず、黙って座らなければならないと言っていた。 

 もちろん、お客に招かれるのだから、「階級」は全員、中流以上ということになるけれど、その中でも「差異」はあるのだろう。 

 オリエント急行もまた、そういう中流以上の階級を前提にした列車なのだから、その「かたち」だけを真似た「ななつ星」は、究極の「箱もの」列車と言えるだろう。 

んと恥ずかしいことか。 

 「お座敷列車」の方がよっぽどいい。

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