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パックス・ジャポニカ

 お正月も憂鬱だが、お盆時も憂鬱だ。 何故って、戦争を記憶している人がどんどん少なくなるばかりで、もう十数年もしたら、戦争を知る人は皆無となってしまうから、戦争は駄目だ! 怖い! 悲惨だ!ということを事実として語る人がいなくなって、不安だと、本当に「バカか、お前は!」と言わざるを得ない論調がマスコミを支配する一週間、否、今年は安倍のせいか、一月たっぷりそんなことばかり聞かされるので、本当に憂鬱になる。 もうちっと「知的」な話はできないのか? そういうわけで、「原子力文化」という、怪しげなタイトルの雑誌があるのだが、別に東京電力のPR誌ではなく、まあリベラルな雑誌(私は「リベラル」を新自由主義のことと思っているので、反自由主義を指す「リベラル」な人と話を合わせるのが少し苦労するのだが)で、山折哲雄という宗教学者が連載を持っていて、外国産の「平和研究」が日本列島の「パクスヤポニカ」を無視してきた!というタイトルの回がある。 これが結構いろいろなことを考えさせてくれるので、それを少し長くなるが、引用してみる。 仏陀の「不殺生」や、ガンジーの「非暴力」、老荘の「無為」、そして日本列島の「和」の精神などの東洋的な平和思想に対し、戦後の外国産の「平和思想」は次のように東洋的平和思想を批判してきた。 『心の平安世界に閉じこもる内向的で非政治的な処世感覚、生活防衛的で消極的な平和志向、紛争や戦闘状態から退行する受動的な静寂主義、不正義をそのまま放置する事なかれ主義、そして暴力のみならずあらゆる紛争を嫌う「和」の政治文化などなど……。戦争を宇宙の外部に放置しようとする「和」イズムの観念性、それが東洋やアジアのパクスだった。一切のパワーポリティクスを排除する平和の維持、つまりそれは奴隷の平和に他ならないというのが戦後における「平和」研究の背後に流れるウソ偽りのない通底低音だったのではないだろうか』 まさしく私はそのように日本の戦後民主主義を見てきたし、今も見ているし、それが私を抑圧していると思ってきた。 しかし、山折氏は、外国産の見方で、それは日本列島において奇跡的に実現されていた平安時代の350年と、江戸時代の250年の計600年の平和状態の意義を検討することなど皆無だった、今こそ「パックス・ジャポニカ」が何故可能だったのか、研究すべきだと言う。 この山折論文が原子力文化に載ったのは、2010年の8月で、その後、大震災を経て、日本の戦後民主主義を担ってきた勢力は、大震災後の「一つになれ」「絆」の合い言葉に「便乗」して、昔の新左翼が批判した一国平和主義、すなわち「パックス・ジャポニカ」に希望を見ようとしているようである。  では、山折氏は、「パックス・ジャポニカ」とはいかなるものであったのか、どう考えているのかというと、本人にも確たるビジョンはないみたいで、『何より大切なことは、平安時代の350年、江戸時代の250年それ自体の内部に目を凝らしてみるほかはない』と言っている。 それは異存ないが、続けて山折氏は「半ば奇跡のように実現されたパクスジャポニカの背後から国家と宗教の相性が極めて良好だった世界が私には自然に見えてくるのである」と書いていて、これが氏の結論らしいのだが、なんてこった!である。 私は、平安時代の国家と宗教の相性がどんなだったかよくわからないのだが、江戸時代のそれは、「相性が良かった」というのは、宗教学者・山折氏にとって都合のいい関係、抑圧的関係そのものだったのではないか! そもそも山折氏はパクスジャポニカを研究されたことはなかったと書いているけれど、まあ、これは本当かどうかよくわからないのだが、ケネディ時代に、ガルブレイスとか、キッシンジャーとか、そんな錚々たるメンバーを集めて、「戦争のない国家体制」はどうしたら実現できるかというテーマで、日本の徳川時代を俎上に上げて研究したという。 ガルブレイスやキッシンジャーの研究対象が日本の江戸時代だけだったのかはわからないけれど、彼らの出した「答」は、江戸時代の平和は、賤民に対する差別を前提にしていたので、江戸時代に範をとることはできないというものだった。 これは「ガセネタ」のようなものかもしれないが、山折氏が言うように「江戸時代の250年それ自体の内部に目を凝らしてみる」ならば、パックス・ジャポニカは仏教の国教化(檀家制度)による抑圧下の平和体制だと結論せざるを得ないのだ。 

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