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道民教(北海道民間教育研究団体連絡協議会)の新春学習会の講師は、佐藤博教育科学研究会常任委員(元東京都公立中学校教師、『新採教師はなぜ追い込まれたのか』高文研の著者、学びをつくる会世話人)でした。
1990年前後、校内暴力が管理主義教育の徹底により鎮圧される動きが強まる中、管理主義ではなく、子どもの声を聴き、子どもと向き合う教育を訴え、全国の教師に共感と希望を与えてくれていたのが佐藤博さんでした。その佐藤さんの講演、期待していましたが、聴衆に柔らかい心と展望を与えてくれる素晴らしいものでした。私の前の席の方も何回も何回も大きくうなずきながら、講演を聞いていました。佐藤さんが話したことの一部を紹介したいと思います。
「教師を救うのは、本当の研究。「研修」ではない。学ぶと子どもを見る目が変わる。そのことで私自身も辛い時に救われてきた。困難がどう見えるかで苦しみが変わってくる。」
「子どもの伸びる芽を見つけること。そうすれば、教師のしんどい気持ちが和らぎ、実践できていく。」
「教師が自分を励ます視点をつくること。仲間(人)の目から考えられると、しんどさから解放される。だから、たくさんの共同の仲間をつくることが大切だ。」
「乱暴に向かってくる、言ってくる子どもたち。でも、一言で言うと、「さびしい子どもたち」。子どもは育っていないだけ。そう思ったら、「何とかしてあげたい」と思えてくる。」
「わがままな子。「わがまま」って、自分の中に自分しかいないからなっているのだ。ということは、子どもの中にたくさんの人を入れてあげればいい。それが教師の役割ではないか。子どもの反応にひるんではいけない。冷やかす反応があったとしても、考えている子はいる。そして、冷やかす反応をしている子も照れ隠しでそういう態度をしているのかもしれない。だから、教師は語っていくこと。実践をしていくことが大事だ。」
「うまくいかないことは多い。でも、何年も後になって、当時のことを卒業生に言われることがある。今だけで判断せず、関わっていくことだ。そして、うまくいかなくても、子どものそばにいることはできる。それだけでも子どもの支えになっていることがあるのだ。」
講演を聞いた全員から、「もう一度聴きたい。」「続きを聴きたい。」という声が出されていました。佐藤さんは教師の子ども理解の深まり、仲間との学びあいによる教師の人格の拡張が、教師にゆとりや喜びを与えてくれることを強調されていました。教科研も道民教もその仲間との出会い、学び合いの大切な場なのだと思います。ぜひ佐藤さんには、また北海道に来てもらい、多くの教師の認識の変化・拡張によるしんどさからの解放、希望の獲得、教育の変革を生む力になってほしいと思います。今回は大雪と寒さの中での来道だったので、今度はさわやかな秋などに来てもらい、全道各地で話をしてもらえればと思います。
佐藤博さん、本当にありがとうございました。20年前と同じ気持ちになれました。
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昨日参加した札幌市内の中学校教員です。このブログで学習会の存在を知り、参加させていただきました。いただいたレジュメを熟読し、この記事も拝読して、つくづく「子どもと共にあることこそ教師の生き方」なのだと、思いを新たにしています。
2011/1/11(火) 午後 4:21 [ 笹木陽一 ]
私は数年来「子どもの側に立つ」をキーワードにレポートを書いたり、実践を進めてきました。一昨年からは、それをさらにかみ砕いて「協働(学び合い)の理念に立脚した市民性(自己の社会的責任)を育む教育実践」を志向しつつ取り組んでいます。その点で、佐藤先生がハーバード・ミードを引きつつ「学ぶとは、自分の中に他者を入れていくこと」と定義していることに、大いに感化されました。8日にNHKの番組で鷲田清一が「自己肯定は他者の他者として認められることから生まれる」との趣旨で発言していたことを思い出し、「共感の視線と言葉が人を救う」との佐藤先生の言葉と重ねて、子どもの成長を促す共感的な他者として彼らの前に立ちたいと思いました。
2011/1/11(火) 午後 4:23 [ 笹木陽一 ]
佐藤先生は「困難を乗り越えるもっとも人間的な方法は人々が力を寄せ合うこと」ともおっしゃいます。記事では「仲間との学びあいによる教師の人格の拡張」と整理されています。私は昨年3月から「北海道の子どもの姿を語る会」を仲間と立ち上げ、様々な分野の方々と子どもの育ち・学びについて対話する会を始めました。今月30日に第4回をかでる2・7で行います。関心を持っていただけましたら、ご参加いただければと思います。他にもたくさんの示唆を得た素晴らしいお話を聴くことができました。是非別の機会に続きがお聴きできることを、楽しみに待ちたいと思います。
2011/1/11(火) 午後 4:25 [ 笹木陽一 ]
他の記事で、いよいよ「臨床教育学会」が本格的にスタートすることも知りました。北海道でも今月29日に設立総会が行われるとのこと。福井先生や田中先生・庄井先生の著書から学び、校内の研修通信でも紹介している者としては、今後の教育界の変化に大いに期待しているところです。プレヴェールの『劣等生』に添えて佐藤先生が書かれた言葉「希望は希望を探ろうとする人々の中に…」。「子どもと生きる=臨床的である」ことを志向する人々こそ「希望を探ろうとする人々」なのだと思います。「学びをつくる会」のHPやブログも遅ればせながら拝読しました。少数派であるのかもしれませんが、至る所で子どもの声を聴くことから教育を考える取り組みが広がっているように感じます。今後とも教科研や道民教の諸先輩方の研究的実践に学びつつ、「希望と再生の回路」を紡いでいきたいと思います。よろしくご教示下さい。長文となったことをお詫びいたします。
2011/1/11(火) 午後 4:26 [ 笹木陽一 ]
素晴らしいコメントありがとうございます。北海道の子どもの姿を語る会、はじめて聞きました。参加可能な時に参加させてください。
臨床と同時に教育を取り巻く制度・政策、経済・地域についても考え、発信していくことが重要だと思います。今日はそんな話を何人かの信頼できる人たちと語り合ってきました。
2011/1/11(火) 午後 10:28 [ 北海道教育科学研究会 ]
「素晴らしいコメント」とは恐縮です。会にも関心を持っていただき嬉しく思います。今月は臨床教育学会の翌日ですので難しいかと思いますが,春休みに次回を開催する予定です。近くなりましたらご案内したいと思います。
「市民性」を育む教育を志向する者としては,先生のおっしゃる「制度・政策、経済・地域」の問題は避けて通れないと感じています。私たちの会にも,前回江別市議の方が参加してくださり,「教育の公共性」について話題となりました。文科省が進めている「熟議」にも関心があり,フリースクールネットワークの「リアル熟議」にも参加させていただいています。今年は「教育を読む会」にも顔を出したいと思っておりますので,お会いできる機会があると思います。今後ともよろしくお願いいたします。
2011/1/12(水) 午後 1:45 [ 笹木陽一 ]