小児科医のひとり言

放置中!スミマセンm(_ _)m☆『おかあさん、で、今日はどうしました(^^); ?』

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   毎朝、クリニックに通勤する途中にすれ違うとても気になる車があります。

  保育園に連れて行くのでしょうか? 1〜2歳くらいのこどもを同乗させたお母さんの車です。

  こどもは、運転するお母さんの脚の間に座っています!

  状況が想像つきますでしょうか? ハンドルを持つ両腕の間にこどもがいるのです。

  危ないなあ・・・、そう思いながら毎朝すれ違います。



・・・と言う事で、今日はチャイルドシートについて少し考えてみたいと思います。



 http://img.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/4c/a5/dr_higemegane/folder/1403463/img_1403463_36513074_27?1190436782

上の表をごらん下さい。小児期において 最も多い死亡原因は“不慮の事故” となっています。

この不慮の事故、問題は偶発的で避けられないものは滅多に無く、殆どは予防可能な障害だという事です。

自動車事故について見てみましょう。


 http://img.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/4c/a5/dr_higemegane/folder/1403463/img_1403463_36513074_24?1190436483



6歳未満は平成12年にチャイルドシート装着が義務化されました。

でも、その後も 6歳未満の交通事故死傷者数は増えて います。

これは、チャイルドシートが死亡を防げないからではありません。

チャイルドシートの装着率が極めて低いことに問題があると考えられます。


 http://img.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/4c/a5/dr_higemegane/folder/1403463/img_1403463_36513074_29?1190438072


上図のようにチャイルドシートの装着率は50%未満です。

装着している方も、残念ながら90%以上は誤装着しており、その中の1/3はかえって危険な

危険装着をしていると言われています。

もし、 全てのドライバーが正しくチャイルドシートを装着したら?

何と、 事故にあった乳児の71%は死から救われ、乳幼児死亡率も54%減らす ことが出来るのです!

極端な言い方をすれば、今のボクらはこども達を見殺しにしているのと同じ状況なのです。



ではチャイルドシートに関する問題は何なのでしょうか?




1、企業の問題


装着の簡単な使い勝手のよい安価なチャイルドシートが無い!  

これは、チャイルドシートメーカーと自動車メーカーの関係が希薄であるからです。

そのためせっかく購入したチャイルドシートが車に装着し難かったり、誤装着の原因になったりします。

車との適合性の良い自動車メーカーオプションのチャイルドシートは驚くほど値段が高かったりしますよね。

チャイルドシートメーカーと自動車メーカーが手を取り合って安価で装着しやすいチャイルドシートを開発する、

これは企業の責任として取り組んでもらいたい問題です。



2、保護者の問題


チャイルドシートに座らせるとこどもが泣く、嫌がる、などの理由で車内で抱っこしている方も多いと思います。

でも、こう考えてみてください!

例えば 1歳、体重10kgのこどもを抱っこして時速50kmで車が衝突 したらどうなるでしょうか? 

その瞬間に30Gがかかるのです。

わかりやすく言うと、 衝突の瞬間に1歳のこどもは300kgの重さになります!  

お母さんの手で子供を守ることは100%不可能なのです。

そしてこどもには ビルの4階から落としたのと同じ衝撃 を受けます。



ちなみに、チャイルドシートを装着しているのにこどもをそこに乗せない理由は、

チョッとの距離だから、こどもが泣くとドライバー(主に父)が嫌がるから、面倒だから、

いつも通り慣れた道だから、だそうです。

目先の利点だけ考える 、日本人の悪い癖かもしれません。いまの交通事故件数を考えると、

どんな状況でも事故にあう可能性は高いですよね。みなさんはどう考えるでしょうか?



そして、 チャイルドシートを利用しない親は高学歴なほど多い というデータがあります。

最終学歴が中卒の方の親御さんに比べ、最終学歴が大卒の親御さんは2倍以上チャイルドシートを利用

していないそうです。これは、何も考えずにチャイルドシートに座らせる習慣があるのとチャイルドシー

トに座らせなくて良い理由(言い訳)をいくつも考える、による違いのようです。

みなさんは自分に何か言い訳してチャイルドシートに乗せないことはありませんか? 

ボクはこどもを車に乗せはじめた頃、何度かそういうことがありました。

泣いてるから可哀想、チャイルドシートが(夏で)熱いから等々。

でも今は、ボクの腕ではこどもを守れない、と考えチャイルドシートに必ず乗せています。

それが習慣になればこどもも嫌がることはほとんどなくなりました。



3、医療関係者の問題


医療関係者は、パパママ教室で、乳児健診で、日常の診療で小さなこどもをお持ちの方や妊娠中の方

にお会いする機会が多い職業です。

でも、チャイルドシートについてキチンと説明することはほとんどないのではないでしょうか? 

ボクは今、この記事を書いていますが、実際にチャイルドシートを装着していない方や使ってない方に

注意を喚起したり説明したことはほとんどありません。 無責任ですよね。 もしウチの患者さんが交通事故

にあい、チャイルドシートに座っておらずに怪我をしたら、亡くなったら・・・。

その責任の一端はやはりボクにあると思います。

後悔することになる前に、キチンと 健診の場などで啓蒙 していきたいと思います。



4、警察の問題


チャイルドシート装着が義務化されてから、実際にこれが原因で取り締まられた方はいるのでしょうか?  

ほとんどいないと思います。これは、イヤな言い方ですが、取締り規定はあるものの罰金は無く、そして

100%嫌がられる、つまり警察にとって非常にコストパフォーマンスが悪い仕事だからではないでしょうか? 

交通安全を守るのが警察の仕事なら、これはキチンと取り組んでもらいたい問題です。

取締りを強化してチャイルドシートの装着率を上げ、もし乳幼児死亡率が下がったら・・・。

ものすごく素晴らしい業績になるのではないでしょうか? 

少子化の現代、少しでも不慮の事故で亡くなるこどもを減らすためには、 警察の真摯な取り組みが重要  

と考えられます。飲酒運転の取締りを厳しくして飲酒運転に関する事故を減らすことが出来たのですから、

日本の警察になら出来るはずです。こどもを守ることが!



5、行政の問題



母子保健活動の基本計画として 「健やか親子21」 が平成12年に策定されました。

この中で事故防止対策について「不慮の事故死亡率」、「事故防止対策を実施している家庭の割合」、

「乳幼児のいる家庭で風呂場のドアを乳幼児が開けない工夫」の3項目について具体的な数値目標が

かかげられました。中間報告ではどれも目標に程遠い状況です。

下表をご覧下さい。事故防止対策項目別の実施率です。


 http://img.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/4c/a5/dr_higemegane/folder/1403463/img_1403463_36513074_28?1190436782


チャイルドシートにおいては、実施率がむしろ低下しています。

目標を掲げるのは良いことですがそれでお終い? 

そもそも、この「健やか親子21」を知っている国民はどのくらいいるのでしょうか? 

計画を立てたらキチンと実際に沿った実行をして欲しいと願います。

今のままでは、あまりにも無責任ではないかなあ、と思ってしまいます。




      http://img.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/4c/a5/dr_higemegane/folder/1403463/img_1403463_36513074_31?1190463709




長文になってしまいましたが、こどもの予防できる死を減らすためにチャイルドシートはきわめて有用

と考えられます。チャイルドシートについてもう一度考えていただけるとうれしいデス!




参考文献および引用文献

 救急蘇生法の指針<2005>p93-103 日本医師会編
 小児内科2007(39)p1041-1045 「健やか親子21」事故予防活動の中間評価と今後の課題
            p1099-1102 チャイルドシートの諸問題−危険なチャイルドシート











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閉じる コメント(56)

せんさん、その位凛とした気構えをドライバーが持たないといけないですよね。
CRS、ウチの子もよく眠ってくれます。
今腕の中にある命を消さないために、そう考えて欲しいです!
予防できる原因で子供を失うって、本当に辛いことです。ワクチンもそうだけど。
CRS利用を、診療の場でもキチンと話していこうと思います。

2007/9/25(火) 午後 1:41 ひげπ∞ 返信する

ぶるぅさん、親の意識なんですよね、その通りです。
誰でもCRSに座らせたほうが安全ってわかってるのに、何故そうしない?
目先のベネフィットを優先する親の意識の低さからです。
キチンと啓蒙していかなければいけないことですが、難しいことでもあります。

2007/9/25(火) 午後 1:43 ひげπ∞ 返信する

ゆみこさん、やっぱり、イタリアは車社会の先進国って気がします。
それとも、交通事情やドライバーの我の強さ、などを考えるとCRSをつけざるを得ないのか?(笑)
日本のこどもの1/3は交通事故で死んでいるんですよ。。
がんのこどもの2倍のこどもが・・・。防げる死だけにキチンと考えて欲しいなあ、そう思います。

2007/9/25(火) 午後 1:47 ひげπ∞ 返信する

あきごんさん、ボクもそれを声を大にして言いたいです!
オトナの都合の良い言い訳で毎年数百人死んでる現実を、全ての子供を持つドライバーに考えて欲しいです。
交通事故は自宅に近いトコロでおきることが多いそうです。スグそこまで、慣れた道・・・、それが一番危険なことだと認識して欲しいと思います。

2007/9/25(火) 午後 1:50 ひげπ∞ 返信する

子供がいないので、チャイルドシートの問題はなかなかわかりにくいのですが・・・・
こちらでは、今だチャイルドシートを使用している人を見たことがありません。ものすごい出生率で子供だらけなんですが。
たぶん私みたいに、子供いないからよくわからないっていう人も、問題を悪化させている原因のひとつかもしれないと思うと、反省します。
チャイルドシートには関係ありませんが、死亡理由に自殺が上位に挙がっていることもかなりショッキングです。

2007/9/25(火) 午後 4:40 ri_musa 返信する

ri_musaさん、日本のような少子化が進む国で、予防できる死に対しキチンと手を打ってない所に問題があるんだと思います。子供がどんどん減ってるのに、交通事故死亡の子供は増えている、しかもず〜っと死亡原因の1位、これはおかしいと思うんですよね。子の死亡した子供の7割はCRSで死が防げたかも知れないのに。。
自殺も10代以降全年齢において憂慮すべき問題だと思います。

2007/9/25(火) 午後 6:41 ひげπ∞ 返信する

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うちの息子は生まれてから、でっかくなるまではチャイルドシートにずっーと乗っていました。
だから、嫌がることもなくすんなり乗り続けていました。
私が運転して、抱っこすることがなかったからだと思います。
生まれたときからそうすれば・・きっと本人も疑いなく乗るのではないでしょうか?
日本の親ってどこか甘い気がします。

2007/9/25(火) 午後 10:25 ままちん 返信する

そうなのか〜ちゃんとチャイルドシートしてれば、これだけ子供の死亡率が減るんだね。
うちは車がなかったので、たまにジジババと出かけるときに車に乗るとすご〜くチャイルドシートを嫌がったけど、無理やり乗せてたよ。子連れデートんときも、デカイチャイルドシートをえっちら持って相手の車に設置したし。(確かに設置に時間が掛かった)
今は6歳になったけど、ジュニアシートに座らせてる。
運転席に一緒に座らせるなんて言語道断だね。
保育園の送り迎えでも原チャリの椅子の下に子供を座らせて来る親もいるよ。ヒザでしっかり挟んでるけど、事故ったら子供は放り出されちゃう。ヘルメットすらしてないし・・・。危ないんじゃない?って言ったらイヤ〜な顔されたよ。。。

2007/9/26(水) 午後 1:13 るびぃ 返信する

装着率49パーセント?!ひえ〜〜〜!子供が死んでもいいのか?と思っちゃいますね。
きょーかは赤ちゃんの頃からチャイルドシートを嫌がって泣いていたんですが、それでもどんなに短い距離でも座らせていたら、今では自分で座るようになりました。
自分が運転しているときに、前の車にウロウロしている小さいこの姿が見えたりすると、もう腹立たしくて〜(>_<)
コレ転載させてください〜。

2007/9/26(水) 午後 10:58 きょーかママ 返信する

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毎度お騒がせの長女は、赤ちゃんの時からシートに乗せたら大騒ぎで、少し大きくなってからはもがいてもがいて抜け出たり、挙げ句の果てには装着部分を壊してしまいました。普通、壊れないだろ?
そんな長女も、次女と一緒に後ろでおとなしく(とは言い切れないが)シートに座れるようになりました。。。時間がかかったぁσ(^◇^;

2007/9/27(木) 午前 1:11 ふ〜みん 返信する

ままちんさん、最初から!ってのが肝心ですよね。
産院からの帰りの新生児期とかは抱っこして無いと不安になったりもすると思うんだよなあ。出産前に産科や小児科の医師が抱っこ乗車の危険性をキチンと話して、最初っからCRSを利用すれば意識も変わってくるんだろうなあ、そう思います。ボクらの仕事ですね。。

2007/9/27(木) 午前 8:36 ひげπ∞ 返信する

ルビィちゃん、CRSをキチンと使用するだけで、乳幼児死亡率が50%減るってすごい事だと思いませんか?
バイクやスクーターに乗せている方も時々見かけますがこれはもう虐待と言って差し支えないのではないかと思います。死を予測できるのにしていることだから・・・。
こどもが可愛いということを履き違えているのではないかなあ、なんて親御さんが少なからずいると思います。
子供を亡くしてから気付くのでは悲しすぎますので・・・。

2007/9/27(木) 午前 8:39 ひげπ∞ 返信する

きょ〜かままさん、転載ありがとう!
CRSは慣れれば嫌がらなくなりますよね。泣くから、嫌がるから、はそれをキチンとしてないから、のハナシなんだろうな。
産まれてくる赤ちゃんが少ない今だからこそ、生まれてきた赤ちゃんは大事に育てていかなければいけないですよね。そのために、もっともっと国にして欲しいことがあります。お題目ではないCRS促進もその一つと思います。

2007/9/27(木) 午前 8:42 ひげπ∞ 返信する

ふ〜みんさん、装着部分壊す・・・、すごいねそれ(笑)
お住まいがどんなところかわかりませんが、想像するに暗い道や山道も多いことかと思います(どんな想像だ?笑) CRSが絶対必要なトコでしょう(だからどんなトコ想像してるんだ?笑)
姉妹仲良く座れるようになってヨカッタですね。。

2007/9/27(木) 午前 8:45 ひげπ∞ 返信する

初めまして。いつもニアミスをしていますが…(^^)なかなか機会が訪れずに、今日まできてしまいました。チャイルド・シートについて、いちど子供が慣れてしまえば、後は問題ないはずです。義務化されていない時代から、我が家の子供はふたりとも、チャイルド・シートで育ちました。リサイクル・ショップを利用して、安価でしっかりしたものを捜しました。やはり、親の理解度かもしれないです。

2007/9/28(金) 午後 2:07 NZ_RR 返信する

NZ_RRさん、はじめまして! コメありがとうございます。
CRSですが、義務化した年の実施率が81%で5年後が67%です。
必要だということ、理解させるための何か、それが足りないんだろうなあ、そう思います。
警察で無料貸し出しのシステムとかもあるそうですが、ほとんど認知されていません。
CRSキャンペーンをどこかがやってくれればいいのですが・・。

2007/9/28(金) 午後 6:34 ひげπ∞ 返信する

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こちらがいくら気を付けていても、強引な運転をする人はたくさんいます。チャイルドシートで大切なお子さんの命を守れるのであれば、6歳未満のお子さんを持つお父さん・お母さんには、チャイルドシートを装着をしていただきたいですよね。そして、6歳になったらシートベルト!!後部座席のシートベルトも規制すればいいのに。

2007/9/29(土) 午前 10:03 アン♪ポン♪tanko♪ 返信する

後部座席のシートベルトも大事ですよね。シートベルトに関して言えばボクが免許を取った頃(20年前)に比べてしている人はずいぶん増えたと思います。
交通事故、運悪く会ってしまってもこどもを守るためのことを万全にしておけば最悪の事態が防げる可能性が高いので、CRSやっぱり大事だと思います。

2007/9/29(土) 午後 5:16 ひげπ∞ 返信する

昔々、四駆に乗って遊んでいたのが、シートベルト着用の必要性に対して、役立っているのかもしれません(笑)車をひっくり返して、貴重な体験をしていることも…(苦笑)TBさせてください。

2007/9/30(日) 午後 2:26 NZ_RR 返信する

NZ_RRさん、トラバありがとうございます!
4WDでかなりお茶目に遊んでいたのでしょうか?(笑)
シートベルト大切ですよね。

2007/10/1(月) 午前 8:25 ひげπ∞ 返信する

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