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備忘録として記す。
忘れては不二かとぞ思ふこれやこの
伊予の高嶺の雪の曙 西行法師
この関門から上流が面河渓と称する名所である。確かに松山の人が自慢していた通り、この渓谷は推奨に値する。関門から旅舎のある所まで約一キロの間、まったく自然はその妙椀を少し奮いい過ぎたかと思われるくらい
技巧的な、しかし繊細な美しい風景である。
大歩危、小歩危、の奇勝もなかなか良かったが、ここにはあの雄大さはない代わり、その精をより過ぐって緊縮したような見事さがあった。
亀腹岩という大きな岩を前にして、流れを隔てて探勝客目当ての旅舎、
渓泉亭が立っていた。この亀腹岩がまた素晴らしく大きい。岩の展覧会があったならおそらく入賞するであろう。
信州、飛騨の山にはこれより大きい岩はいくらもある。しかしこれほど平滑な一枚岩はちょっと塁がないだろう。
その宿についたのはもう夕方だった。
玄関で靴を脱いでいると、お宿料の方はと聞くので、一番上等(といっても五円だった)と答えたら目の前に亀腹岩の見える部屋に搭してくれた。
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