産婦人科の基礎知識

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不妊症の検査

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「子宮鏡検査」

こんにちは。
ご訪問ありがとうございます(^^)/。

腹腔鏡検査に続き婦人科領域の内視鏡検査である「子宮鏡検査」についてのお話です。

子宮鏡検査(ヒステロスコピー)
子宮の内腔をカメラを通して直接観察することができます。
子宮内膜から発生するポリープや子宮の内腔に突出するタイプの子宮筋腫(粘膜下筋腫)やアッシャーマン症候群などが疑われた時に行われます。

子宮内腔はトンネル状の空間ではありません。
横方向には逆三角形をした広がりがありますが(三角の奥の頂点に卵管に続く穴があいています)
縦方向は広がりがなく天井と床がくっついた様な空間なんです。
カメラを子宮頚管から挿入しただけでは視野が狭くて観察ができないので、子宮の中を広げるために専用の水をじゃんじゃん流しながら観察します。
そうすることでポリープなどは先端が浮いてひらひらと泳いでいるように見えます。

子宮鏡は硬性鏡(rigid scope)と軟性鏡(fiber scope)の2つに分けられます。

硬性鏡は直径7mm程で腹腔鏡と同じような硬い金属の筒の先端にカメラがついています。
まっすぐ先は見えますが、(最初から角度がついているタイプもあります)横を見ようと思うとカメラを少しバックさせて見る必要があります。
直径が太いので子宮頚管をあらかじめ広げておく(頚管拡張)必要があり、そのため痛みが軟性鏡よりも強いです。
粘膜下筋腫を電気メスでがりがりと削って切除する場合はこの硬性鏡で行います。

一方軟性鏡は直径が3mmと細く、胃カメラと同じように蛇のように先端をくねくねと動かすことができます。
先端が動くので子宮の中へいれていろんな方向へ向けて観察することが容易です。
細いので挿入の際に頚管拡張の必要がなく、痛みも少ないのが特徴です。
ポリープを切除するくらいの簡単な操作なら軟性鏡でも可能ですが、一般的には観察用ということになりますね。
軟性鏡で観察して、粘膜下ポリープの茎の太い場合や粘膜下筋腫は硬性鏡に替えて切除する方法をとることもあります。

子宮鏡は局所麻酔を使って日帰りで行うところもあり、リスクも少ない検査ですが、合併症は存在します。
子宮内腔を広げるために専用の水をじゃんじゃん流しますが、この水が子宮を通して血管の中に入り血液が薄まること(水中毒)があります。
また、粘膜下筋腫をがりがりと削りますが削りすぎて子宮の内側から子宮の外側まで貫通して穴があいてしまうことも稀にですがあるようです。
これらはなるべく短時間で、注意して行うことで防ぐことができます。

腹腔鏡検査よりは外来レベルでできる検査ですが、設置していない産婦人科も多いので必要があれば検査目的で他施設へ紹介されることもあります。

   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で・・・(^^)/。

「腹腔鏡検査」

こんにちは。
今日もご訪問ありがとうございます(^o^)
いよいよ全国的に梅雨入りしましたね。
晴れがとても好きな私としてはいやな季節になりました・・・。
外に出られない時はブログで勉強でもしていってくださいね(^^)/。

今回は産婦人科における内視鏡検査についてお話しします。

   ◇   ◇   ◇

胃カメラというのがありますね。
小型のカメラを胃の中まで入れて胃の内部の状態を直接観察する検査です。
見るだけではなく、ポリープをとってきたりすることができます。
あの検査の産婦人科版として「腹腔鏡検査」と「子宮鏡検査」があります。
(使うカメラや器具はもちろん違いますよ)

子宮卵管造影で卵管の癒着や子宮内膜ポリープなどが疑われたとき、もしくは一定期間不妊治療を続けてもなかなか妊娠に恵まれない時など必要に応じて行われます。
検査とはいっても内部を覗くのと同時に治療も行われます。

これらの検査はスクリーニング検査ではなく、設備が必要ですので、不妊専門の産婦人科や大きな総合病院で検査を受けることになります。
不妊症で腹腔鏡を行った患者さんの50〜60%くらいに何らかの異常が発見されるといわれています。

一方欧米では腹腔鏡検査は二次検査ではなく、スクリーニング検査として一般的に行われています。
一般不妊症検査を行っても原因がわからないいわゆる”機能性不妊症”の方の中には子宮卵管造影や超音波検査で発見されないような卵管采の軽度の癒着が原因となっている方が含まれます。
このように原因がわかれば、”原因不明”として漫然と治療が行われずにすむという考え方ですね。
日本でも同じような考え方で早期に検査を行うところもあるようです。

腹腔鏡検査(ラパロスコピー、ラパロ)について

不妊症検査だけに使用されるものではありません。
外科領域では胆嚢を切除する時などに使用されますし、私たち産婦人科領域では卵巣腫瘍の摘出、子宮外妊娠の診断と治療、子宮筋腫核出術など腫瘍に対する治療にも使います。

検査とは言っても、おなかをメスで切りますので、全身麻酔をかけて行う手術の一種になります。
一般的には臍から下に親指くらいの大きさの切開を3カ所(カメラ用の穴、操作用の穴)作ります。
とても小さい傷なので目立ちませんよ。
挿入するカメラはとても小さくて、小指くらいの太さで、金属の筒の先端に小型カメラが設置されています。(目の代わりですね)
操作用の穴からは小型のピンセット、ハサミ、電気メスなどを挿入し手術を行います。(手の代わりですね)

おなかの中は腸が詰まっていて、空気が入っていないので狭いんです。
二酸化炭素のガスで膨らませたり(気腹式)、テントのようにおなかの皮をつり上げたり(つり上げ式)して有効な空間をつくり、内部を観察します。

カメラから得られた内部の映像はモニターを通して観察できます。
もちろんビデオテープ(最近ではDVD)などの記憶媒体に保存することができるので、術後に患者さんの説明にも使用されます。

モニターを見ると、子宮や卵巣を頭の方から見ているように写ります。
腸が波のように押し寄せてきて視界を遮るので、よいしょ、よいしょと腸をよけながら進めます。
子宮の表面の様子、両側付属器(卵巣と卵管)の癒着の有無、子宮筋腫や卵巣腫瘍の有無などを直に観察することができます。(癒着の有無と腫瘍性病変の有無が最も重要なチェック項目です)

卵管采はどこにもくっついておらずフリーな状態が正常ですが、子宮内膜症による卵巣や子宮との癒着、クラミジアなどの感染による癒着があると一目瞭然です。
超音波などでチョコレート嚢胞が診断されていると、子宮内膜症の重症度がある程度推定できますが、軽症の子宮内膜症は腹腔鏡の検査で初めて発見されることが多いです。

腹腔鏡のさらに良いところは観察の後、治療ができることと卵管の疎通性を確認することができることです。
卵管周囲の癒着を鉗子やピンセットを使用してはがしたり(癒着剥離)、チョコレート嚢胞を摘出したり、内膜症病変を電気メスで焼いたりします。
また、術前にセッティングしていた子宮内まで挿入したビニールの管から青色の色素を注入すると両側の卵管からしみ出してくるのがリアルタイムで観察でき、卵管内腔の閉塞などの確認ができます。

施設により違いはありますが、数日間の入院ですむところが多いです。
(早いところは翌日などもあり)

観察がメインの腹腔鏡検査であればリスクは非常に低いのですが、おなかをがばっと開く手術ではないので、腹腔鏡の操作に熟練度が必要です。
合併症としては麻酔に伴う合併症、腸や血管の損傷、感染、気腹による肩などの痛みなどがあります。

   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で。
次回は「子宮鏡検査」です

「CTとMRI」

こんにちは。
今日もご訪問ありがとうございます(^o^)。

   ◇   ◇   ◇

不妊症の一般検査を行って、子宮筋腫、子宮奇形、卵巣嚢腫が見つかったりしますが、皆さんもうおなじみの経膣超音波検査でかなりのところまで診断がつきます。
しかしながら筋腫の位置や子宮奇形の種類、卵巣嚢腫の詳しい性状が知りたい時はCTやMRIの検査が必要となります。
画像診断では代表的なこの2つの検査。ほとんど同じ検査と思っている方も多いですね。
今回は「CTとMRI」についてお話します。

   ◇   ◇   ◇

CTとMRIは人体の断層撮影を行い(縦切りや横切り)内蔵の形態や腫瘍の存在や性状を詳しく知ることができると言う点に関しては共通しています。
原理的には全然違う検査でそれぞれ分けて説明致します。

MRIについて
MRI(Magnetic Resonance Imaging)は磁石の力で断層撮影を得る方法です。
非常に強力な磁石のトンネルの中に入り、撮影します。
聴診器やハサミなどは近くに持っていくとものすごい力で引き寄せられます(一度やってみてびっくりしました!)。

CTよりも軟部組織(子宮、卵巣、筋肉、腸、肝臓などの内臓類)を詳しく撮影することができ、貯留している液体の性質まである程度調べることが可能です。
そのため、子宮筋腫の大きさ、位置、その内部の性状、子宮腺筋症と子宮筋腫の違い、卵巣腫瘍の内部に貯留している液体の性状などの情報を得ることができます。
(卵巣腫瘍はその内部にどんな液体がたまっているかで診断がかなり絞られてきますからね。奇形腫やチョコレート嚢胞など)

また、子宮奇形は沢山の種類があり、治療法も変わってきます。
どのタイプの子宮奇形かを診断するにはMRIはとても役に立ちます。
撮影の際に造影剤を使用することでさらに詳しい情報が得られます。

また、CTと違って放射線を使用しませんので被爆という心配がありません。
妊娠中の卵巣腫瘍の精密検査や胎児の奇形の診断のために使うこともあります。

そんなわけで私たちはCTよりもMRIのほうが使用頻度が高いですね。

良いところが多い検査ですが、欠点もあります。
CTよりも撮影時間がかかり、検査の値段も高額となります。(撮影の際には健康保険が使えます)
また、鉄など磁石に反応する金属が人体内にあると(最近では人体に使用される人工骨などの金属はチタンなどが使用されています)熱を持ったり、移動したりするため撮影ができません。
心臓のペースメーカーを埋め込んでいる方は注意が必要となります。

CTについて
CT(Computed Tomography)は放射線を利用して断層撮影を得る方法です。
MRIはトンネルの中にはいりますが、CTは輪っかの中を通されるといった感じです。
その輪っかの内部に放射線を出す装置がぐるぐる回っています。

以前はMRIと違って横切りだけの画像しか得られませんでしたが今ではMRIと同じような縦切りの画像も得られるようになりました。
得られた画像を再構築して立体映像にしてみることもできるようになってきました。
血管や骨だけの情報を取り出してそれらだけの画像もみれるんです。
コンピューターの進歩ですね。

骨やリンパ節の情報はCTの方がMRIよりも優れています。
また撮影時間が圧倒的に短いのは利点ですね。多少動いてもきれいな画像が得られます。
しかし、軟部組織を細かく分ける能力は劣るので子宮筋腫なのか子宮腺筋症なのかを見分けることが困難です。
そのため、不妊症関連ではCTを使用することはあまりないです。

CTは被爆の問題があるので、十分に必要性を考えて検査することが大切です。
ただ、妊娠中でも必要があれば、CTを撮影することがあります。
絶対に撮影してはいけない!と言うわけでは無いんですね。

   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で(^^)/
蛇足ですが・・・。
産婦人科のことを英語でobstetrics & gynecology(産科&婦人科)といいます。
(医療関係者は私たちのことを”ギネ”と呼びます)
私は産科の方が好きなので、ブログでの名前を”ob(おおびい)”としました。

「ホルモン検査」

こんにちは(^o^)。
ご訪問ありがとうございます。
さて、今回は不妊症に関連したホルモンのことについて。

以前お話ししたように性周期に絡むホルモンはたくさんあります。
ホルモンによる調整が非常に複雑に行われて排卵や月経や妊娠の維持が行われています。
このようなホルモンによる調節がうまく行われているかどうかは基礎体温でかなりわかります。
高温期が2週間ほどあり、基礎体温が二相性であれば、ホルモン検査も正常のことが多いです。
施設によってはホルモン測定は最初に行うところもあれば、2次検査として行っているところもありますので個別のことは主治医とご相談を。

排卵の調節に関して過去のブログもどうぞ ↓↓
http://blogs.yahoo.co.jp/dr_obgy/6142763.html
http://blogs.yahoo.co.jp/dr_obgy/6152502.html

ホルモンの測定結果を理解するときに大切な、”feedback”という調節のしくみがあります。
命令は上司から部下へ一方的ではなく、部下からの意見も反映されるんですね。
卵巣から分泌されるホルモンの量が下がると、「卵巣からでるホルモンが少ないぞ!もっとLHやFSHを出しなさい!」とその情報が下垂体に戻されて(feedback)LHやFSHが上昇します。

下流の数値の減少が上流の数値の上昇を引き起こすものをnegative feedbackといい、その逆をpositive feedbackといいます。
排卵前にE2の値が上昇したという情報が下垂体に伝わり、LHサージが起きるのがpositive feedbackの良い例ですね。
また、女性の閉経後はFSHやLHが非常に高値となりますこれは、卵巣の機能が停止(閉経)し、negative feedbackが機能するためですね。
ちなみに排卵誘発に使われるhMG製剤(FSHとLHがいろいろな割合で含まれてます)は閉経後の女性の尿からつくられています。

   ◇   ◇   ◇

排卵に絡んでくるホルモンは以下のものがあります。
■LHやFSH
これらは下垂体から分泌されるホルモンで、視床下部から命令を受け、卵巣に命令を出しています。
・両者が低値の結果の時;これは下垂体機能不全もしくは視床下部の異常を表します。
前者は分娩の時にショックになるほど大量の出血を起こした場合に発生することがあります。
後者は神経性食欲不振症などで起こることあり。
・両者とも高値の時;これは卵巣機能不全、両側卵巣切除後、閉経後(早発閉経もふくむ)などを表します。
・LHだけ高値の時;PCOSが疑われます。

■卵胞ホルモン
卵胞ホルモンはエストロゲンといいます。
エストロゲンには3種類あり、メインの働きをするのがエストラジオール(E2)です。
子宮内膜をコントロールする以外にも沢山の働きがあります。
頸管粘液の分泌を促進、女性の二次性徴、コレステロールの低下、骨代謝の促進、膣粘膜の角化促進などなど・・・・。
卵胞発育の指標となりますね。

■黄体ホルモン
黄体ホルモンはゲスターゲンといいます。
ゲスターゲンもいくつか種類がありますが、メインはプロゲステロン(P4)です。
基礎体温を上昇させる働きがあり、子宮内膜を着床の準備のために厚くする働きがあります。
着床後も妊娠維持のためにしばらく分泌されます。
プロゲステロン10(ng/ml)未満は黄体機能不全と診断されます。
黄体機能低下症や習慣性流産の際にプロゲステロン製剤を処方することがあります。

■プロラクチン
以前のブログをご参照ください。↓
http://blogs.yahoo.co.jp/dr_obgy/6157353.html
薬剤性のものや潜在性高プロラクチン血症というものあるので注意が必要です。

■甲状腺ホルモン
甲状腺は体の代謝をコントロールしています。
簡単に言うと機能亢進症は異常なくらいの元気がよくなり、低下症は元気がなくなります。
月経や排卵障害を起こすこともあり不妊症の際にチェックが必要なこともあります。

   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で(^^)/

「ホルモン」

こんにちは(^o^)。
不妊症検査の続きです。

ホルモンのイメージを伝えたくて書いてみました。
(以下のたとえは正確性を欠くかもしれませんが、ご了承ください・・・)

■ホルモンとは?
体の中にはいろいろな働きをする細胞が存在します。
食べたものを吸収する細胞、筋肉として収縮する細胞、汗を出す細胞、卵子のもとになる細胞などなど・・・・。
それぞれの細胞が勝手に仕事をしたら体の働きはぐちゃぐちゃになってしまいます。
毎日普通に生活ができるのはそれぞれの細胞もしくは細胞が集まってできた臓器がうまい具合に”調節”されているからなんですね。
命令を出す細胞から命令が出されて、命令を受ける細胞まで伝達される仕組みが必要です。

気温が上昇すると汗が出てきますが、気温が上昇したことを感知する細胞があり、それが中枢の脳に伝わり、汗を出す細胞に命令がでて汗が出ます。
汗が出ることで気化熱により皮膚温が低下します。
これが”調節”です。

離れた場所にあるものを調節するためには伝達手段が必要です。
この伝達を担っているのが「神経」と「ホルモン」なんです。
神経は「電線」のようなイメージで命令を伝えます。
一方、ホルモンは「手紙」のようなイメージで命令を伝えます。
何かが作られて、細胞から放出されることを「分泌(ぶんぴつ)」といい、ホルモンを分泌する細胞を「内分泌細胞」とよんでいます。
(外分泌は汗、唾液、頚管粘液、母乳などです)

ホルモンはもの凄く小さな化学物質です。
一般的には血液の中を流れて、目的とする細胞に到達します。
手紙には個別の命令が書かれています。
ホルモンを受け取る細胞はその細胞表面に「受容体(レセプター)」という手紙を受け取るポストの様なものがあります。
このレセプターにホルモンがくっつき、その細胞の内部に変化を起こし、命令を受けた細胞が働くことになります。

ホルモンの量が十分あるのかどうかを知るためには血液検査をして、ホルモンの値を測定すればわかります。
基準値(以前、正常値といわれていたものです)というものがあって、ホルモンの基準値の範囲を超えたものが異常となります。
いろいろなホルモンの測定をすることで、どの部位の異常があるのかを知ることができます。
排卵後の黄体ホルモンの測定値が基準より低ければ「卵巣機能不全」と診断される訳ですね。
基準値よりも低ければ、それにあった薬を補充するといった治療にも使われます。
厳密に言えばホルモンの量が正常でもレセプターの異常があれば、命令がうまく伝わらない、ということもあります。

    ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で・・・。

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