産婦人科の基礎知識

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帝王切開術

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「帝王切開術」その5

こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。
帝切最後の内容です。赤ちゃんのことなどについて。

赤ちゃんにどんなリスクがあるの?
帝切では胎児が産道を通過することなく、誕生することができるので、胎児にとっては楽かもしれません。狭い産道を通過するというストレスはかからないことになりますからね。しかし、時間をかけて産道を通過していくこと自体が後の母体外生活の準備時間であるともいわれていますので、産道を通過するというのは意味のある行為なんですね。事実、胎児にリスク要因のない、正期産の予定の帝切の時でも新生児の出生後のマイナートラブルは比較的よく見かけます。特に呼吸器系ですね。

おなかの中の胎児は羊水の中に使っていますが、それと同時に肺の中にも羊水が肺液として満たされています。肺液は肺でいつも作られていて肺からあふれてまわりの羊水となったり、それを飲み込んで消化管へも流れてゆきます。陣痛がはじまると胎児の肺液の産生が抑制されて分娩が進行するにつれて肺液が血管などに吸収されてゆきます。陣痛によって刺激された胎児の中のカテコールアミンなどが肺液の吸収に重要だといわれています。帝切ではこの過程が省略されるので出生後に肺液の吸収が遅れて、呼吸不全を起こしやすくなるわけです。(空気中では肺の中に水分があると、肺呼吸が妨げられるのは想像しやすいかと思います。水に溺れた状態です。)とはいっても一般的に数日中には肺液は肺の中に吸収されるので、注意深い経過観察で落ち着くことが多いですよ。

また帝切は週数が早い段階で行われることが多いですね。前回帝切を行っていて、今回反復帝切を予定している場合は、陣痛がはじまる前の37週〜38週あたりで行われることが多いんです。妊娠週数は1週間くらい真の週数からずれていることもあり、週数が早すぎると胎児によっては呼吸機能がまだ完全に成熟していない場合もあります。そうなると出生後の呼吸障害の頻度も多くなってきます。

麻酔の影響もあります。硬膜外麻酔や脊椎麻酔だと薬剤の直接移行は心配する必要ありませんが、麻酔の際に仰臥位低血圧症候群が発生し、高度低血圧が長時間続くと胎児に酸素が到達しにくくなり苦しくなるおそれがあります。また全身麻酔は直接胎児に薬剤が移行するので麻酔時間が長くなると胎児が眠ったまま出生ししばらく起きてくれないこともあります。呼吸管理を行いつつ待っているとお目覚めになりますが・・・。

新生児管理の面からも帝切のリスクは頻度は高くないですが、存在します。もちろん帝切を行うはっきりとした理由(特に、腹壁破裂や水頭症などの胎児奇形など)があれば別ですが、経膣分娩が可能であれば、できるだけ経膣分娩で頑張りたいですね。

手術後はどうなるの?
手術後は経膣分娩をされた方と同じ頃に一ヶ月健診があります。そこで経過良好であればひとまず終了となります。帝切後の次の出産を経膣分娩することをVBAC(vaginal birth after cesarean section)といいますが、最近のご時世では、VBACを行う施設の方が少ないと思います。一般的に次の出産も帝切となります。一度帝切をするとその次も予定で帝切とする理由は子宮破裂の可能性があるからです。VBACの100例に1つくらいの頻度で分娩中の子宮破裂が発生するというデータがあります。子宮破裂は想像通り大変な状況で母児共に死亡する可能性が高い状態です。そのため、患者さんも医療サイド側も無理せず反復帝切を行うという傾向にあるようです。(最近は訴訟も多いですからね・・・。)

帝切後に年子で妊娠が成立しても継続することはできますが、念のため1年くらいはゆっくりと子宮をやすめるのもいいかもしれませんね。帝切は何回までできますか?とよく聞かれますが、決まっているわけではないのでご希望されるだけ妊娠されてかまわないかと思います。今は帝切でなくても3人くらいまでの方が多いですね。ただ、物理的に癒着の頻度はだんだん高くなって手術も困難となる・・・かもしれません。癒着の程度などは個人差も結構あります。

帝切については長くなりましたが、今回はこの辺で。

「帝王切開術」その4

こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

長くなってしまいましたが、重要な帝切のリスクなどについてです。
沢山ありますが、手術前には一通りお話しする内容です。もちろん合併症のほとんどは滅多に発生しないので、あまり心配しすぎないようにしてくださいね(^_^)。
ただ、このようなことが起こりうることなんだということは知っておいていただきたいと思います。

母体にどんなリスクがあるの?
傷ができる、出血、感染、深部静脈血栓症(DVT)、イレウス、周辺の臓器の損傷などがあげられます。それぞれ見てゆきましょう。

まずおなかを切るのでどうしても傷はできます、術後の痛みもあります(経膣分娩は会陰切開の痛みがありますが・・・)。これはリスクというより仕方が無いことですね・・・。美容的には前述したように横切開が勝りますが、デメリットもあります。経膣分娩は分娩中が長く大変ですが、分娩後は傷がある分帝切の方が痛みが長く持続します。

出血のリスク、これは帝切と切っても切れない問題です。
出血が全くない手術は少ないですが、帝切は出血が多い手術に入ります。もちろんできるだけ少なく、少なくというのが大前提ですが、血流が豊富な子宮の筋肉を5センチ以上横に切開しますのでどうしてもでる時は出るものなんです。そのためできるだけ手術時間を短くするという方法をとります。子宮が空っぽになったらできるだけ早く子宮筋層を縫合してしまいます。胎児を出す時に切開した部分からの出血だけであればまだ良いのですが、胎児が大きかったりすると胎児が出る時に子宮の筋層が裂けて出血が増えることがあります。このようなところはちゃんと縫合止血を行います。大量出血となる時は輸血を行うこともあります。

その他子宮の収縮が不良で本来止まるべき子宮内面からの出血がなかなか止まりにくい子宮弛緩出血と呼ばれる出血があります。これは子宮が本来持っている産後の収縮力にかかってきますが、強力な薬剤で収縮させることができます(いわゆる子宮収縮剤ですね)。
また、非常に珍しい状態なのですが、癒着胎盤というものがあります。胎児が娩出されたら胎盤は子宮の収縮とともにぽろっと自然に子宮から剥がれてくるものです。これが何らかの原因で胎盤が子宮の筋肉にしっかりと食い込んでいるとなかなか剥がれません。剥がさないと子宮が縮まないので出血が増える、無理に剥がすと大出血をするかもしれない・・・と非常に判断になやむ所なんです。出血が増えるようならばやむを得ず子宮を丸ごと摘出することも必要となってきます。母体の命を救うためですね。

前置胎盤は子宮の入口(子宮頚部)近くに胎盤が付着してしまった場合で、経膣分娩が困難かもしくは完全に不可能になる状態です。子宮頚部と子宮体部はつながっていますが、全く違う構造を持っているので、胎盤が本来付着する子宮体部以外の子宮頚部に付着すると胎盤を剥がした後大出血を起こす可能性が高いのです。今回の皇室の帝切は部分前置胎盤なので比較的スムースに終了する可能性が高いですが、一般の帝切よりはリスクが上がってしまいます。終了までちょっと心配ですね・・・。

感染症は細菌などが蔓延してしまうことです。子宮や腹壁の縫合部分に細菌が侵入して術後1週間位して傷が開いてしまったり(感染による縫合不全)、子宮の中に細菌が増えて子宮内膜炎を起こしたりします。術後は抗生剤の点滴を予防的に投与することが多いのでこのような感染はほとんど起こっていません。ただ、破水から時間が経過して子宮内感染がベースにある方が帝切になると術後感染症になることもあります。術後異常な熱の上昇や局所的な痛みなどで発見されます。治療には抗生剤の変更や追加投与などが必要となります。

深部静脈血栓症(DVT)は滅多に無いことなんですが、発生すると重篤な結果になる可能性があります。血管の中で本来は固まらないはずの血液が血管の中で固まり(ゼリーやレバーのようなものができます)、それが細い血管などの詰まっていろいろな症状を起こすものをDVTといいます。妊婦さんは元々お産という大出血に耐えうるように妊娠していない人よりも血液が固まりやすくなっています。そのため経膣分娩でもこのDVTは発生しますが、帝切は3倍〜5倍発生しやすいといわれています。肥満は重要なリスクファクターになっていますので、体重コントロールはとても大切なことなんですね。

DVTは発生すると非常に危険なので(より大きな病院へ搬送となることが多いです)、予防します。肥満のある方は妊娠初期からの体重管理とヘパリンなどの血液をサラサラにする薬剤の投与を行ったり、また一般的には術中の間歇的下肢マッサージ(空気の力で術中に足をマッサージしてくれる、気持ちの良い機械があります)、弾性ストッキングの着用、早期離床(できるだけ早くベッドから起きて生活を戻す)などが行われます。

イレウス腸閉塞ともいいます。術後は翌日あたりから食事をとることになりますが、食事開始後食べたものをはき出して、受け付けない状態です。帝切後に完全なイレウスになることはほとんどありませんが、時に発生します。この場合はしばらく食事を中止して点滴で腸や胃が完全に動き出すのを待ってから食事を再開します。

周辺の臓器の損傷とは術中の話ですが、子宮筋層切開の時に子宮から膀胱を少しはがして切りますが、このとき非常に薄い膀胱に傷がついて尿が漏れ出てきたり、周囲にある大腸や小腸に傷がついたりすることがあるかもしれません。これは何回か開腹手術を受けた方(特に複数回の帝切)に発生する癒着を剥がす時に発生することが多いです。もちろん周辺の臓器に損傷が発生すればまず胎児を優先して娩出させた後にきちんと修復します。癒着の程度は個人差があり、一回の手術でもがっちりとおなかの中があちこちで癒着している場合もあれば複数回の手術後でも全く癒着がないこともあります。あまりに癒着がひどくて胎児娩出まで30分くらいかかることもあります。


長くなりましたのでこの辺で。

次回はほんとに帝切の最後です。赤ちゃんに対するリスクなど書いてみます。

「帝王切開術」その3

こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。
帝切の続きです。

胎児の娩出
さあ、こまでくればいよいよです。卵膜をピンセットでつまんで破り(非常に薄い膜です)羊水を流出させます、子宮の中へ術者の手をがばっと入れて、胎児の頭(骨盤位ならおしりとか足)をつかんで子宮のそとへだし、子宮の底部(母体の胃のあたり)を押すと胎児がぷりっとでてきます。両手で胎児を抱えて誕生!となります。
と、ここまで(皮膚を切開して赤ちゃんが出てくるまで)一般的に2〜5分くらいです。前回帝切などで癒着がひどいときはもっと時間がかかってしまいます。
お顔を拭いて、鼻のなかの羊水を吸引して臍帯を切断し担当の助産師さんへ渡します。出生時の決まった処置を施して、赤ちゃんとお母さんの感動の対面となります。

胎盤の娩出
一方そのころ術者は忙しく手を動かしています。胎児が出た後の子宮は大量に出血が始まってますのでのんびりしていられないんです。まず胎盤を取り出して子宮の収縮を促します。(子宮収縮剤で収縮させることも多いです)。子宮の中の卵膜の残りなどをきれいに掃除して、子宮筋層の切開創から出血が多いときには専用の器具で挟んで一時的な止血を行います。わき水のようにじゃんじゃんわき出してくるので、そうしないと子宮からの出血はあっという間に数百mlになりますからね。

子宮筋層の縫合
子宮筋層は縫うことで止血されるので急いで子宮筋層を縫ってゆきます。このときは抜糸の必要がない自然吸収される糸を使って縫っていくのが一般的です(吸収されるとっても数ヶ月がかかります)。このとき、何針という表現ではなく70センチくらいのながーい糸で連続縫合で縫っていきます。私たちは筋層は1層縫合した後、もう一層縫合して(2層縫合)いますが、一層縫合でも術後の効果は変わらないという報告も多く、最近では欧米では1層縫合が多くなってきたらしいです。

子宮切開創からの出血が確実に止まっていることを確認して、おなかの中のチェック(子宮や卵巣や卵管に異常がないかどうかなど)し、ガーゼや手術道具の数がちゃんと合っているかどうかを確認しておなかを閉じます。はさみがおなかの中に残っていたら大変ですからね。どうしておなかの中にハサミとか機材と残してくるの?とお思いかもしれませんが、注意しておかないと実は常にその危険性があるんです。

帝切はとくに急いでやる手術なので沢山の器具をじゃんじゃん出して、使っていきます。赤ちゃんや大量の出血に気をとられて小さなハサミやピンセットがおなかの中に紛れ込むなんてことが無いとは言えないのです。おなかの中には何メートルもある腸が収まってますからいったん入ったものはなかなか探すことができないんですね。だからまずは入り込まないように注意することと、おなかを締める前に元々あったガーゼや機材の数をちゃんと確認する必要があるわけです(ガーゼは何十枚も使用しますが、ちゃんと数えてから袋を開けているのです)。この確認がちゃんとすめば大丈夫です!

腹壁縫合
いよいよ終わりです。
腹壁を切った逆の順番で閉じてゆきます。基本的には腹膜、筋膜、皮下脂肪、皮膚の4層をしっかりと縫合してゆきます。使用する糸や皮膚の縫合の仕方は非常にバリエーションがあります。皮膚の表面は医療用のホチキスのみだったり、ナイロン糸も併用したりといろいろなんですね。一番内側の腹膜は縫合しない場合もあります。
腹壁の縫合が終わり、内診の要領で膣の中の悪露の量を確認して、ひどい出血が無ければ終了です。
お疲れ様でした。

皮膚切開のこと
最初のところで、おなかを切る(腹壁切開)と書きましたが、30センチもがばっと開くわけではありません。基本的には臍から下の切開で赤ちゃんを誕生させます。胎児の頭が通過すれば良いので傷の長さは大人の拳の横幅よりも少し広いくらいです(10センチくらいですか)。皮膚の切開は正面からおなかを見て縦に切る縦切開と切腹の時のように横に切る横切開があります。(たとえが悪いですが・・・)
一般的には縦切開が行われます。圧倒的に多いです。利点として、開腹する時間が短い、切開創を大きく広げる必要が出てきた時にいつでも切開創を延長できる、次の帝王切開時に癒着が少ないなどがあります。
横切開は最大の利点は美容的に傷が目立ちにくいことですね。ビキニを着ても傷が見えないことが多いです。また傷が横なので痛みも少ないようです。意外かもしれませんが、非常に肥満の方は傷の治りの面から横切開が選択されることもあります。脂肪が多すぎて縦切開だと傷の治りが悪く、時間がかかることもあるからです。横切開は皮下組織や筋膜の癒着がひどくなる傾向があり、デメリットとして次回の帝王切開の時に赤ちゃんがでるまでに非常に時間がかかることがあげられます。初回の帝切でも緊急の時はもちろん縦切開が選択されます。縦切開が圧倒的に早く赤ちゃんを出すことができますからね。


今回はこの辺で。
次回は帝切のリスクなどについてです。

「帝王切開術」その2

こんにちは。
いつもご訪問ありがとうございます。
さて、今回は帝切のつづきです。具体的なやり方や手術について書いてみます。

具体的な方法は?
帝切の流れは、麻酔→消毒→腹壁切開→子宮切開→胎児娩出→胎盤娩出→子宮筋の縫合→腹壁縫合となります。おなかを開いているのを想像しながら読んでください。

麻酔
一般的には、胃のあたりから下の部分を麻酔する脊椎麻酔が行われます。おなかは痛くないけれど意識はあるといった状態を作り出します。背中から細い針を使って専用の麻酔薬を注入します。意識がある方が術後の回復も早く、また最も大切な出生直後の母児対面を行うことができますからね。緊急状態の時はやむを得ず全身麻酔をかけますが、頻度は少ないです。脊椎麻酔は麻酔薬の直接的な影響が胎児に及ばない利点もあります。全身麻酔は母体の意識がなくなりますが、胎児も眠ってしまうことがあります。出生直後元気に第一呼吸を初めてほしいところで眠っていると困りますからね。(もちろん、時間が経てばちゃんと目が覚めますけど・・・)

消毒
脊椎麻酔がかかり手術台の上に仰向けに寝ている状態ですが、このとき仰臥位低血圧症候群という急激な血圧低下が高率に発生するのでベッドを少し左に傾けるか、妊婦さんのお尻の右下にタオルを敷いたりして予防に心がけます。術者と助手は医療用のイソジンなどで両肘から先を何度も消毒し洗います。術者らは清潔なガウンを着て、妊婦さんのおなかの消毒などの準備がすむといよいよ手術開始です。

腹壁切開
メスで数ミリの厚さの皮膚を切るとその下には柔らかな皮下組織(脂肪組織ですね)があります。この皮下脂肪の厚さは非常に個人差があります。1センチ以内の人からハサミが埋まってしまうくらい厚い人まで・・・。皮下脂肪の下には腹直筋を包んでいる非常に丈夫な筋膜とよばれる膜があります。この膜を切ると真っ赤な腹直筋が見えてきます。腹直筋はおなかのど真ん中を2本平行して存在しており、2本の腹直筋の間を分けてはいると非常に薄い膜である腹膜が見えます。この膜を切ってやっとおなかの中の空間に入れます。

子宮切開
腹膜を開けると胎児を宿した大きな子宮の表面(前面)がどーんと見えます。胎児を出すために子宮を切りますが、ほとんどの場合子宮は横に切ります。これを子宮下部横切開と呼んでいます。子宮はなすびや徳利をひっくり返した様な形をしていますが、子宮の筋層を横に切るというのは、なすびや徳利で例えると細くなった部分あたりを切ることになります。結構した〜の方なんですね。このあたりが薄くて出血も少なく、傷も治りやすいのでね。

子宮の筋肉(子宮筋層)を切る前に、子宮の表面には漿膜といって子宮を包んでいる薄い膜がありますのでこれをまずハサミでちょきちょきと横に切り、その膜を子宮からある程度剥がして子宮筋層を切開して行きます。漿膜をはがす時は子宮の目の前にある膀胱を子宮から一部はがして下に押し下げてあげないといけません。そのままだと膀胱に傷が付いてしまうかもしれないからです。

筋層をメスでずばっと切るとその下にいるかわいいあかちゃんのお顔に傷を付けてしまうといけないので筋層を数ミリずつ(筋層は一般に5ミリ〜10ミリくらいの厚さがあります)慎重に切っていきます。子宮筋層を突破して羊水の入った袋(卵膜)が見えてくるとその中の胎児の頭、顔、髪の毛などが卵膜を通して透けて見えてきます。子宮の筋層がこの時点でまた2センチくらいの幅しか切っていないのでさらに両サイドへ数センチずつ切開創を広げます。

   ◇   ◇   ◇

ちょっと中断です。

「帝王切開術」その1

こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

有名な方が「部分前置胎盤で帝王切開予定」とのニュースがありましたので、突然ですが今回は帝王切開について書いてみます。

帝王切開とは?
帝王切開は通常のお産とは違って(経膣分娩)おなかを切って、子宮を切って赤ちゃんを誕生させる分娩方法です。語源はローマ皇帝ジュリアス・シーザーが母親のおなかを切って生まれたので帝王切開(cesarean section)というようになったと聞いた覚えがありますが、今ではラテン語の「切る」と言う意味が変化したものであるとの説が有力らしいです。医療関係者はカイザー帝切と呼んでいます。また最近ではcesarean sectionは「切る、切る」という同じような意味の言葉が連続しおかしいので、帝切のことをcesarean deliveryと表現されているようです。

1970年代には10%以下くらいの頻度(全出産に対して)でしたが、いろいろな要因で増加してきて最近は15%くらいの頻度になっています。アメリカなどでは訴訟の問題などもあり25%前後だそうです。また出産に対する考え方にお国柄もあるようで、ブラジルなどでは帝王切開を希望する方が多く、アメリカよりも圧倒的に頻度が高いとのことです。

あらかじめ予定して行われる予定帝王切開と経膣分娩の進行中に何らかの理由で緊急で行われる緊急帝王切開があります。 第1子に帝王切開を行っていて、今回も帝王切開を行う時や前置胎盤が超音波検査などでわかっている場合などは予定帝王切開となり、胎児ジストレス(胎児の状態が急速に悪化すること)などがあれば緊急帝王切開が行われます。手術自体のやり方は変わりありませんが、急いで手術をやるべきか否かが違ってきます。

どんなときに行うの?(適応は?)
希望すれば誰でも帝王切開を行えるものではありません。帝王切開は安全なものだという誤解が多いですが、短時間で終わるとはいっても非常にリスクを伴う行為なんです。手術であり経膣分娩よりも危険なものという認識をしていただきたいと思います。そのため手術が必要と判断する理由がいります。それを適応といいますが絶対的適応相対的適応社会的適応などがあります。

絶対的適応は帝王切開以外では赤ちゃんを出生させることが不可能なときで、物理的な理由で経膣分娩が不可能な場合に適応となります。(胎児が物理的に産道を通過できない理由がある時です)例として、骨盤がとても小さくて胎児が通過できない(狭骨盤)、胎児の頭が産道よりも大きいとき(児頭骨盤不均衡)、子宮破裂になる可能性が高い(切迫子宮破裂)、胎盤が子宮の出口をふさいでいる(全前置胎盤、部分前置胎盤)、胎児が横向きで分娩が進行しない(横位)などがあります。

相対的適応は母体もしくは胎児に何らかの理由があり急いで娩出させたいんだけれど、短時間で経膣分娩ができないと判断した時の適応です。母体側の例として、重症妊娠中毒症のコントロール不能例、子癇発作(重篤なけいれん発作)、胎盤が分娩前にはがれてしまっている(常位胎盤早期剥離)、そのほか重篤な母体合併症など、胎児側の例として、胎児ジストレス、臍帯脱出、巨大児や重篤な奇形児などがあります。

社会的適応とは帝王切開以外の方法でも胎児を娩出することが可能な状態の時に社会的な理由から行われるものです。例として骨盤位(逆子;さかご)、前回帝王切開(前の出産が帝王切開を行っている)、母体の経膣分娩の絶対的な拒否、痛みによるパニック状態で抑制不能な場合などがあります。

   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で。
次回は具体的な帝切のやり方などをご紹介します。
やり方を読んでもマネしないでくださいね(^_^)。

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