産婦人科の基礎知識

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妊娠と・・・

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皆さんこんにちは!
いよいよ12月に入りました!
今週末は寒くなるようなので風邪などにはご注意を。

さて、今回の話題です。
胎児の発育のことを書いている途中ですが、外来でシートベルトのことを聞かれましたので、その辺のことを。

「妊娠するとシートベルトをしなくてもよい」と思っている方が多いと思いますが、それは間違いです。

現代、車は完全に生活の一部になっていますね。
そんな状況から妊婦さんの外傷の半分以上は交通事故によるものと言われています。
頻度では妊婦さんの1〜2%が何らかの交通事故にあう可能性があるらしいです。

シートベルト未着用で交通事故にあったときと、着用していて交通事故にあったときとを比較した検討では外傷の程度や早産などの合併症の率に明らかに差が出てきます。
妊婦さんといえどもシートベルトは重要なんですね。
アメリカをはじめとする外国では妊婦さんのシートベルトは当然の義務となっています。

日本では道路交通法で妊婦さんはシートベルト免除可能となっています。
30年くらい前の車のシートベルトは2点式といって腰からしたの部分だけのものでした。
それが妊娠した腹部を圧迫する可能性があるため、妊婦は免除可能と法律ではなっていたようですね。
今では3点式のシートベルトになっていますので法律が時代に合っていないという感じがします。

おなかが大きくなるとシートベルトをするのがつらくなる場合もありますが、シートベルトを途中で固定してきつくならないようなストッパーのような器具もカー用品店などには売ってますので、そういったものを利用するのも一つの方法ですね。

妊娠前は70〜80%の方がシートベルト着用していたにもかかわらず、妊娠すると着用率が半分に下がるというデータがあります。
法律の見直しと正確な知識が必要ですね。
お出かけの際はシートベルトはお忘れなく・・・。

「妊娠と葉酸」

皆さん、こんにちは!
ご訪問ありがとうございます。

妊娠中に必要な栄養素はたくさんありますが、今回はとくに大切な「葉酸」について書いてみます。

葉酸はビタミンの一種です。
ビタミンは体を円滑に動かすために必要な栄養素ですね。
必要なビタミンは10種類以上と言われています。

ビタミンは水に溶けやすい性質をもつ水溶性ビタミンと油に溶けやすい脂溶性ビタミンに分けられます。
水溶性ビタミンは、ビタミンB群(B1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、B12)とビタミンC、脂溶性ビタミンは、ビタミンA、D、E、K(D・E・K・Aデカと覚えました・・・)の4種類 です。

水溶性ビタミンは水に溶けるので蓄えておくことができません。
そのため、毎日必要な量を摂取する必要があります。
もし沢山とりすぎても尿として排泄されるので心配はいりません。

脂溶性ビタミンは蓄えることができますが、逆にとりすぎると蓄積による害がでてくることがあるので注意が必要です。

妊娠中に摂取することで積極的にある種の奇形を減らすことが出来る唯一のものが葉酸です。

葉酸は粘膜を強化してくれたり、赤血球が作られるときに大切な働きをしてくれます。
そのため、葉酸不足は、悪性の貧血(巨赤芽球性貧血=DNAの合成障害が原因で起こる貧血)、口内炎、食欲不振、舌炎などを起こしてきます。

妊娠と葉酸はどのような関係があるのでしょうか?
胎児の脳や脊髄などの神経が作られるのは妊娠のごく初期です。(妊娠4週頃〜)
神経は皮膚の近くから発生しそれが背中に沈んでいくように作られて行きます。
神経が皮膚の下に沈んでいったら最後に皮膚がファスナーを閉めるように閉じてゆきます。
そうして神経は背中の皮膚の下に収まるわけですね。

何らかの原因でこの最後の皮膚の閉鎖がうまく行かないと神経管閉鎖障害という胎児奇形が発生します。
葉酸を初期にとることでこのタイプの奇形を減らすことが出来ることがわかり、妊娠する可能性のある女性は積極的に葉酸を摂取することが勧められるようになってきました。

妊娠に気づいてから葉酸をとりはじめるのは意味のないことではありませんが、神経管閉鎖不全の奇形をへらすためには妊娠前から十分に摂取しないと遅すぎるということになります。
妊娠しようと考えている方は普段から積極的に摂取しておく必要がありますね。

妊娠初期に必要な葉酸の量は一日400マイクログラムと言われています。
これは、成人の必要量の2倍の量にあたります。
これだけの量を野菜などでとろうとしてもなかなか難しく、サプリなどで補充することが現実的かと思います。

葉酸のサプリは水なしでも飲めるタイプのものもありますので、試してみてくださいね。
この辺は女性の読者の方の方が詳しいかもしれませんね(^_^)

今回はこの辺で。

「妊娠と歯科」

ご訪問ありがとうございます。
今回はリクエストにありました、妊娠と歯科のことについて書いてみます。
歯科の専門ではないので、産婦人科の立場から簡単に・・・。

「妊娠すると虫歯になりやすい」と一般に言われています。
これは正しいことですが、虫歯だけではなく歯を支えている歯肉の病気(歯肉炎)も起きやすいものです。
いろいろな要因があります。

まず、妊娠による免疫寛容状態があります。
妊娠すると免疫力が低下して一般的に細菌やウイルス感染を発症しやすくなります。
妊娠初期につわりなどで、嘔吐を誘発しやすいため歯磨きの回数がへります。
また食事も小分けに食べることが多く、口の中に食べ物のかすが残りやすくなります。
そのため、歯肉炎や虫歯が進行しやすくなると言われています。

また、妊娠中はエストロゲンやプロゲステロンの分泌が増えます。
女性ホルモンを好む細菌がいるらしく、エストロゲンなどが増加するとそれらの細菌も増えて通常よりも歯肉炎になりやすくなると言われています。

また歯肉炎などの歯周病があると早産の率が高くなるという報告があります。
細菌の感染が子宮収縮を促進する物質を増加させることが原因と考えられています。

妊娠中は歯のトラブルが多くなるため、歯科受診はぜひとも行っていただきたいものです。
妊娠前に受診して必要があれば、治療をし、歯磨きなどの指導を受けておくことが理想的です。

必要があれが妊娠中でも歯科治療は可能です。
むしろ放置して歯周病やう歯による症状が悪化する方がやっかいです。

妊娠中の歯科治療で、皆さん心配されることが、レントゲンや麻酔やお薬のことですね。

エックス線は非常に少ない放射線量で、非常に狭い範囲(口の周り)しか当たりません。
子宮のある腹部からは十分離れているのでまず問題となることはありません。
また、妊娠中であることを告げれば、腹部遮蔽(おなかを鉛の防護布で覆うこと)してくれるはずです。

治療の際の麻酔は局所麻酔でありこれもほとんど問題となりません。
使用する抗生剤や鎮痛剤もまず安心して使用可能なものがありますので、あまり心配しすぎる必要はありません。

詳しくは、歯科で相談をしてみてください。

今回はこの辺で。

「妊娠と温泉」

ああ、皆さんこんにちは。
すっかり秋めいて、温泉が恋しい季節になってきましたね。
私も温泉大好きなのですが、なかなかゆっくり行けません。

「妊娠して温泉旅行はいいんですか?」と質問されることは多いです。
今回は、妊娠と温泉のことです。

   ◇   ◇   ◇

基本的には温泉の成分が妊娠中に胎児に直接影響を与えることはないといわれています。
また温泉にはいることで切迫早産や流産の発症率に差はないようです。
妊娠中に温泉に入ってはいけないという、医学的な根拠は乏しいというわけです。

温泉の効能・効果に糖尿病、婦人病・・・などたくさん書かれていますが、その効果は科学的に証明されているものは少ないと聞きます。
温泉の成分や効果などの表示自体も正確でない「偽温泉」なども全国的に問題になりましたが・・・。

温泉や最近多いスーパー銭湯などでは妊娠中は入浴禁止とされているところも多いですね。
これは、なんかあったときのための責任回避的な意味合いが強いと思われます。
温泉の成分がどうこうというよりも、心配なのは「のぼせ」と「ケガ」ですね。

妊娠中期、後期は胎児も大きくなり体のバランスが悪くなっています。
お風呂は滑りやすく、また露天風呂などは岩場もあり足場が悪いですね。
「あ、すべりそう!」と思ったときにとっさの動きがとれなくなり、転倒してしまう危険性が高くなります。
温泉や銭湯で転倒し、腹部を強打したときには胎児に多大なる影響を与えるかもしれません。

「のぼせ」はお湯の熱で皮膚の表面の末梢血管が広がり、心臓や脳にいく血液が一時的に不足し、動悸がしたり、意識が薄れてきたり、お風呂から上がるときにふらふらしたりする現象です。
(お風呂から上がるときに太股から下に冷水をかけるとのぼせにくいというのは、冷水により足の末梢血管が収縮し中心部の血流を増加させてくれるからなんです。)

妊娠中はのぼせやすくなりますので、のぼせるまではいるのは是非ともさけたいものです。
これは、温泉に限らす、家庭のお風呂でもいえることですね。
42度以上の高温や30度以下の低温は交感神経が刺激されて血圧が上昇する場合があるのでさけた方がよいですね。

温泉にゆっくりつかることで、筋肉や交感神経の緊張を低下させるのでストレス解消にはいいと思います。
雰囲気のよい温泉地に出向いて、地の山菜や川魚料理をいただく楽しさもありますね。
温泉について質問をされたときは、「十分に気をつけて行ってきてくださいね。」と私はお話ししております。

注意としては・・・

長時間はいるのを控え一回10分以内くらいにしておく
高温や低温の温泉はやめておく
滑らないように細心の注意をする
一人っきりで入らないように付き添いを連れて行く
温泉からあがった後はしっかりと水分補給をする(ビールではなくて・・・)

といったところですか。

今回はこの辺で。

「妊娠とアルコール」

皆さん、こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。
今回は妊娠とお酒についてのお話です。

   ◇   ◇   ◇

「妊婦さんはアルコールは断ちましょう」
とまず、強調しておきます。
アルコールはコンビニやスーパーでも気軽に買うことができる飲料ですが、立派な薬物です。
妊娠中はお酒、焼酎、ビール、酎ハイ、ワインなどのアルコールは断つべきですね。

お母さんが飲酒するとアルコールが血中に入りますが、胎盤を簡単に通過して、胎児にアルコールが移行します。
お母さんはアルコールを解毒する仕組みが肝臓にありますので、よいのですが、胎児は解毒機能が未発達です。
お酒の成分であるエタノールやその代謝産物であるアルデヒド毒性が胎児を直撃することになります。
実は母体以上に影響を受けているわけです。

胎児アルコール症候群=Fetal Alcohol Syndrome(FAS)といって、障害を持った赤ちゃんが生まれるおそれがあります。

FASの特徴として、
1.子宮内での成長や発達の遅れ
2.脳などの中枢神経の障害 
3.特徴的な顔貌(上の唇が薄い)、頭が小さいなどの頭蓋骨の奇形

2の中枢神経の障害として、刺激に対して過剰反応する、落ち着かない、適応障害、学習障害などがあります。生まれたときにはふつうの赤ちゃんに見えても、脳の障害は成長してから現れることもあります。
実際に障害が出てきたときに、妊娠中のアルコールが原因ではないかとは普通の人は思いませんので、「なぜ、自分の子供に障害がでたのか・・・」と思い悩むこともあるかと思います。
欧米などは飲酒の量が日本より多いので一概に比べられませんが、欧米では精神発達遅延の10〜20%はアルコールが原因ではないかともいわれています。

妊娠中はどの期間でも飲酒はすべきではないですね。
妊娠初期の器官形成期には奇形を発生させ、妊娠中期や後期では胎児発育遅延や中枢神経障害を発生させるといわれます。

「どのくらいなら妊娠中でも大丈夫なの?」という質問もありますが、実はどのくらいなら大丈夫という安全量がはっきりわかっていないんです。
少ない量でも影響があることもあるので、妊娠中、授乳中はいっさいやめるべきですと説明しております。

普通はFASは大量の飲酒をしている母体から生まれています。
飲酒をすると必ず上の3つの症状がそろうというわけではありません。
妊娠中期後期に飲んでいたら顔面の奇形はほとんど発生せず脳の障害だけが発生することになります。

アルコールの胎児への影響は、なにもアルコール依存症や中毒のお母さんだけの話ではありません。
アルコールが原因と考えられる中枢神経の障害のお子さんを出産した例の多くは、週に数回程度の飲酒だったという衝撃的な話もあります。

最近のビールなどには「飲酒は20歳を過ぎてから」という項目の横にちっちゃな字で「妊娠中や授乳期の飲酒は胎児、乳児の発達に悪影響を与えるおそれがあります」と書くようになりました。アメリカなどではだいぶ前からそのような「警告文」が書かれていたようですが、日本ではほんの数年前からです。
妊娠中や授乳中には飲んでくれるな、と酒造メーカーはいっているわけですね。

アルコールの障害は飲酒をしなければ100%発生しない障害です。
妊娠中に「少しの量のお酒は健康によい」という認識はどうかと思います・・・。
以前、同じ病院の女性職員が大のお酒、たばこ好きで、「やめられないのよねぇ」といって妊娠中もどちらもじゃんじゃんやっていらっしゃいました。
いろいろと悪影響についてお話はしたんですが、結局やめられなかったようです。
普通のお子さんを出産されたと聞きますが、ひょっとすると何らかの症状が後からでてくるかもしれません・・・。

「おかあさん、お酒なんかいらないよ・・・。」と胎児が思ってもへその緒からじわじわ流れてきます。
解毒作用は未発達の胎児にとってお母さんが飲酒することは、酒の弱い人が無理に一気のみをさせられている状態と同じかもしれません。

追加;授乳中もとても影響あります。
お酒を飲んだ後に母乳をあげて急性アルコール中毒になった新生児を診たことがあると小児科の先生が話をしてました。
お母さんは全然酔うような量じゃなくてもです・・・。

今回はこの辺で。

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