産婦人科の基礎知識

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胎児の発育

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みなさん、こんにちは(^_^)。
今日もご訪問ありがとうございます。
今回でIUGRは終わりです。

どうやって管理しているの?
たった一回だけ推定体重が基準よりも下回ってもすぐにIUGRとは判断しません。
その後の発育の推移をしばらく観察する必要があります。
小さいながらも発育が見られる場合や胎児の予備能力がある程度保たれている場合は経過観察で発育を期待します。
その際は、胎児心拍数モニタリングの波形パターンの解析、超音波検査による羊水量や胎児の活動性の評価、胎児臍帯動脈や中大脳動脈の血流測定などで胎児の状態を総合的判断します。

基本的には胎児推定体重で診断され、追跡してゆきますが、誤差の問題はあります。
比較的測定誤差の少ない重要臓器である頭の大きさ、つまり頭囲の発育も重要な判断基準のひとつとなります。

推定体重の増加が2週間くらい停止したり、胎児の予備能力が低下したりしたときは分娩を検討します。
子宮内での発育が期待できなくなってきたと言うことですね。
子宮内環境がよくないのであれば、胎児を出してあげればよい、ということになりますが、胎児を体外環境に出せる週数かどうかが問題となります。
週数が28週未満の場合は現代のNICUの技術を持ってしても後遺症を残す可能性が高くなってくるので、可能な限りの妊娠継続を行うことが目標となります。

IUGRの胎児は潜在的な低酸素状態となっていることも多く通常の分娩のストレスに耐えることが出来ない可能性があります。
基本的に分娩は経膣分娩が第一選択となりますが、必要に応じて予定帝王切開術を選択することも多いです。

一般的な管理はこんな感じです。
妊娠中期〜後期にかけてIUGRが発生した場合は母体原因であることが多く、新生児の予後はよい場合も多いです。
この場合に安静やカロリーの高い点滴などが試されます。
しかし、劇的な効果はありません。
胎児原因によるIUGRの場合は根本的な治療が存在しないこともあります。

IUGR管理のポイントは胎児の予備能力が決定的に低下する前に予測し、それまでは慎重な管理行い適切な分娩時期を決定することです。

外来などでも「赤ちゃんが少し小さいようです」と言われたときには基準値内での小ささなのか、そうでないのかを確認する必要がありますね。

今回はこの辺で。
みなさん、こんにちは(^_^)。
今日もご訪問ありがとうございます。
前回からの続きでIUGRについてやります。

IUGRも種類があります
胎児の発育の仕方は週数(時期)により違いがあります。
妊娠初期から16週くらいまでは主に細胞の数が増加してゆきます。
また、妊娠33週以後〜出生までは細胞数は増加せずに細胞の大きさが増加してゆきます。
妊娠17週〜32週までは細胞数の増加とともに細胞の大きさも増大します。

染色体異常やトキソプラズマなどの感染症などの胎児自身に異常がある場合は、細胞の数が少ない小さな胎児となります。
妊娠の早い時期に発症し、頭や体が同じように抑制された(発育不良となった)均整のとれたIUGRとなります。
このように初期からIUGRが見られるタイプをsymmetrical IUGRもしくは1型と言います。
これは細胞の形成が少ない胎児になります。
一般的に胎児の予後は不良です。

妊娠中毒症や母体糖尿病などの母体疾患が原因で胎盤の機能が低下したことによるIUGRは、頭の大きさは週数に近い適正な値を示しますが、胴回りが小さい「やせた胎児」となります。
これはbrain sparing effectと呼ばれ、低栄養状態となったときに最も重要な脳をまず大きく育てる一種の防衛反応のような仕組みにより形成されます。
このように胎盤循環不全が原因で妊娠後半でIUGRとなるタイプはasymmetrical IUGRもしくは2型と言います。
頭部と躯幹に均整がとれていない、つまり栄養不足でやせた胎児となります。
この場合は予後が良好なときもあります。

妊娠中期から発症すれば、これらが混合したIUGRとなります。

出生後の予後に関連してきますのでいつからどのくらいの発育障害があるのか?ということが重要になります。

どんなことが原因なの?
IUGRとなる原因はいろいろあります。
・胎児側に原因がある場合
・胎盤や臍帯に原因がある場合
・母体側に原因がある場合

胎児側の原因としては、染色体異常、胎児奇形、多胎、薬剤、感染症(風疹ウイルス、サイトメガロウイルス、パルボウイルスなど)があります。
胎児に原因がある場合は根本的な問題であることが多く、一般的には予後が不良となります。

胎盤や臍帯は母体から胎児に栄養を送る重要な働きをしています。
胎盤機能不全、胎盤形態異常(副胎盤の存在など)、胎盤付着異常、臍帯過捻転、臍帯付着異常、臍帯結節の有無などがあると胎児・胎盤循環障害が原因となりIUGRとなります。

母体合併症があると胎児へうまく栄養を与えることができなくなります。
母体の合併症として妊娠高血圧症候群、糖尿病、心臓病、甲状腺機能亢進症、貧血などがあり、母体への薬物投与、喫煙や飲酒も原因としては重要なものになります。
最近では、妊娠前や妊娠中の過度のカロリー制限(ダイエットなど)が問題となっていますが、この場合は胎児も低栄養となり2型のIUGRの原因となります。
母体の合併症でIUGRの要因となりやすいものは妊娠高血圧症候群(PIH)です。
PIHは胎盤機能不全と密接な関係があります。

原因は一つとは限りませんし、原因不明もよくあります。

今回はこの辺で。
次回が最後です。

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みなさん、こんにちは(^_^)。
今日もご訪問ありがとうございます。
今週末は忙しくて更新やコメントが遅れてしまいました。

胎児発育不良の概念
基準よりも小さく産まれた赤ちゃんは胎児ジストレス(旧胎児仮死)、低血糖、低カルシウム血症、多血症などになりやすく、周産期死亡率は8倍にもなり、精神発達遅延の発症率も高くなるといわれています。
そこで、子宮内での発育が順調であるかどうかを適切に評価し、発育不良があれば管理する必要があります。

診断
基準がややこしいのでゆっくり読んでくださいね。
出生児体重が基準となる発育曲線の10パーセンタイル未満の新生児をLFD児(light for date infant)といいます。
体重だけでなく、身長も10パーセンタイル未満の新生児をSFD児(small for date infant)と区別しています。
ちなみに適正な出生体重の赤ちゃんはAFD児(appropriate for date infant)といいます。

ここでパーセンタイルの説明を。
同じ週数で出生した100人の新生児を体重の軽い方から順番に並べている状況を想像してください。
50パーセンタイルの体重とは小さい方から数えて50番目の体重を表します。
10パーセンタイル未満は小さい方から数えて、9番目までの赤ちゃんのことになります。(未満なので100人の例でいうと10番目の赤ちゃんは入りません)
これは標準偏差でいうと大体ー1.2SDに相当します。

出生するとLFD児やSFD児となる可能性のある胎児の状態を'''子宮内胎児発育遅延(IUGR ; intrauterine growth restriction)といいます。
IUGRは超音波検査で胎児の推定体重を測定し評価します。
推定体重のデータでそれぞれの週数のー1.5SD以上小さいとIUGRと判断されます。
1.5SDは先ほどのパーセンタイルで表現すると大体7パーセンタイルに相当します。

IUGRと判断される場合はかなり小さい胎児となります。
例をあげます。
38週の胎児の推定体重の平均値がだいたい2800gほどです。
あくまでも平均値です。正常と判断される範囲があります。
この週数でIUGRと判定されるのはだいたい2300gよりも小さい場合です。
予想される推定体重よりも少しくらい小さいと結果がでても心配はいらないわけですね。

今回はこの辺で。
まだまだ続きます。

「胎児発育過剰」

皆さんこんにちは!

前回までで、超音波検査による胎児推定体重のことをお話しいたしました。
今回から胎児の発育に関して書いてゆきます。
まずは胎児の体重の増えすぎ、「胎児発育過剰」に関してです。
発育不良よりも語ることが少ないので先に書きます。

妊娠週数に関係なく、出生体重が4000グラム以上を巨大児、4500グラム以上を超巨大児と呼んでいます。
巨大児発生の危険因子として、以下のものがあります。

・母体の糖尿病
・母体の肥満
・妊娠中の多すぎる体重増加
・過期妊娠
・巨大児分娩の既往


巨大児が問題となるのは分娩時ですね。

・分娩遷延(分娩時間が非常に長くなること)
・肩甲難産(胎児の頭が出ても肩がひっかかり難産となること)
・分娩外傷(鎖骨骨折などの外傷)
・児頭骨盤不均衡(骨盤の出口よりも児頭の大きさが大きく経膣分娩が困難、不可能となること)

などの問題が起こってきます。
また糖尿病などがベースにあると胎児は出生後に逆に低血糖となりやすく、注意深い観察が必要となります。

ここ20年ほどで巨大児の発生頻度は半分くらいになり、平均出生体重は200グラムほど小さくなりました。
これは超音波検査での推定体重の測定や妊婦健診での生活指導や食事指導などの効果もありますが、昨今の晩婚化による合併症増加などの社会的背景も関係していると言われています。
最近は減ってきた巨大児ですが、健診をほとんど受けていない飛び込み出産などでは巨大児となっていることも多いようですね。

妊娠経過中に推定体重が過剰であると判断されたら積極的に母体の糖尿病の有無をチェックします。
尿糖では正確な判定は出来ないので、血糖値や糖負荷試験を行う必要があります。
耐糖能異常があれば適切な指導や治療を開始します。

「妊婦は二人分食べないと」という考え方は完全に間違っています。
大きすぎる赤ちゃんは分娩時に大変となることが多いので、やはり適切な体重管理は必要ですね(^_^)。

今回はこの辺で。
さて、次回は。
巨大児よりもいろいろな意味で管理や注意が必要となってくる「胎児発育不良」に関してです。

「胎児推定体重」その2

皆さん、こんにちは!
前回からの続きで推定体重について書いています。

推定体重を計算するパラメーターの測定の方法は非常に厳密に決められています。
それらをいかに正確に超音波検査で描出し、測定するかで推定体重の精度が決まってきます。

しかしながら、実際に胎児の重さを測定しているわけではないので、実際の胎児の体重と誤差が生じます。
正確に測定が出来れば1割以内の誤差範囲で胎児の体重を推測することが可能です。
妊娠末期になると3000グラムくらいの体重になるので前後300グラムくらいの誤差が生じる可能性があります。

仮に二人の胎児がいて、手の長さや膝から下の足の長さ、肩幅、お尻の脂肪や筋肉の付き方などに違いがあっても先述したパラメーターが全く同じ数値であれば、推定体重は同じものになります。
実際の体重には差があっても、です。
そういった意味でも実際の出生児の体重と推定体重の間に誤差があるのは仕方がないところでもあります。
また、妊娠末期は多いと一週間で200グラムから300グラムくらい胎児の体重が増加するので、最後の妊婦健診が分娩の1週間前であれば、よりいっそう誤差が広がったように感じます。

胎児の発育を評価するために必要なパラメーターがもう一つあります。
それは、正確な妊娠週数です。
妊娠週数が正確ではなく実際の週数から2週間ほどずれていると胎児が正常に発育していても「小さめの赤ちゃん」という評価になってしましますね。

一般的には最終月経の開始日を妊娠0週0日として280日を足した日を分娩予定日としています。
(排卵日が正確にわかっていれば、その日を妊娠2週0日として計算します)
これは、月経周期が28日型で順調に来ている人の場合で、月経周期が35日などの場合、排卵日が毎回定まらない場合、いつも順調の排卵がたまたま遅れた場合など、最終月経から計算すると見かけ上「小さな赤ちゃん」となってしまうことがあります。

出生体重は同じ週数でも2500グラムの赤ちゃんも3500グラムの赤ちゃんも、妊娠10週くらいまでの妊娠初期では、胎児の体長(胎児の座高に相当)はあまり個人差はありません。
つまり、体長を測定することで受精してどのくらいの期間経過しているかが逆算できるわけです。
妊娠初期の体長がどのくらいの週数に当たるかはだいたい決まっており、最終月経から計算した週数が大きくずれている可能性があるときはこの時期に胎児の体長から分娩予定日を補正することがあります。
補正することがありますというよりも、ズレがあればちゃんと補正しておかなくてはなりません。
理由は先述した、正確な推定体重を評価する「ものさし」として正確な妊娠週数が必要だからです。

沢山のデータを集めて胎児の推定体重の推移を表したグラフが作られています。
この週数ならこの位が平均値で、この数値を下回ると発育が不良であるという感じで評価できるようになります。
前回の「基準値」のブログでも書きましたが、沢山のデータを測定するとばらつきを持ったデータが集まります。
たとえば妊娠30週あたりの胎児の推定体重はだいたい平均1500グラムですが、1200グラムくらいの胎児もいれば、1800グラムくらいの胎児もいるわけです。

胎児の発育が過剰でも問題となることはありますが、発育が不良である場合の方がいろいろと問題となることは多いものです。
そのため一般的には胎児の発育が基準値よりも下回るときに問題となります。

今回はこの辺で。
次回はいよいよ本題の「胎児の発育不良」に関してです。

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