産婦人科の基礎知識

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早産と過期産

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「子宮収縮抑制剤」

みなさん、こんにちは。
前回切迫早産の治療などを書きました。
そこで今回は子宮収縮抑制剤について副作用なども含めて書いてみます。


   ◇   ◇   ◇


■子宮収縮抑制剤の種類
子宮筋の収縮を抑制する薬剤で代表的な物が「塩酸リトドリン」と「硫酸マグネシウム」です。
後者は点滴剤のみですが、前者は内服薬と点滴剤があります。
薬剤の効くポイントが違います(作用機序が違います)。

塩酸リトドリンの代表的な薬剤は「ウテメリン」です。(商品名はいくつかあります)
内服薬は外来レベルでの治療に使用され、一回1錠で一日3錠を毎食後に内服することが基本となります。
症状により内服量が増減することもあります。

ウテメリンは点滴版もあります。
専用の点滴用のポンプを使用し持続的(基本的には24時間連続で)に静脈投与します。
最初は少量から開始し、子宮の収縮の抑制具合を観察しながら、薬剤の量を増やしてゆきます。
薬剤の効果も上限があり、それ以上の子宮収縮抑制が必要なときは次の硫酸マグネシウムを併用することもあります。


硫酸マグネシウムとして、商品名「マグネゾール」という点滴用薬剤があります。
ウテメリンが使用できない場合(副作用が強いときなど)やウテメリンでも抑制できないような子宮収縮の抑制に対して併用されることが多いですね。
本来は子癇発作のに対して使用される薬剤で、妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)の際にも活躍する薬剤です。

ウテメリンと同様、持続点滴での静脈投与なので、24時間持続点滴が行われます。


■それぞれの薬剤の副作用
塩酸リトドリンの副作用は沢山あります。
「胸がどきどきする(動悸、頻脈)」、「手の震え(手指振戦)」、「吐き気」などが代表的な副作用です。
動悸と手指振戦はほとんどの方が自覚される副作用です。
これらの副作用は内服や点滴の投与をつづけると慣れが出てくるようです。

比較的にまれな副作用ですが、重症化するおそれがある「肺水腫」もあります。
これは肺の中が水浸しになり呼吸困難となるものです。
肺水腫が発生しないように投与中は水分の管理や症状のチェックが重要になります。

硫酸マグネシウムの副作用は「高マグネシウム血症」、「のどの渇き」、「呼吸抑制」、「筋肉の緊張感の低下」などがあります。
投与量が多すぎると呼吸抑制という重篤な副作用が発生するおそれがありますので、厳重な管理が必要となります。

これらの副作用は薬剤を中止することでほとんどが改善するものです。


■切迫早産治療薬の効果について
日本では切迫早産の治療といえば子宮収縮抑制剤の投与が広く行われていると思います。
しかし、アメリカではその効果に科学的な根拠が乏しいということで使用や販売が終了しているようです。
日本の施設でも切迫早産の際に安静入院だけで子宮収縮抑制剤を一切使用しないというところも出てきているようです。

データの解析では切迫早産の治療に役に立たないと結論されていますが、実際に点滴剤を中止したとたんに、陣痛が増強し、あっという間に出産に至ったという例にいくつか遭遇すると効果も全くないとは言い難いなあという印象ですね。



   ◇   ◇   ◇


今回はこの辺で。
次回は・・・まだ未定です。

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「切迫早産」その2

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
前回からの続きで切迫早産のお話しです。


   ◇   ◇   ◇


■切迫早産の診断
診断に際して自覚症状の問診がまず行われます。

次に、子宮収縮がどの位の間隔で起きていて、その強さはどうかという点が重要になります。
子宮の収縮の自覚を「おなかが張る」と表現することが多いですが、お腹が張るという状態が夜寝る前に数回自覚しただけでその後は落ち着いている、という程度であれば、有意な子宮収縮ではないことが多いです。

しかし、数時間様子を見て規則正しく毎時間数回はお腹が張っているとなると切迫早産の症状として考える必要がでてきます。
妊娠後期になると健診で行われる胎児心拍モニターには陣痛計といって子宮収縮を測定する装置も付いています。
自覚症状がある場合はまず陣痛の状態を把握する意味でこの装置をつけて検査を行います。


子宮頚部の長さを経膣超音波検査で測定することで切迫早産の程度を評価できる場合があります。
子宮頚部はその長さが正常で35ミリ〜40ミリくらいあります。
経膣超音波検査でこの長さが短縮している場合には切迫早産の診断ができます。
どの位の長さで異常な短縮とするのかははっきりとした決まりはありません。
子宮頚管の長さだけではなく、そのも重要なんです。
目安としては、だいたい30ミリ以下になってくると切迫早産とされることが多いですね。
20ミリを切るようになると入院の必要性も出てくるかと思います。

切迫早産の重要な原因の一つである、CAM(絨毛膜羊膜炎)存在を調べることも切迫早産の診断の補助になります。
膣内の炎症をとらえることが出来るキットがいくつか販売されていてそれらを使用することで、重症化する前のCAMを検査することが出来ます。
切迫早産の診断の補助として使用されることも多いです。



■切迫早産の治療
早産の中でも何週で胎児が出生するかによって、新生児の予後に差が出てきます。
妊娠34週の早産児と妊娠28週の早産児では出生後の合併症などの発生率も明らかに違います。
母体や胎児の状況が許せば、妊娠週数は少しでも延長したいものです。
切迫早産の治療の基本は出来るだけ長い妊娠継続になります。

しかしながら母体の状態や胎児の状態によっては妊娠継続することがマイナスとなることもあります。
その場合は治療を中止して、無事に出生させることが第一となります。

基本は安静子宮収縮抑制剤の投与です。
自宅安静が必要と判断されたときは基本的には外出は控えて家の中のことだけを行うことになります。
同時に内服の子宮収縮抑制剤(ウテメリンなど)を処方されることが多いですね。

外来レベルでの治療で症状が増悪する場合(子宮頚管長がさらに短縮したり、子宮口が開いてきた場合)は入院管理が必要となります。
入院管理の最大の利点は安静度をあげることができる、点滴による子宮収縮剤を投与することができる、ことです。
週数の早い時期に入院となると、入院期間が長期化することも多々あります。

CAMが原因で切迫早産症状が出ているときには抗生剤の投与が行われることもあります。

   ◇   ◇   ◇


切迫早産に関してはこの辺で。
次回は「子宮収縮抑制剤」のことを詳しくやります。

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「切迫早産」その1

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
さて、今回は「切迫早産」についてのお話しです。

   ◇   ◇   ◇

■切迫早産とは
妊娠22週から36週までの分娩を早産と定義されています。
早産の期間に子宮収縮や出血、子宮口の開大が認められると早産となる可能性が高くなります。
早産となる危険性が高くなっている状態を早産が切迫している切迫早産といいます。


■切迫早産の症状
子宮収縮や下腹部痛の自覚、性器出血、帯下の増量などが一般的な症状です。

しかし、子宮頸管無力症といって臨床的な自覚症状が全くないのに子宮頚管が開大してくる状態があります。
症状が出てきたときには、「時すでに遅し」となっていることもあり得るのが子宮頸管無力症の怖いところです。

子宮は筋肉であり、正常でも収縮を起こしています。
収縮があったとしても、ときどきで、不規則で、痛みがほとんどないような場合は問題とならないことが多いです。
しかし、自己判断は危険です。
正常範囲の子宮収縮かと思って様子をみていたら、通常の健診の際に検査をして即入院になった、なんてことはよくあります。
実際に子宮収縮をモニターする検査や超音波検査で異常値がでることもあるので「子宮が硬くなることが多いな」と感じたときはかかりつけに連絡をして一度診察を受けることが大切ですね。


■切迫早産の原因
前述した子宮頸管無力症の場合は、子宮頚部を閉じた状態に保てないということが原因となります。
子宮頸管無力症の原因として、体質的に子宮頚部が軟らかく開きやすいという方もいらっしゃいますが、度重なる人工妊娠中絶手術による子宮頚部の損傷などが原因となっている場合もあるようです。

切迫早産の原因は特定できないことが多いのですが、特定できる中では、絨毛膜羊膜炎(CAM)が頻度が多く重要です。
CAMは前期破水の原因でも出てきましたね。
前期破水は早産の重要な原因の一つです。
細菌感染などが原因となり膣内に炎症が起き、子宮頚管、卵膜、子宮筋へと炎症が広がってゆくと、破水となったり、子宮収縮が起きたりします。


そのほか前期破水と原因がダブりますが、羊水過多、多胎、子宮奇形、大きな子宮筋腫なども原因としてあげられます。

   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で。
次回は切迫早産の診断と治療などです。

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「過期妊娠」

皆さんこんにちは。
ご訪問ありがとうございます。

今回は「過期妊娠」について書いてみます。

過期産とは?
分娩予定日は出産時期の平均値のようなものでこの日に生まれる予定というわけではありませんね。
そのため、正期産としての時期は37週0日〜41週6日とある程度の幅が設定されているわけです。
分娩予定日から少し遅れたくらいでは問題となることはほとんどありません。

妊娠42週0日を超えた場合は「過期妊娠」といいますが、以前使用されていた「予定日超過」は最近では使用されなくなりました。
日本は過期産の頻度は全分娩2%ほどです。
海外に比較すると過期産となる率は非常に低いようです。
日本では比較的当たり前に行われている妊娠初期の週数補正は海外ではあまり行われていないことが原因のようです。
また日本では42週を超えないように、必要に応じて誘発分娩などの管理が多くの施設で行われているからだと思います。

なぜ陣痛が発来せずに過期産となるか、はっきりとした原因はわかっていません。

過期産はなにが問題となるのか?
妊娠期間が通常よりも長くなる過期産が問題となるのは以下のような理由です。
・過熟児
・巨大児
・胎盤機能不全
・羊水減少
・胎便吸引症候群(MAS)

過熟児とは未熟児の反対の言葉で、子宮内で成長しすぎて、正期産の新生児と比較して胎児仮死などを起こしやすいと言われてきました。
最近の新生児医療の進歩で予後はよくなっているようです。

週数にかかわらず、4000グラムを超えると巨大児といいますが、過期産では巨大児となりやすくなります。
巨大児は肩甲難産や分娩時外傷、母体の膣や外陰部の重症裂傷などの頻度が高くなります。

胎盤にもタイムリミットがあるようで、過期妊娠となると胎盤機能が低下してゆきます。
胎盤の機能が低下すると胎児へ酸素供給や栄養供給が低下し、胎児に対してストレスが増加します。

過期妊娠では羊水が著名に減少しています。
羊水量は胎児の尿産生や胎盤循環状態などでも大きく変動します。
過期妊娠の際に羊水量が減少するのは、胎児の発育に伴う、胎児胎盤循環血液量の相対的な減少が原因ではないかといわれています。
羊水は分娩時のクッションとしての働きもあり、羊水量が著名に減少すると分娩時に臍帯圧迫などにより胎児徐脈などを引き起こす可能性がでてきます。
そのような理由からも過期妊娠は帝王切開の頻度も上昇します。

通常、胎児は子宮内では排尿しますが、排便はしません。
胎児に何らかのストレスが加わると便を失禁してしまうことがあります。
羊水がたっぷりあり、少量の便の排泄であれば、胎児の便も薄まって問題となることは少ないです。
しかし、過期妊娠となり羊水がほとんどない状態で、胎児が便失禁をすると便は薄まらずにどろどろした状態で少ない羊水の中を浮遊することになります。

分娩後の第1呼吸の際に口の中にあった胎便を吸飲してしまうと肺が胎便まみれになり、重篤な呼吸障害をひきおこしてしまいます。
このことを胎便吸引症候群と呼んでいます。
過期妊娠ではこの病態が非常に起こりやすくなり、また重症化しやすいのが特徴です。

過期妊娠の管理は?
過期妊娠はいろいろなリスクが増加してきますが、どのように管理を行うかは国により違いがあるようです。
日本では一般的に42週を超えないように誘発分娩などが行われるのが一般的と思います。

経過観察を続ければいつかは出産になるという考え方もありますが、やはりリスクが増大してくるのであれば、妊婦さんや家族に対して十分な説明の後に、子宮収縮剤などの使用による分娩誘発も必要と思われます。

今回はこの辺で。

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