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皆さん、こんにちは♪ ご訪問ありがとうございます。 前期破水のつづきです。 ◇ ◇ ◇ ■自覚症状は? 羊水の流出量が多ければ、「じゃばっ」とお湯が漏れる感じがあるのでたいていの方が自覚します。 しかし、羊水の流出量が少なければ、「ちょろちょろ」と尿漏れする程度なので、自覚症状がはっきりしない場合も多いですね。 一般的には破水すると、液体が漏れてくる感じは一度限りではなく複数回感じるようになります。 破水の際の穴が小さかったり、高位破水といって子宮頚管から離れた高い位置で卵膜に穴が開くと、羊水の漏れ方がゆっくり、少量となります。 破水かと思って受診しても、正常範囲内のおりもの、尿漏れ、シャワーやお風呂のお湯などで、破水でないこともあります。 しかし、いったん破水するとその後の管理が重要となるので、液体の流出感があった場合は自己判断せず、かならずかかりつけに連絡を入れてください。 ■診断は? まずは視診が行われます。 明らかな破水の場合は膣鏡診で、子宮頚管から羊水が「じゃー」と流出する瞬間が観察されます。 はっきりとした液体の流出がない場合や判定が困難な場合は、膣内のpH測定します。 一般に膣内の乳酸桿菌などにより、膣内は酸性に保たれています。 羊水はアルカリ性の液体なので、膣内に羊水が存在するとアルカリ性の環境に変化します。 リトマス試験紙と同じような原理の専用の綿棒(エムニケーター等)で膣内の液体を採取し破水の有無を調べます。 黄色い先端が青色に変化すれば破水の可能性が高くなります。 この検査法の欠点として、出血などがあれば青くなることもあり、やや不正確な判断となるため注意が必要です。 さらに判断が難しく、より正確に判断するためには、膣内になく羊水中だけに存在する物質を検出する必要があります。 沢山の試薬(検査キット)があり、これらを使用することでかなりの精度で破水の診断をすることができます。 一般的には数分間検査で結果はでます。 ■合併症など 前期破水による母体側の合併症として子宮内感染、早産、常位胎盤早期剥離などがあげられます。 また胎児側の合併症としては羊水過少による臍帯圧迫、臍帯脱出や胎児ジストレスなどがあります。 最も重要な合併症は子宮内感染ですね。 卵膜というバリアーがなくなり、細菌が子宮頚管を経由して子宮内へはいり、最終的には胎児へ感染が及ぶことがあります。 前期破水により子宮収縮が発生し、薬剤等でも抑制がきかない場合は早産となることもあります。 早産の重要な原因の1つが前期破水でもあります。 子宮内の急激な羊水の減少、子宮収縮は子宮と胎盤の境界にズレを生じさせて、胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離を起こす可能性もあります。 胎児側の合併症としては、羊水のクッションとしての役目がなくなることによる弊害が大きいですね。 ■前期破水の管理は? 子宮内感染の程度を評価し、防止することはいつの週数でも重要となります。 そのため、血液検査、膣内の細菌培養検査、体温などのバイタルチェックなどを行い、感染がない場合でも予防的に抗生剤を投与することが多いですね。 子宮内感染が進行していると判断され、すぐに生まれる気配がない場合は緊急帝王切開術を行うこともあります。 また、前期破水の時期がいつか?により管理が違ってきます。 ・37週以後の前期破水 正期産の時期ですね。 一般的には破水して24時間以内に分娩開始となることが多いので、感染の有無や胎児の元気の良さを評価しながら待機することが多いです。 状況により子宮収縮剤を使用して分娩を誘発することもあります。 ・34週くらい〜37週未満の前期破水 まだ早産の時期ですが、出生しても肺を使って自分で呼吸することが何とかできるようになってくる時期でもあります。 一般的な管理でも胎児が自力で体外生活できる可能性が高く、37週以降の管理と似ていますね。 ・それ以前の前期破水 この時期の新生児はNICUなどで専門の管理を必要となりますので、できるだけ妊娠を継続して分娩に至らないように管理します。 何週まで妊娠を継続するのかはNICUのある施設の規模や能力、母体・胎児の状況により違いが出てきます。 早産の時の管理方針とダブりますが、状況が許す限り妊娠継続して、感染傾向が強くなってきた場合や胎児の状態が悪くなってきた場合は、娩出の方針となります。 ◇ ◇ ◇ 「破水かな?」と疑問に思ったときはまずかかりつけに連絡をするということがとても大切になりますね。 前期破水に関してはこの辺で。 次回から早産関係について予定しています。
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異常分娩
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皆さん、こんにちは♪ 最近は寒かったり、暖かかったりですね。 風邪などには十分注意してください。 さて、今回の話題は「破水」という現象が早めに起こってしまう「前期破水」についてです。 ◇ ◇ ◇ ■破水とは? 前期破水の前に「破水」のことについて説明します。 胎児は卵膜という袋の中に羊水とともに存在しています。 卵膜が破れて、羊水の流出ととも赤ちゃんが誕生します。 この状態を「破水」といいます。 普通は子宮頚管が全開するころに、自然に破水します。 (適時破水といいます。) ■前期破水とは? 羊水は以前のブログで書いたとおりとても大切な役目があります。 その羊水が流出する時期が早すぎるといろいろと問題が起こってきます。 分娩が開始する前(陣痛発来前)に破水することを前期破水(premature rupture of the membrane:PROM)といいます。 産婦人科医は「プロム」とよんでます。 プロムの中でも37週未満に破水してしまうものを特にpreterm PROMといいます。 正期産で破水する場合と早産の時期に破水するのでは管理面で違いが出てくるので区別をしています。 前期破水に似てる用語で早期破水というものもあります。 これは陣痛発来後から子宮口全開するまでに破水することです。 前期破水よりも管理が厳重ではないので分けて考えます。 ■原因は? 卵膜が物理的に破れる状況が原因となります。 膣を介しての感染(上行性感染)、多胎妊娠、羊水過多、外傷、羊水穿刺、性交渉などがあります。 この中でも特に頻度が高く、重要なのが感染によるものです。 (前期破水で外来受診された方に質問してみると、性交渉をされている方は時々いらっしゃいます) 上行性感染以外は物理的な圧力や針による卵膜の損傷なので、原因として分かり易いですね。 感染がなぜ破水の原因となるのでしょうか? 膣内に病原性を持つ細菌などが繁殖すると、膣炎→子宮頚管炎へと炎症が広がってゆきます。 子宮頚管には卵膜が接しており、そこまで炎症が進むと絨毛膜羊膜炎(CAM)と呼ばれる状態となります。 CAMとなると卵膜が弱く脆くなり、子宮収縮を引き起こす物質が放出され結果として卵膜が破れ、「破水」となります。 ◇ ◇ ◇ 今回はこの辺で。
次回は診断や合併症などです。 |
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皆さん、こんにちは。 逆子に関しては今回が最後です。 ◇ ◇ ◇ ■骨盤位を治せるの? 骨盤位は妊娠30週以降、ほとんどが自然に頭位になります。 しかし、このころまでに改善していないときは胎位矯正が行われることが多いです。 自己回転促進法として膝胸位というものがあります。 いわゆる「さかご体操」と呼ばれるものです。 四つんばいになり胸を床に付けるように下げて、おしりの位置はそのままで15分くらいキープします。 そうすると骨盤にはまり込んでいた児の臀部が骨盤から遊離して、胎児が動きやすくなります。 その後、胎児の背中が母体の左側にあれば、母体は右を下にして横向きに寝っ転がります。 胎児の背中が逆に右側にあれば、逆に寝っ転がります。 そうすることで胎児が向きを変えてくれるのを期待するという方法です。 そのほかに、腹壁の外から積極的にさかごを矯正する方法として、外回転術というものがあります。 産科医などが手を使い母体の腹壁を押しながら外的に胎児の向きを変えてしまう方法です。 うまくいくと簡単に改善できますが、外的に力を加える方法なので子宮収縮を引き起こしたり、胎盤が剥がれてしまう常位胎盤早期剥離を引き起こす可能性があり、外回転術自体に反対する意見も多いですね。 もし外回転術を行うのであれば、緊急帝切を行える状況下で行うべきですね。 ■骨盤位の分娩方法は? 現状では、初産の骨盤位はほとんどの施設で帝王切開術を選択されています。 産科領域における訴訟問題も影響していますね。 経産婦では施設によっては経膣分娩を積極的に行っているところもあります。 骨盤位の経膣分娩は異常分娩にはいりますので、リスクが高くなります。 そのため、経膣分娩が可能かどうかを十分に検討する必要があります。 経膣分娩を検討する条件として ・母体および家族が経膣分娩を強く希望していること ・殿位であること ・X線骨盤計測で異常がないこと ・分娩が順調に進行していること ・推定体重で巨大児でないこと ・緊急時に迅速な対応をとれること などが必要となります。 逆に最初から帝王切開術を考慮した方が良い場合として、高齢初産、前回帝切、微弱陣痛、難産の既往、肥満妊婦、臍帯下垂、臍帯脱出、軟産道強靱、前期破水、患者の強い帝切希望などがあります。 ◇ ◇ ◇ 今回はこの辺で。
これからは「前期破水」、「切迫早産」、「早産」・・・などを予定しています。 |
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「骨盤位(さかご)の分娩」その2 皆さん、こんにちは。 前回からの続きで逆子についてやります。 さかごの分娩がなぜハイリスクとなるのかの説明などです。 ◇ ◇ ◇ ■骨盤位はどの位の頻度? 正期産のだいたい5%くらいと言われています。 大半が殿位で、足位、膝位の順に少なくなります。 ■骨盤位の原因は? 母体側に原因がある場合として、子宮筋腫合併妊娠、子宮奇形(双角子宮など)、前置胎盤などがあります。 これらはすべて子宮内の体積が減少する状態があり、児の自由な動きが妨げられることが原因と考えられます。 つまり、子宮内に十分なスペースがなく、骨盤位から頭位への自然な胎位変換が行われないわけですね。 胎児側の原因としては頭部が大きくなる水頭症、多胎妊娠などがあげられます。 しかし、はっきりとした原因がなく、最後まで骨盤位が直らないという場合がもっとも多いですね。 ■骨盤位の分娩前の問題点 妊娠後期に入り児頭が子宮頚部を圧迫して、軟化させ、押し広げる働きがないため、陣痛がなかなか発来しなかったり、陣痛が発来しても強くならない、微弱陣痛となったりすることがあります。 膝や足などの硬くて細い部分が先進していると、卵膜を突き破り前期破水が起きるかもしれません。 骨盤位で前期破水(子宮口が十分に開く前に卵膜が破れて羊水が子宮頚管を経由して外部に漏れ出ること)が発生すると臍帯下垂や臍帯脱出という非常に危険な状況となる可能性が高くなります。 頭位の場合、前期破水で羊水が漏れ始めても児頭という「栓」があるために羊水の流出や臍帯の滑り出しが抑制される傾向があります。 骨盤位の場合は小さな臀部やさらに小さな膝や足が先進しているので、破水した際は子宮頚部付近の隙間が多く、羊水が急速に流出し、それとともに臍帯が膣内や体外へ滑り出しやすくなります。 胎児の酸素供給にとても重要な臍帯が脱出して圧迫されると、数分で胎児死亡となることもあるんです。 妊娠後期の骨盤位の妊婦さんは破水は迅速な対応が必要となります。 破水かなと思ったらできるだけ早くかかりつけに連絡をしてください。 ■骨盤位経膣分娩の問題点 巨大児でなければ、胎児のもっとも大きな部分は頭部です。 普通の分娩ではもっとも大きな児頭がじわじわと子宮頚管や膣壁を押し広げて誕生します。 もっとも大きな児頭が先進することで児頭が陰裂から出ればその胴体、上下肢は児頭よりも小さいので、「するっ」とでてくるものです。 一番大きな抵抗のある頭部が母体の外に出てますからね。 (円錐状のものを抵抗のある穴から押し出すという仮定で、円錐の底面からでてくることを想像してみてください) 骨盤位では児頭よりも、胴体よりも小さな臀部などから誕生します。 臀部が陰裂から突出した後もさらに大きな胴体、引き続きもっと大きな児頭がでてくることになります。 通常の逆ですね。 経産婦さんの膣壁の伸展性は、初産婦のそれに比較すると良い場合が多いので、経産婦さんの場合は骨盤位でも「するっ」と出てくることが多いです。 しかし、初産婦さんの場合は膣壁の抵抗が強いので、分娩自体がゆっくり進みます。 おしりだけ出て児頭がなかなか出てこなくなると、臍帯の圧迫、頭部の圧迫などで胎児へ十分な酸素が供給されなくなる可能性が高くなります。 (先ほどの円錐のたとえでとがった方からでてくることを想像してみてください) 分娩の途中で胎児が膣壁の中でひっかかり押しても引いても出てこなくなることも起こりえます。 また、胎児の分娩時外傷(頭蓋内出血、鎖骨や上腕骨の骨折、上腕神経麻痺、腹腔内臓器損傷など)の頻度も高くなります。 ◇ ◇ ◇ 今回はこの辺で。
次回、骨盤位最後です。 |
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皆さん、こんにちは。 いつもご訪問ありがとうございます。 さて、今回の話題は「骨盤位(さかご)分娩」についてです。 まずは分類などから・・・。 ◇ ◇ ◇ ■骨盤位(さかご)とは? 「胎位」という言葉がありますが、これは子宮内での胎児の向きを表現するものです。(この辺は図があると一発なんですが) 簡単に言うと胎児の頭が下か、頭が上か、頭が横かなどを表します。 「胎位」には、「縦位」と「横位」と「斜位」というのがまずあります。 子宮はやや縦長の臓器ですが、その縦軸とほぼ同じ軸に胎児が存在するとき「縦位」といいます。 それに対して、胎児が母体の軸と直行すると「横位」となります。 その中間が「斜位」ですね。 赤ちゃんが横になって生まれてくる(手などが先にでてくる)ことはできないので斜位や横位の場合の分娩は帝王切開術となります。 胎児は子宮頚管を通過して生まれますが、ここに一番近い胎児部分を先進部といいます。 一般的な分娩では、赤ちゃんは頭から出てきます(正確に言うと後頭部ですが)。 先進部が頭なら、縦位という分類の中の頭位となります。 頭位以外の体位は全て異常となります。 そこで普通の分娩は頭位経膣分娩と表現されます。 骨盤位は先進部が骨盤方向(お尻から下)である場合をいいます。 骨盤位は縦位ですが、異常な胎位の範疇に入ります。 お尻や足から生まれてくるので、一般には逆子(さかご)といわれますね。 ■骨盤位にも種類がある 先進部がどこであるかで骨盤位はさらに分類されます。 1.単殿位 胎児のお尻(臀部)だけが先進している場合で、もっとも頻度が高いです。 子宮の中で「前屈」をしています。 胎児の足先は胎児の顔のあたりに位置しています。 内診すると胎児のかわいいお尻が触れます。(やや安心) 2.複殿位 胎児のかかとが両方(全複殿位)、もしくは一方(不全複殿位)が臀部とともに先進しています。 子宮内で「体操座り」をしています。 内診するとお尻とともに胎児の硬いかかとが触れます。(少し怖い) 3.膝位 胎児の膝が先進しています。 子宮の中で「正座」しています。 内診するときっと硬い膝がふれるでしょう。(実際に触れた経験はないです。かなり怖い。) 4.足位 胎児の足が先進しています。 複殿位の位置がずれて胎児の臀部よりも足の方が先に出てきている状態です。 内診で足の指などが触れます。 (とても怖い状態です・・・。一緒にへその緒など触れると真っ青になります。) 骨盤位のほとんどはこの中で臀部が先進する殿位(1と2)です。 殿位だと経膣分娩をチャレンジすることが可能です。 しかし、殿位以外の骨盤位(3や4)は経膣分娩は非常に危険で、ほとんどが即、帝王切開術となります。 ◇ ◇ ◇ 今回はこの辺で。
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