産婦人科の基礎知識

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月経異常

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皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
今回は月経の期間や量が多くなる「過多月経、過長月経」について。


   ◇   ◇   ◇


「生理が多くて」と、産婦人科を受診される方は多いですね。
10代〜20代前半と30代後半から40代では過多月経の理由も違ってきます。
30代を超えてくると、子宮筋腫や子宮腺筋症などの器質的疾患が原因である場合が多くなります。
一方若年者では大きな子宮筋腫などは珍しいので(ないわけではありません)、機能的な過多月経である可能性が高くなります。

月経量が150ml以上を過多月経と定義されますが、測定してくる人はもちろんいませんね(^_^)。
一般には「大きな血の固まりがでる」とか、「ナプキンを使う頻度が増えた」といった感じです。
そのようなエピソードと貧血の症状などがあれば臨床的には過多月経と診断されます。
貧血を起こす他の疾患はきちんと除外する必要があります。
(胃炎や胃ガン、大腸ポリープなどの消化管出血を起こす病気など)

過多月経に限らず、何らかの出血が理由で受診した場合、まず子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、子宮体癌などの器質的な疾患がないかどうかを検査します。
器質的な疾患による過多月経であればそれぞれに対する根本治療が行われます。
(このあたりは今後ブログに書く予定です。)

器質的な疾患が除外されれば機能的な過多月経となります。
その多くは排卵障害による過多月経ですので排卵周期の確立が治療方針となります。
この辺は続発性無月経の治療とだぶってきます。

クロミッドによる排卵誘発、カウフマン療法などがメインとなってきますが、避妊の希望もあれば低用量ピルを使用する方法もあります。
低用量ピルによる人工的な月経は、出血量が減り月経困難症も改善される傾向がありますね。


   ◇   ◇   ◇


今回はこの辺で。

「続発性無月経」その2

みなさん、こんにちは。
ご訪問いただきありがとうございます。
今回は続発性無月経の診断と治療です。


   ◇   ◇   ◇


■続発性無月経の診断
原発性無月経の診断と同じで系統立った診断を行う必要があります。

1.問診
診断のスタートはやはり問診となります。
年齢、これまでの月経歴、妊娠や分娩歴、現時点での妊娠の可能性、既往歴、手術歴、他科疾患や内服薬の有無などが特に重要です。
向精神薬で無月経となることもありますからね。
また生活や習慣、環境の急激な変化によるストレスの有無や体重の増減の程度なども確認します。
急激な体重減少も一時的な無月経を引き起こします。


2.診察
身長、体重、多毛の有無、乳汁分泌の有無、甲状腺腫大の有無などの全身の診察も重要です。
多毛からアンドロゲンの過剰分泌が予想されることもあります。
当然、産婦人科的な内診や経膣超音波検査などで子宮や卵巣の大きさや腫瘤の有無をチェックします。


3.内分泌学的検査
血中ホルモンの測定などが含まれます。
LH、FSH、プロラクチン、エストロゲン、プロゲステロンをはじめとして甲状腺ホルモン、男性ホルモンなどをチェックします。
同時にP-testやEP-testで第1度無月経、第2度無月経、子宮性無月経の鑑別を行います。
診断のためにホルモン負荷試験というものが行われることもあります。


4.その他の画像診断
高プロラクチン血症があり下垂体腫瘍などが疑われるときはMRIなどの画像診断も行われます。



■続発性無月経の治療
続発性無月経の診断に当たってはかならず妊娠の除外を行っておく必要があります。
自分ではちゃんと避妊をしていたつもりでも、妊娠している方を私たちの日常診療ではよくよく見かけます。
無月経で初診された方には、いきなりホルモン剤治療を行うのではなく、近い時期に性交渉があった場合はまず妊娠反応を行います。
その後基礎体温の測定を行い、必要があれば2週間後に再度妊娠反応を行います。
しつこいくらい、妊娠でないかどうかを確認しています。
妊娠であれば対応が全く違ってきますので・・・。

高プロラクチン血症があれば、それに対した治療がまず行われます。
プロラクチン値が正常化すると排卵、月経が再開することがあるからです。
超音波検査などで多嚢胞性卵巣症候群の診断であればそれに準じた治療となります。

第1度無月経は内因性のエストロゲンが分泌されているので、クロミッドが比較的よく効きます。
ただし、18歳以下の若年者もしくは挙児希望がない場合は理論的にはホルムストローム療法が行われますが、若年者の場合は卵巣機能がまだ発達段階であることも多いためカウフマン療法も選択されます。
カウフマン療法やホルムストローム療法を3〜6ヶ月続けて、十分にホルモンの補充を行います。
その後内服をいったん中止しリバウンド現象を利用して、自然排卵を期待します。

ホルモンを補充し、定期的な月経周期の確立が目的であればカウフマン療法で十分なんです。
しかし、18歳以上の場合、もしくは挙児希望が強い場合はクロミッドによる積極的な排卵誘発になります。

処方例:
クロミッド(50mg)一回一錠、一日一回食後に内服 月経周期5日目から5日間
    これで排卵が起きないときは倍量まで増量します。

無月経期間が半年から1年以上になると、クロミッドやエストロゲン、プロゲステロン製剤でなかなか効かないときもあります。
反応性が低下しているために、最初は排卵や出血が見られなくても数ヶ月は続けてみる必要があります。
だんだんと薬剤に反応してくることもよくあります。
クロミッドを半年間ほど使用しても排卵せず、挙児希望があるときはさらに強力な排卵誘発剤であるhMG-hCG療法を行います。


第2度無月経に対してはカウフマン療法を3〜6ヶ月行います。
治療後に自然排卵がなくても、第1度無月経となっている場合もあります。
第2度無月経から第1度無月経に移行した後は、ホルムストローム療法やクロミッドによる治療を選択することもあります。

カウフマン療法を行ってもなかなか排卵周期がもどってこない難治性無月経も存在します。
挙児希望がなければ2〜3ヶ月に一回の消退出血だけをおこしつつ経過を観察します。
これは長期間無月経の状態をさけるためですね。


   ◇   ◇   ◇


続発性無月経の治療は患者さんの背景や挙児希望の有無によって変わってくるので主治医との十分な話し合いが必要となりますね。
今回はこの辺で。

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「続発性無月経」その1

皆さん、こんにちは♪
ご訪問ありがとうございます。

今日は暖かく天気も良いのですね。子供と公園でも行きたいところですが、当直です・・・。
お産待ちの間にこのブログを書いてます。

さて、今回の話題です。
一般的な無月経といえば、続発性無月経です。
今回は不妊症とも関連の深いお話となります。


   ◇   ◇   ◇


■続発性無月経の分類や原因?
続発性無月経はこれまであった月経が3ヶ月以上停止した場合をいいます。
一般的な無月経はこの続発性無月経になります。
以前お話ししましたが、続発性無月経はその程度により第1度無月経と第2度無月経に分けることが出来ます。
(「カウフマン療法」のブログに書いてます)

復習になりますが、排卵という現象があり、月経という現象が存在します。
排卵するのは卵巣ですが、卵巣から排卵させるために命令を出しているのが脳下垂体という部分です。
脳下垂体へ指令を出すのが視床下部でしたね。

視床下部に始まる排卵の命令系統の中でどこかに異常があるとその下へ命令が伝わらなくなります。
結果的に無排卵、無月経などの月経異常という症状で目に見えてきます。
続発性無月経はその原因によって分けることもできます。
無月経と無排卵は無縁ではないので、続発性無月経の原因は排卵障害性の不妊症の原因ともいえます。


1.視床下部性無月経
命令系統のスタート地点ですね。
向精神薬などの副作用で無月経となる場合は、薬剤性の視床下部性無月経であることが多いですね。
ストレスなどによる心因性の無月経や摂食障害や急激な体重減少性無月経もここに含まれます。

原因がはっきりしない場合の無月経は視床下部性無月経であることが多いです。
診断的治療(治療薬に反応すればそれが診断の根拠となること)としてクロミフェン療法があります。
クロミッドという排卵誘発剤を内服して、排卵が確認されれば視床下部性無月経ということになります。


2.下垂体性無月経
下垂体からはLHやFSHといった卵巣を刺激するホルモンが分泌されています。
下垂体腫瘍による高プロラクチン血症は狭義の下垂体性無月経といえます。

分娩中や産後に輸血が必要となるくらいの大出血があると脳下垂体の血流が悪くなります。
そうなると、脳下垂体の機能が低下して結果的に無月経となることがあります。
出血による脳下垂体機能低下はSheehan症候群(シーハン症候群)とよばれます。


3.卵巣性無月経
卵巣に原因があり無排卵、無月経となる頻度は少ないです。
原発性無月経の原因であるTurner症候群も卵巣性無月経といえます。
そのほかとしては外科的な治療(卵巣腫瘍など)、抗ガン剤による治療などのあとに発生する無月経もあります。


4.多嚢胞性卵巣症候群
卵巣に沢山の卵胞が発育するのですが、排卵障害、無月経となる疾患です。
頻度も高く、不妊症の重要な原因にもなっていますね。


5.子宮性無月経
子宮内の何らかの炎症により子宮内が癒着してしまっている状態に子宮性無月経となります。
(頻回の人工妊娠中絶手術などで発生することがあります)
Asherman症候群(アッシャーマン症候群)や子宮内膜炎などです。


6.そのほか
異所性ホルモン産生腫瘍などによる無月経などが含まれます。


   ◇   ◇   ◇


今回は、この辺で。
次回は診断と治療です。

「原発性無月経」その2

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
原発性無月経のつづきです。


   ◇   ◇   ◇


■原発性無月経の原因

副腎性器症候群
腎臓の横でホルモンを作り出す副腎という大切な臓器があります。
副腎でアンドロゲンをはじめとするステロイドホルモンが合成されています。
合成に関わる酵素の異常でアンドロゲンが過剰に産生され女性の男性化がおこります。
このような疾患群を副腎性器症候群といいます。
その代表的な疾患は先天性副腎皮質過形成です。
染色体上は46XXで女性なんですが、アンドロゲンの作用で外性器が男性化しているので出生直後に発見されることがおおいです。
男性化といっても男性のようにペニスがあり陰嚢があるわけではなく、陰核肥大といって陰核がペニスのように大きくなっています。
排卵障害があり無月経となります。


見せかけの無月経
子宮や卵巣などは全く正常で月経現象もちゃんとあるにもかかわらず、出口がなくて無月経となる場合です。
外性器の形成異常で処女膜閉鎖症、膣閉鎖、膣欠損、膣中隔症(膣横中隔)などがあります。
初経後に月経血の排泄障害をおこし、周期的な腹痛を発症します。
これを月経モリミナといいます。
長期間放置されると月経血が子宮や膣に大量に貯留し、それらを過伸展・変形させ、後に不妊症の原因となります。



■原発性無月経の診断は?
系統だった診断を行う必要があります。
まず基本となるのは問診と全身の診察です。
家族歴(姉妹で同じような症状はないかなど)、既往歴(小児期の手術歴など)の確認は大切です。

基礎体温の測定と各種ホルモンの検査を行います。(LH、FSH、エストロゲン、プロゲステロン、プロラクチン、テストステロンなど)
全身の診察では2次性徴出現や特徴的な体型のチェックなどはTurner症候群では特に重要です。

次に外性器のチェックを行います。
性交経験がなく、産婦人科受診が初めてという場合も多いので初診時には内診は行わないこともあります。
ゆっくりと話をして診察の重要性などをよく説明してから行われるべきですね。

外性器の診察で男性型であれば副腎性器症候群が疑われます。

外性器が女性型でも膣が存在しないと処女膜閉鎖、膣欠損、膣閉鎖などが原因として考えられます。

外性器が女性型で膣もある場合は染色体検査も考慮します。
染色体検査が45XOであれば、Turner症候群となります。
一見女性でも染色体検査が46XYなら、精巣性女性化症候群や性腺形成不全などが考えられます。

染色体検査が46XXの正常であれば、続発性無月経の診断に準じて原因検索を行います。



■原発性無月経の治療は?
原因が判明すればそれぞれに準じた治療となります。

膣閉鎖などは外科的な手術を検討します。

性腺形成不全や精巣性女性化症候群などは3割くらいの頻度で性腺の悪性腫瘍が発生すると言われていますので、外科的に早期に切除が行われることが多いです。
精巣性女性化症候群では染色体検査は46XYで男性です。
しかし、完全型では外性器をふくめ外見は女性なので、精巣を摘出してそれまで通り女性として育てられ生きてゆくことになります。
精巣摘出後はホルモン補充の目的でカウフマン療法が長期間行われます。

Turner症候群でも少数では自然排卵や月経を認めることもありますが、一般に無月経でありホルモン補充目的でカウフマン療法が行われます。

これらの明らかな原因がない原発性無月経の場合はエストロゲンテストやプロゲステロンテストを行い無月経の程度を確認します。
挙児希望がなければ一般的にはカウフマン療法が行われ、挙児希望がある場合は積極的にクロミッドなどの排卵誘発剤が使用されます。


   ◇   ◇   ◇


今回はこの辺で。
次回は「続発性無月経」についてです。

「原発性無月経」その1

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
無月経のうちでも初経の経験のない「原発性無月経」についてのお話しです。


   ◇   ◇   ◇


■原発性無月経とは
原発性無月経は満18歳になっても初経が起こらない場合でしたね。
日本人の平均初経年齢はだいたい12歳です。
14歳までに98%が初経を経験すると言われています。
定義上は18歳となっていますが、だいたい15歳くらいになって初経がないと、母親と一緒に産婦人科を訪れ何らかの診察を受ける方がほとんどかと思います。



■原因は?
元々月経があって、何らかの理由で無月経となる続発性無月経の原因も原発性無月経の原因に含まれます(高プロラクチン血症など)。
しかし、原発性無月経の原因で特徴的なのは染色体異常や性分化異常などが含まれることです。
原発性無月経の原因は非常に沢山ありますので一部を紹介します。
(一般に女性は46XX、男性は46XYと表現されます)


Turner症候群(ターナー症候群)
45XO、つまりX染色体が1本少ないタイプの染色体異常です。
女性の2500人に一人の発生頻度といわれます。
低身長となるので、小児期に発見されることも多いですが無月経で初めて診断されることもあります。
何らかの治療が行われないと平均身長で20センチ以上の差が出ると言われています。
性腺(卵巣)の発育不良により生後数ヶ月から数年後に卵巣機能が停止します。
初経前に卵巣機能が停止すると原発性無月経となり、ある程度年齢がいってから卵巣機能が停止すると早発閉経となります。


精巣性女性化症候群
アンドロゲン(男性ホルモン)レセプター異常による一種のアンドロゲン不応症です。
レセプターというものは細胞の表面にあるホルモンの受け皿のような構造です。
このレセプターにホルモンがぴたっとくっつくことで様々な仕組みが動き始めます(ホルモンが作用する)。

精巣性女性化症候群では染色体上は46XYで男性型で、ちゃんと精巣からテストステロンというホルモンが分泌されています。
ところが、体の中のアンドロゲンレセプターに異常があるので、男性ホルモンがうまく作用しません。
その結果、生殖器が男性型へ発達することが出来なくなります。
つまり外見上は女性ですが、もともとは男性で子宮が存在しないので無月経となります。
知らないとびっくりされる方も多いですが、外性器などはアンドロゲンの作用がないとすべて女性型になるんです。
女性として育てられ思春期になる頃に元々は男性であるということが診断されるのでその後の精神的なサポートも重要です。


   ◇   ◇   ◇


難しい話になってきたので、今回はこの辺で。
原発性無月経はもう少し続きます。

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