産婦人科の基礎知識

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子宮体癌

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「子宮体癌」その5

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
今回は若い方の子宮体癌のことについてお話しします。


   ◇   ◇   ◇


若年性子宮体癌とは
40歳未満の子宮体癌を若年性子宮体癌といいます。
以前お話ししましたが、子宮体癌はそのほとんどが閉経周辺から閉経後の発症します。
若年性子宮体癌は子宮体癌全体の5%くらいで多くはありません。
しかし、昨今の晩婚化や不妊症の増加、生活の欧米化により子宮体癌でも子宮を温存する必要がある方が増えると予想されています。


子宮温存治療の適応
子宮体癌の基本治療は子宮全摘術を中心とした手術療法です。
いくら若年性子宮体癌といえども進行した子宮体癌は子宮機能を温存することは不可能となります。
以下のような場合は子宮温存治療が考慮されます。
・子宮内膜に限局するIa期で、高分化型類内膜腺癌
・子宮体癌0期に相当する複雑型子宮内膜増殖症
・強い挙児希望がある未産婦
・黄体ホルモン投与が可能な状態ある

高分化型とは癌がより正常に近いタイプで悪性の度合いが低いものです。
また、類内膜腺癌とはもっとも一般的な組織型の子宮体癌のことです。

超音波検査、MRI検査、CT検査などで子宮の筋層に浸潤を疑う場合は子宮を温存することが難しくなります。
子宮体癌の治療の原則はやはり手術であり、子宮体癌で子宮を温存する治療は、上記条件が当てはまるときだけ行われるやや特殊な治療といえます。


子宮体癌の子宮温存治療
黄体ホルモンが子宮体癌細胞の増殖を抑制する効果があると言われています。
日本で使われている合成黄体ホルモン剤はヒスロンHもしくはプロベラという薬剤です。
連日内服を数ヶ月間続けます。
ホルモン療法の効果が見られても、数年間は継続した厳重な外来管理は必要となります。

これらの薬剤の重篤な副作用は血栓症で、血栓予防にアスピリンなどの投与も同時に行われることもあります。


   ◇   ◇   ◇


今回はこの辺で。

「子宮体癌」その4

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
今回は子宮体癌の治療についてです。
閉経前後の発症が多いのでまずスタンダードな治療に関して書きます。
子宮温存することもある、若年者の子宮体癌のことは後日書きます。


   ◇   ◇   ◇


子宮体癌の治療ー手術療法
子宮体癌治療の第一選択は手術療法となります。

子宮全摘術+両側付属器切除術+骨盤や後腹膜リンパ節の郭清もしくは生検+腹水細胞診検査が標準的な術式になります。

子宮全摘術の方法はいくつかありますが、より進行していると考えられるときは通常の単純子宮全摘術よりも大きく周辺の組織も含めて子宮全摘術が行われます(これを広汎子宮全摘術といいます)。

両側付属器切除術は子宮の付属器である卵管、卵巣を切除する術式です。
両方の卵巣を切除するので、閉経前の場合は術後に女性ホルモンの欠落症状が出現します。

リンパ節郭清は子宮周囲の関所であるリンパ節を切除することです。
リンパ節は関所のような役目があり癌が早期に転移しやすい場所なので、一般的な癌の手術の時は同時に行われます。

肉眼的に子宮以外に癌病変がなくても、腹水の中に癌細胞があれば、癌細胞が子宮外にも存在することを意味します。
腹水細胞診が陽性(癌細胞が存在すること)だと子宮体癌IIIa期になります。
子宮体癌の広がりを評価する重要な検査です。



子宮体癌の治療ー放射線療法
手術を行うことができない場合は放射線療法を行います。
以下のようなときです。

・手術が不可能と考えられるほど進行した末期癌
・手術不可能な重篤な合併症がある
・肥満があり手術が困難
・高齢者で手術に耐えられない
・手術を拒否した場合

骨盤全体に放射線照射を行います。
照射期間は1ヶ月くらいになるので入院して施行することも多いです。

手術後、摘出標本の病理学的検査結果が以下のような場合は追加治療として、術後放射線療法を行います。
・より悪性度の高い子宮体癌(低分化型など)
・子宮筋肉への浸潤がひどい
・子宮頚部浸潤がある
・リンパ節転移がある
・子宮外への浸潤がある

これらの状況は、子宮体癌II期以上に相当します。


   ◇   ◇   ◇


今回はこの辺で。
次回は若年者の子宮体癌です。

「子宮体癌」その3

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。

これまで、子宮体癌について診断方法などを解説してきました。
今回は子宮体癌の広がりを表現する進行期分類についてです。


   ◇   ◇   ◇


子宮体癌の進行期分類は術後に
子宮体癌の広がりを評価する方法に進行期分類というものがあります。
子宮頚癌は治療前に進行期分類を決定します。
一方、子宮体癌は卵巣癌と同じで手術療法が第一選択の治療となりますので、手術結果によりその広がりを決定しています。
そのため、子宮体癌で一般的に用いられる進行期分類は「術後進行期分類」と呼ばれます。

最初に治療として手術が行われない場合は(放射線治療や抗ガン剤治療が行われたとき)は従来通りの別の進行期分類を使用します。


子宮体癌の術後進行期分類
術後進行期分類は摘出した子宮や卵巣、リンパ節、腹水などから広がりや筋層浸潤の程度などを病理学的に検索して決定されます。

・0期
子宮内膜異型増殖症といって癌の一歩手前の状態です。
前癌状態と呼ばれています。
子宮内膜だけに病変が存在しますが、癌ほど悪性度が高くありません。

・I期
子宮体部に癌が限局している状態で、いわゆる初期癌の状態ですね。
子宮内膜から発生した癌が子宮筋層に浸潤している程度でさらに、Ia期、Ib期、Ic期と三つに細分類されます。
子宮体癌は出血という症状がでやすいので、多くはこのI期で発見されています。
(出血症状があっても患者さんが受診しないと発見されませんが・・・)

・II期
子宮体癌が浸潤して子宮頚部まで広がった状態です。
子宮頚部に浸潤している深さでさらに二つに細分類されます。

・III期
癌が子宮外に広がっている状態です。
周囲のリンパ節に転移がある場合も含まれます。
やはり浸潤の程度でさらに三つに細分類されます。

・IV期
癌が子宮外に広がり、さらに膀胱や腸の内部まで浸潤した状態です。
骨盤から外に広がる(遠隔転移)場合も含まれます。
遠隔転移の有無で二つに細分類されます。


子宮体癌の5年生存率
施設によりデータは違いますが、だいたい以下のような数値になります。
I期〜II期 90%〜100%
III期 70%くらい
IV期 10〜20%くらい

   ◇   ◇   ◇


今回は分類なので単調な内容になりました。
次回は治療について。

「子宮体癌」その2

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。

子宮体癌の続きです。


   ◇   ◇   ◇


子宮体癌の症状
子宮体癌は「不正性器出血」という症状を発症しやすい特徴があります。
ある程度進行しないと出血という症状が出にくい子宮頚癌とは違う点ですね。
閉経後の不正性器出血患者の5〜10%は子宮体癌とも言われ、出血という症状はとても重要なんです。
もちろん、閉経前でもこのような症状には十分な注意と検査は大切です。
子宮体癌も進行して周辺に癌細胞が浸潤してゆくと様々な症状を呈するようになります。
(腹水、血尿、血便など・・・)


子宮体癌の診断
子宮体癌の診断は子宮内膜を採取して病理学的に診断する必要があります。
診断のための子宮内膜採取(内膜掻爬)は痛みを伴うので、スクリーニング的に全例に行うことは現実的ではありません。
不正性器出血があり、子宮体癌の疑いがあれば、子宮頚癌のように細胞診も行われます。
しかし、子宮体癌の診断は細胞診だけでは見落とされる可能性もあるので、細胞診で異常がなしでも不正性器出血が続いたり、経膣超音波検査で子宮内膜の肥厚や腫瘤が認められるときは積極的に内膜掻爬を行う必要があります。

※内膜掻爬とは専用器具で子宮内膜の組織を削り取ってくることです。
専用の器具は金属でできた耳かきのような形です。

子宮内腔はある程度の広さを持った空間です。
癌が発生するときに子宮内腔の子宮内膜全面から一気に癌が発生するのではありません。
最初はごく一部から癌が発生しそれが広がっていくのが一般的です。
また子宮頚癌の組織採取の時のように悪そうな部分を選んで採取することができないので、代表となる4カ所くらいを引っ掻いてきます。(4方向内膜掻爬)

4方向内膜掻爬で癌という病理学的診断が得られないけれども、やはり癌の疑いが強い場合は「子宮内膜全面掻爬」といって麻酔をかけて子宮内膜を全面削り取ることも行われます。
これは、人工妊娠中絶術や流産手術とほぼ同じような手技になります。

病理診断で子宮体癌となれば、CT、MRI、腫瘍マーカー、X線検査などで癌の広がりを検査します。
癌の診断が下され、その広がりを検索することはいろいろな癌でも共通なアプローチです。


   ◇   ◇   ◇


今回はこのへんで。 

「子宮体癌」その1

皆さん、こんにちは♪
今日もご訪問ありがとうございます。
実業が忙しくて更新が遅れていました。
今回から子宮体癌について解説してゆきます。


   ◇   ◇   ◇


子宮体癌とは
子宮体癌は子宮内膜から発生する上皮性悪性腫瘍です。
日本において、20年くらい前は子宮癌といえば、ほとんどが子宮頚癌でした。
しかし、生活様式の欧米化で子宮体癌は増加傾向にあります。
20年前は子宮癌における子宮体癌の割合は15%ほどでしたが、最近は45%ほどになりました。

子宮体癌の患者の80%は閉経が近い年齢か、閉経後に発症し、40歳未満の発症は珍しいです。
子宮頚癌が比較的若年者に多いのとは対照的な結果です。

子宮頚癌はヒトパピローマウイルスが原因でしたが、子宮体癌は長期間エストロゲンだけが存在する環境が原因と考えられています。
エストロゲンとは無関係に発生する子宮体癌(エストロゲン非依存性子宮体癌)も存在します。


子宮体癌のハイリスク因子
ハイリスク因子が当てはまる場合は、子宮体癌の発生を想定した診療を行うことで早期発見、早期治療につながります。
これらの因子があると「必ず」子宮体癌になるというものではないので誤解しないでください。


☆主なリスク因子☆
・高齢
・長期間にわたるエストロゲンのみの関与
・閉経後のエストロゲンが高値
・肥満や糖尿病
・未産(特に不妊症)
・晩期閉経
・乳癌の既往
・タモキシフェンの長期投与
・家族歴あり


原因の項目でも書きましたが、基本的に高エストロゲンとなる環境が重要です。
肥満や糖尿病、高血圧、運動不足はリスク因子となります。
肥満の場合は末梢の脂肪組織でアンドロゲンから転換されるエストロゲンが多いためと言われています。

同じような理由でPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)による月経不順やエストロゲン産生腫瘍などもリスク因子となります。


   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で。

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