産婦人科の基礎知識

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卵巣癌

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皆さん、こんにちは。
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今回は卵巣癌の5年生存率について。

   ◇   ◇   ◇

卵巣癌の5年生存率
卵巣癌は子宮頚癌や子宮体癌よりも予後が悪いという特徴があります。
それぞれの進行期の患者さんの何%が5年後に生存しているかを表現するのが5年生存率です。
データの出所により以下の数値は若干違ってきます。

卵巣癌I期 約80%
卵巣癌II期 約60%
卵巣癌III期 約30%
卵巣癌IV期 約10〜15%

卵巣癌III期以上がとくに予後が悪いですね。
なかなか早期発見ができないのが原因と考えられます。
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今回は、TC療法に使用される、タキソールとパラプラチンに特有な副作用について説明します。


   ◇   ◇   ◇


タキソールに特有の副作用
・末梢神経障害
手や足の先端の知覚に異常が出ることです。
しびれや触覚の低下などが、出現してきます。
抗癌剤治療の回数が増加するほど症状が重くなってきます。
軽度のものであれば改善も早いですが、長期に渡る治療では末梢神経障害が改善するもの時間がかかります。
投与終了後、数年間、違和感が続く場合もありなかなか良い副作用対策がないのも現実です。
漢方薬の「牛車腎気丸」が効果があるという報告はあります。

・不整脈や血圧低下
投与直後から投与後しばらく心臓への影響で不整脈(期外収縮の出現)や血圧低下が見られることがあります。
投与中は心電図などを測定しながら行われることも多いです。
一般的には自然に改善してきます。

・関節痛、筋肉痛
これもタキソールに特有な副作用の一つです。
投与後2〜3日後から筋肉痛や関節痛が発症し、5〜6日で改善してきます。
この症状は個人差も結構ありますが、投与された方の約半数という高頻度で出現します。
いわゆる鎮痛剤(内服薬や坐薬)の予防投与で対応します。

・アレルギー反応
タキソールという薬剤を溶かし込むための溶媒にひまし油の一種が使われており、これがアレルギー反応を引き起こします。
まれですが、アレルギー反応が重篤であればショックとなることもあり、前投薬としてステロイド剤の投与が欠かせません。

・アルコールに対する反応
タキソールには添加物として無水エタノールが含まれています。
一回の治療でだいたいビール500mlほどのアルコール量に相当し、アルコールに弱い方はつらい症状となります。
エタノールにより投与中から投与後しばらくは顔面の紅潮が見られることもあります。


パラプラチンに特有の副作用
・血小板減少
血小板は血液中に含まれる成分で、血液の凝固に重要なものです。
血小板が極端に少なくなると出血しやすくなる症状が出現します。
パラプラチンには血小板を減少させる副作用があります。
白血球の場合のG-CSF製剤のように血小板を積極的に増加させる薬剤はないので、あまりにも血小板が減少したときは血小板輸血などが行われます。


   ◇   ◇   ◇


今回はこの辺で。
抗癌剤治療の副作用に関しては今回で終了です。
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TC療法の副作用のつづきです。

   ◇   ◇   ◇


TC療法共通の副作用
・悪心、嘔吐症
抗癌剤のほとんどのものが大なり小なり、悪心や嘔吐の症状があります。
シスプラチンは特にこの副作用が強いものです。
TC療法で使用される、タキソールやパラプラチンは比較的軽症ですが、症状の出現は個人差も大きいです。
そのほとんどが、抗癌剤直後がもっとも多く、徐々に改善してゆきます。
この副作用のために食欲低下が発生することもあります。

副作用対策として、強力な制吐剤としてグラニセトロン(商品名:カイトリル)やオンダンセトロン(商品名:ゾフラン)が使用されます。
非常に効果のあるこれらの薬剤の開発で悪心、嘔吐の症状はかなり改善されてきました。


・下痢
抗癌剤による腸粘膜細胞の障害で下痢の症状を引き起こします。
生命を脅かすほどひどい下痢の副作用がある抗癌剤も存在しますが、TC療法で使用する薬剤では重症化することは珍しい方です。下痢がひどいときは止痢剤などを投与します。


・肝機能障害
多くの薬剤が肝臓で代謝されますので、抗癌剤投与が長期化すると肝機能の低下も引き起こします。
肝庇護剤の投与が行われます。


・脱毛
毛髪も毎日活発に増殖を繰り返し、髪を伸ばしていますので抗癌剤により抑制されると脱毛が生じます。
脱毛は多くの抗癌剤に共通の副作用です。
女性にとってとくに辛い副作用でもあります。
初回治療でいきなり全て抜け落ちることは珍しく、数ヶ月はかかります。
一度はほとんど抜け落ちても、治療後はほとんどの方でまた髪が生えてきます。
その方の伸びるスピードで生えてきますので、もともと髪が長かった方は生えそろうまでは時間がかかります。
抗癌剤の作用機序から脱毛の副作用を完全に予防することはできませんが、頭部冷却や発毛剤が使用されることがあります。


   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で。
次回はタキソール、パラプラチンに特有な副作用の説明です。

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さて、今回の話題です。
今回は卵巣癌でもっともポピュラーな治療であるTC療法(TJ療法)で使用されるタキソール、パラプラチンの副作用について解説します。


   ◇   ◇   ◇


TC療法共通の副作用
まずはタキソール、パラプラチンに共通する副作用を解説します。
以下のようなものがあります。
それぞれについて個別に説明します。

・白血球減少と感染症
・貧血
・悪心、嘔吐症
・下痢
・肝機能障害
・脱毛


白血球減少と感染症
血液中に含まれる白血球の寿命は約10日前後です。
白血球は血液中の兵隊さんのような役目で、感染症などから体を守ってくれています。
活発に増殖を繰り返している白血球は抗癌剤により増殖が抑制されると、その数は急激に低下してゆきます。
抗癌剤の種類や量、抗癌剤投与の回数により違ってきますが、抗癌剤投与から約2週間くらいを底に低下します。
その後1〜2週間かけて白血球数は元に戻ります。
TC療法は大体3〜4週間毎に繰り返されますが、これは白血球数が一度低下して、増加するのを待つ期間と考えても良いですね。

白血球数は一般的には血液1マイクロリットルあたり4000〜8000個くらい存在します。
その数が1000個/マイクロリットル以下になると重症感染症にかかりやすくなります。
さらに500個/マイクロリットル以下になると非常に危険な状態となります。
一回目の抗癌剤投与でいきなりここまで白血球数が低下することはあまりありませんが、抗癌剤投与の回数が増えてくると白血球の低下のスピードも速く、重症となってきます。
白血球は骨髄という骨の中心部分で作られていますので、抗癌剤による骨髄機能低下を「骨髄抑制」といいます。

白血球数が低下すると感染症にかかりやすくなるため、白血球数が上昇して安心な数まで回復するまでは次の抗癌剤投与を行うことができません。
以前は自然と白血球数が上昇してくるのを待つ必要がありましたが、骨髄での白血球の産生を賦活化させる「G-CSF製剤」という薬剤が発明され、速やかに白血球数を改善させることができるようになりました。
この薬剤の貢献は凄いものがあり、これまで白血球数低下のため抗癌剤投与を断念せざるを得ない方も抗癌剤治療を続けることができるようになりました。


貧血
赤血球は体中に酸素を供給する働きがあり、その数が低下すると貧血という症状を引き起こします。
白血球と同じく赤血球も骨髄で産生されますので骨髄抑制で赤血球の産生も抑制されます。
しかし、赤血球の寿命は約120日ととても長いので抗癌剤投与ですぐに貧血の症状は出ません。
抗癌剤投与が長期化すると(数ヶ月)、じわじわと貧血となることはあります。



   ◇   ◇   ◇

今回はこのへんで。
次回も副作用について解説します。
皆さん、こんにちは。
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今回は一般的な卵巣癌の化学療法について解説します。


   ◇   ◇   ◇


一般的な卵巣癌の化学療法
現在、日本で一般的な卵巣癌で選択される薬剤は以下の二剤併用です。

「パクリタキセル(商品名;タキソール)」(略号;PTX)
「カルボプラチン(商品名;パラプラチン)」(略号;CBDCAもしくはJM-8)

Taxolの「T」とCarboplatinの「C」の頭文字をとって、「TC療法」と呼ばれます。
※TC療法はカルボプラチンの略号であるJM-8からTJ療法とも略されます。

これまで卵巣癌に使用される薬剤はいろいろと変遷してきました。
長らく、CAP療法やCP療法が卵巣癌では使用されてきましたが、タキソール系の薬剤の治療成績がこれまでの薬剤を上回ると言うことで卵巣癌ではタキソール系の薬剤が主に使用されるようになってきました。
タキソール系薬剤は最初、タキソールとシスプラチン(CAP療法やCP療法で併用されていた、抗癌剤ではメジャーな存在です)の併用でスタートしましたが、シスプラチンには「嘔吐、嘔気」という非常につらい副作用がありました。

シスプラチンよりも副作用が少なく(毒性が低いと表現します)、治療効果も同等のカルボプラチンが導入されるようになると、嘔気や嘔吐などの副作用はずいぶんと軽減されました。

私が医者になりたてのころはまだ、CAP療法が多く行われ、副作用である嘔吐、嘔気、食欲低下は大変なものがありました。抗癌剤投与が一ヶ月に一度繰り返されますが、患者さんによっては点滴のセットを見ただけで嘔吐されるほどでした。

TC療法の導入で、投与中の全身管理や点滴の量も減少したため、長期入院管理を行わずに外来で一ヶ月に一度点滴治療をすることも可能となり、現在多くの施設で外来管理によるTC療法が行われています。


具体的なTC療法
タキソールもパラプラチンも点滴で投与する薬剤です。
患者さんの身長と体重から計算した体表面積、腎機能などからその投与量が決定されます。
非常に厳密に投与量が決定されているわけですね。
量が少ないと目標とする効果が得られませんし、多すぎると副作用が強すぎるということになります。

一般的なTC療法はメイン薬剤の投与は数時間で終わります。
タキソールはアレルギー反応という特徴的な副作用があるために、メインの薬剤と投与する前に「前投薬」としてステロイド剤などの投与が行われます。

多くは午前中から点滴が開始され、タキソールは3時間、パラプラチンは1〜2時間ほどで投与されます。
副作用軽減の観点からまずタキソールが投与され、その後パラプラチンが投与されます。
抗癌剤による吐き気を抑制する薬剤なども同時に投与されます。

約半日の点滴が終了すれば一回の治療が終了(1クール終了)です。
この治療を3〜4週間毎に繰り返します。
卵巣癌の進行期などにもよりますが、術後化学療法としては3〜6クールが行われます。


   ◇   ◇   ◇

今回はこの辺で。
次回はTC療法(TJ療法)の副作用について解説します。

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