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皆さん、こんにちは。 ご訪問ありがとうございます。 前回からの続きで「胎児の性別」の具体的な見方です。 ◇ ◇ ◇ ■どのくらいの確率でわかるの? 「性別はどの位の確率で当たるんですか?」と質問されることもあります。 最近の超音波機器を持ってすれば、胎児の性別を間違うことはまずありません。 外性器の奇形などがなく、条件が良くはっきりと外性器が超音波検査で観察できれば、まず100%の確率です。 超音波検査で股間のあたりを観察して性別を判断します。 ペニスや陰嚢が存在すれば「男児」と判断します。 一方それらの構造がなければ「女児」となりますが、最近の超音波機器では女児は女児でその「証拠」を観察することが出来ます。 陰裂や大陰唇のふくらみがちゃんと見えるんです。 ■具体的な診断 膣の中に小型の機械を挿入する「経膣超音波検査」を行い、胎児の向きなどの条件がよければ妊娠11週にはいると性別を判断することもなんとか可能となります。 現に私の息子の時は経膣超音波検査で11週ころに性別がわかり、早々に名前や洋服などの準備が始まりました(^_^)。 妊娠中の妻の主治医が自分だと胎児の性別を生まれるまで内緒にしておくことはできませんね・・・。 一般的な産科医だとこの位早い時期に性別がわかっても、妊婦さん話をしないことが多いですね。 女児のクリトリスの突出なのか男児のペニスの突出なのか(元は同じ構造でしたね)を見間違えることもあるので。 もっとも、この時期こちらも性別を見ようとしていませんので・・・。 男児でも女児でも、このころは外陰部の突起は似てますが、その突出する方向が違います。 男児は上向きに突出して、女児は下向きに突出しています。 ちょうど横から見るように超音波の方向を合わせることが出来たらわかります。 この方向の違いをもって男児、女児を判断することができます。(結構微妙な違いです) 妊娠13週くらいから経腹超音波検査を行い、いわゆる「妊婦健診」が始まることが多いでね このころになると、条件がよければ経腹的に性別を判断することができるようになります。 やはり男児の方がよりわかりやすいですね。 男児だとペニスの突出がより大きく描出されます。 女児の場合は男児でわかりにくいだけなのか、はたまた女児なのか、はっきりしない時期でもあり判断は保留となります。 18週近くなると女児は女児としての外陰部の特徴がはっきりと描出されるようになります。 外陰部に陰裂や小陰唇の構造がはっきりしてきます。 超音波画像上は外陰部に「木の葉」や「コーヒー豆」のような構造が見えれば女児と判断されます。 これらの構造が見えれば、「おちんちんがないから女児」という判断ではなく、自信を持って女児と判断できます。 男児でも足をぴったりと閉じているとさすがに判断に迷うこともあります(^_^)。 20週をこえてくるとほぼ確実に性別を判断することが出来るようになります。 ◇ ◇ ◇ こちらから積極的に性別を言うことはありませんが、妊婦さんに性別を聞かれれば、ほぼ間違いなくどちらであるとはお答えしています。 ただし、「正確には生まれてから確認してね」と言い訳がましいことも実は言っています。 これは先に書いた病気のように生まれてからでさえ、性別の判断に迷う赤ちゃんが現に生まれている、という理由もあるんです。 今回はこの辺で。
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産科
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皆さん、こんにちは。 久しぶりの更新となりました。 外来でもよく質問のある「胎児の性別」についてのお話しです。 ◇ ◇ ◇ ■妊娠中に性別はわかるの? 以前は胎児の性別を正確に知る方法はありませんでした。 そのため「母体の顔つきが変わった」、「お腹がとがっているから・・・」と外見でどちらかを「想像」や「予想」していましたね。 今では、超音波機器の発達で、胎児の性別を簡単に知ることができます。 赤ちゃんの性別が医学的に問題となることはほとんどありませんが、少しでも早く性別を知りたいと希望される方は非常に多いですね。 そのためほとんどのお母さんが胎児の性別を出産前に知っていることになります。 (大雑把ですが、90%以上のお母さんが性別を聞かれますね) 妊娠初期は「内緒にしておいてください」と言っていても、妊娠後期に「やっぱり教えてください!」と我慢できずに聞いてしまう方も多いですね(^_^)。 妊娠中に性別を知りたい理由はいろいろあると思いますが、施設によっては妊娠中に性別を教えて頂けないところもあります。 性別で一喜一憂しないようにとの配慮もあると思います。 現に希望の性別では無かったときに、泣き出す方もいらっしゃいますから・・・。 性別を教えてもらえるかどうかは一度、ご確認を。 ■男性も元々は女性だった? 以前書きましたが胎児の性別は受精の段階で決まっています。 途中から性別が変わることはないんですね。 受精する精子の染色体が男児の要素を持っているか、女児の要素を持っているかで決まります。 詳しく書くと、人間はY染色体が存在しなければ基本的には女性へと変化するように作られています。 (特殊例としてはY染色体がなくても男性となることもあるんですが・・・) 大人では外性器の構造は男性と女性ではどう見ても違いますよね。 しかし、胎児時代のごく初期には同じ構造、つまり女性型の構造であった、ということは知らない方も多いですね。 胎児が発育してゆく過程ではまず女性型の性器からスタートします。 発生の過程でY染色体が存在しないとー女性の場合はーそのまま外性器が発育してゆきます。 小陰唇、大陰唇、クリトリスなどがはっきりしてきます。 妊娠9週頃から男女の差が生じてきて11週頃からその区別が確実になります。 一方男児の場合は発生の途中からY染色体の影響で精巣が作られ、男性ホルモンが増えてきます。 それによりもとは女性の構造であった性器が男性型へと変化してゆきます。 小陰唇、膣入口部がくっついて、膣が閉鎖します。 女性のクリトリスや外尿道口の部分がにょきにょきと伸びてきて、おちんちんに変化します。 陰嚢内の睾丸は胎児のお腹の中で作られ、だんだんと下降してきて陰嚢内におさまるようになります。 男性ホルモンの影響があると女性でも男性型の外性器へと変化することもあります。 それが以前書いた「副腎性器症候群」という病気ですね。 男性であっても男性ホルモンがうまく作用しないと「精巣性女性化症候群」というように外見上女性にみえる場合もあります。 ◇ ◇ ◇ 今回はこの辺で。
次回は具体的な見え方などです。 |
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皆さん、こんにちは! ご訪問ありがとうございます。 今回は「月経異常」をちょっと中断して産科の話です。 妊娠中期の受診理由で多い、「円靭帯痛」に関してです。 ◇ ◇ ◇ ■円靭帯とは 「靱帯」というと膝や肘のイメージが強いですね。 そのため「靱帯の痛みと妊娠と関係あるの?」と疑問に思う方も多いことでしょう。 子宮は骨盤の中にありますが、その骨盤にしっかりと子宮を固定しているのが靱帯です。 重要なものだけでも左右で8本の靱帯が子宮をがっちりと固定しています。 キャンプの時のテントの固定とかなり似ています。 テントの天井から固定用のロープをぴんと張り地面にペグで固定しますが、このロープを同じような役目をしているのが今回の話題の円靭帯です。 円靭帯は左右1本ずつあり、卵管の付け根近くの筋層から始まり、恥骨という骨盤の骨に終わっています。 途中、足の付け根の鼠径部を通過します。 円靭帯は小指の先ほどの太さで、断面はほぼ円形の靱帯です。 ■円靭帯痛の症状は? 非妊時の子宮は約60グラムといわれていますが、妊娠末期には肋骨に届くほど大きくなります。 もともと数センチくらいしかなかった円靭帯は子宮の発育とともにぐんぐん引き延ばされて、最終的には30センチほどになります。 特に妊娠15週くらいから25週くらいまでは急激に子宮のサイズが大きくなる時期です。 この時期に一致して 「下腹部痛」 「子宮の前の方の痛み」 「足の付け根の突っ張る感じ」 「体を動かしたときの下腹部の張ったような感じや痛み」 といった症状が発生します。 これらの症状は、切迫流産、切迫早産などが除外できれば「円靭帯痛」と診断されます。 「円靭帯痛」は、円靭帯自体が増大する子宮に引き延ばされる痛み、円靭帯のくっついている鼠径部(足の付け根)や恥骨を引っ張る痛み、母体の体の動きで子宮が揺れるときにどちらかの円靭帯が引き延ばされる痛み・・・なんですね。 ■診断は? 妊娠20週前後に上記のような症状が不規則に出現し、子宮前面から鼠径部にかけて手で軽く押さえると痛みが増強し、内診や経膣超音波検査などで子宮頚部が短くなっていたり、開いてくる様子がなければ(切迫流早産が否定的)診断は簡単です。 ■治療は? 特に治療はないです。 悪化させないためのアドバイスとして、 ・子宮が大きく揺れるような急激な体位変換をしない(ゆっくり動作することですね) ・痛みのある方を下にして横になる といったところですか。 基本的に生理的な範囲での痛みなので時期が過ぎるのを、もしくは痛みになれるのを待つことになります。 妊娠末期までこの痛みが続くことはほとんどありませんのでご安心を。 ■注意として! 円靭帯痛の存在を知るということは、闇雲に不安になることを防ぐ意味ではとても大切なことですが、素人判断は危険なところがあります。 この時期は妊娠期間としては比較的安定した時期になりますが、流・早産がないわけではありません。 現に円靭帯痛の疑いで、念のため経膣超音波検査を行ったら子宮口が開大してきていた、なんてことはあります。 「ああ、この痛みが円靭帯痛か」と思っても、素人判断せずに、かならず一度は診察を受けておいてください。 ◇ ◇ ◇ 今回はこの辺で。
次回は「無月経」についてのお話しです。 |
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皆さん、こんにちは♪ 今日もご訪問ありがとうございます。 今回もとても聞き慣れない疾患のお話です。 こんな疾患もあるんです。 ◇ ◇ ◇ ■急性妊娠脂肪肝とは 急性妊娠脂肪肝(acute fatty liver of pregnancy:AFLP)は妊娠後期(平均37週ころ)に発生し、妊娠が終結しないと肝不全となる怖い病態です。 肝臓はとても重要な臓器であり、ダメージが大きいと母児ともに予後不良となる可能性を秘めています。 肥満成人でも脂肪肝という用語があります。 これは余分な脂肪が時間をかけて肝臓に蓄積してゆくものですが、AFLPは急激に脂肪の沈着が発生します。 一般的な脂肪肝と蓄積する脂肪も種類も違うようです。 前回のヘルプ症候群と似たような症状がありますが、頻度はこちらの方が圧倒的に少ない珍しい疾患です。 妊娠高血圧症候群とヘルプ症候群とAFLPは血管の攣縮などに何らかの原因があり、お互いに関連性があると推測されています。 ■AFLPの症状と診断 妊娠後半期に、嘔気、嘔吐、頭痛、心窩部痛、全身倦怠感、黄疸、上腹部痛などの症状が出現します。 悪化すると低血糖や播種性血管内凝固症候群、消化管出血なども出現し、肝不全へ移行します。 肝不全がひどくなると、多臓器に障害が発生し死亡に至ります。 肝機能の指標となる検査値の異常やビリルビンの上昇をはじめとして、採血による検査でいろいろな異常値が出現します。 前回お話ししたヘルプ症候群とは血小板の低下の程度など若干違いますが重症化するとどちらも同じような検査結果になるようです。 脂肪肝は一般的には超音波検査やCT検査で描出することができますが、AFLPの場合の脂肪肝の描出率はあまり高くありません。 そのため画像的に問題がなくてもAFLPを完全に否定することができないのです。 肝臓の生検を行い、脂肪沈着の有無を確認できれば診断は確定されますが、全例で肝生検が行われるわけではありません。 臨床の現場ではこのような症状が出現し検査値も異常値を来してきた場合は、すぐに治療を開始することが多いです。 ■AFLPの治療 治療の基本は妊娠の終結になります。 この辺はヘルプ症候群と同じですね。 突然発症し、急速に進行しますので迅速な対応は必須です。 肝不全に陥ると死亡率も高くなるため、重症化する前に発見し、妊娠を終わらせることが大切です。 重症化した際は妊娠の終結とともに、症状に応じた内科的な治療も同時に行われます。 いずれにせよ高次医療機関での治療が必要となります。 ◇ ◇ ◇ 今回はこの辺で。
次回は・・・・、未定です。 |
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皆さん、こんにちは♪ 今日もご訪問ありがとうございます。 最近やや忙しくて、更新が遅れてしまいました・・・。 今回はとても聞き慣れない疾患のお話です。 「ああ、こんな病気もあるんだなあ」という感じで読んでみてください。 ◇ ◇ ◇ ■HELLP症候群とは ビートルズの曲じゃありませんが、「ヘルプ症候群」と呼びます。 これは3つの病態の頭文字を略したものなんです。 溶血(hemolysis)、肝酵素の上昇(elevated liver enzyme)、血小板減少(low platelets)の症状が出現します。 妊娠高血圧症候群(旧妊娠中毒症)の患者さんに多く発生すると言われています。 妊娠中のみならず妊娠後(産褥期)に発生することもあります。 適切な管理が行われなければ死亡率も3割ほどあるともいわれ、怖い病態でもあります。 主な合併症は播種性血管内凝固症候群(DIC)、常位胎盤早期剥離、腎不全などがあります。 ■HELLP症候群の病態 はっきりとした原因は不明なんですが、血管を構成する細胞の障害、血管の攣縮(けいれんして収縮する状態)が原因ではないかといわれています。 妊娠中に血管を構成している「内皮細胞」が障害を受けて、細い血管にフィブリンという物質が沈着し、そこを通過する赤血球が障害を受けて「溶血」という現象が起きます。 (赤血球が破壊されてその中の成分が流出すること) また血小板が活性化されて消費され、減少してゆきます。 肝臓の中の非常に小さい血管の異常を引き起こし肝臓機能の障害が肝酵素の上昇につながります。 ■HELLP症候群の症状 最も重要の症状は突然の上腹部痛や心窩部痛です。 これはHELLP症候群の患者さんのほとんどに見られる症状のようです。 これまで何も症状がなかった方が突然、「胃が痛い!」と訴えられます。 疲労感、倦怠感もかなりの方に見られます。 そのほかとして、嘔気や嘔吐、食欲低下などもあります。 ただ、この病気の特異的な症状ではありませんので(胃の痛みは一般的にあり得る症状と言うことですね)、診断が難しいところでもあります。 ■診断と治療 上記の消化器系の症状と、診断は肝機能の低下、溶血の所見、血小板の減少がある一定の基準を超えると診断されます。 それぞれの診断項目が完全にそろっていなくても、何らかの症状があり、検査値が動いてきたら十分に注意をしてゆく必要があります。 この後ブログで書く予定である「急性妊娠脂肪肝」と似たところもありますが、血小板の減少の程度などが違ってきます。 治療の基本は妊娠の終了になります。(このあたりは妊娠高血圧症候群と同じですね) 産褥期にも症状が出現することがあるので、疑わしければ分娩後も気を抜くことはできません。 妊娠の終了といっても週数が早ければ十分に注意して、できるだけの妊娠継続を続ける必要があり、治療に際して難しいところでもあります。 診断が下され、妊娠の終結のためには帝王切開術を選択することも多いですが、血小板の減少などがあるため血小板輸血などが必要となることも多いですね。 ◇ ◇ ◇ 今回はこのへんで。
次回はHELLP症候群に何となく似ている「急性妊娠脂肪肝」についてです。 難しい用語ですが、読んでみてくださいね。 |


