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【第1週・赤鬼がやってきた!】
嘉永六年、中国が清と呼ばれクリミア戦争が勃発した頃、
日本では北里柴三郎が、フランスではゴッホが誕生した年に、浦賀水道に現れた異形の黒い船団・・・
当時詠まれた歌にこのような物が有る。
「太平の眠りを覚ます上喜撰(蒸気船)、たった四杯で夜も眠れず。」
突然現れたペリー総督率いる黒船の艦砲射撃に、浦賀の市中はパニックに陥っていた。
「ふぇ〜でっけぇ船だなありゃ〜、火事になってるんじゃないか?黒煙立ち上ってるぞ〜」
浦賀に出現した黒船を見物に来た旅の若者、托鉢僧・悟王がのん気に眺めている。
彼は諸国行脚の旅に出ていた途中で、浦賀に立ち寄り黒船の来訪を見物に来ていたのだ。
時を同じくして、浦賀奉行:落合竜五郎伊勢守は通訳の中国人女性チェンウーを伴い、
慌てて亜米利加の特使との交渉に向かっていたのである。
当時幕府は、ヨーロッパ諸国からの情報で亜米利加の来訪に警戒し、
浦賀にも特別に奉行所を置いていたのだった。
伊勢守は浦賀に上陸したペリーの部下と対面、初めて見る白人達に目を白黒させながらも、
通訳のチェンウーに用件を尋ねさせた。
特使の要求は日本に開国を求める日米和親条約であるのは言うまでもない。
伊勢守はペリー一行が浜でキャンプするのを許可し、奉行所から交代の見張り役を置いた上で、
食糧品などの調達で直接街に出ない様に留め置いた。
その夜届いた江戸表からの返答は、
幕府からお達しがあるまで、ペリー達を刺激せず出来る限りもてなせとゆう指示だった。
綺麗処をあてがってみるかのぅ〜、メリケンどもは刺身は食うかのぅ〜?
伊勢守はひとしきり首を捻り悩んだ。
奉行所とは言え江戸から離れた海辺の町で、
亜米利加の来訪をひたすら警戒していただけの田舎の役所である訳で、奉行の伊勢守も頭が痛い。
一方ペリーの部下たちはキャンプを設営すると、暇つぶしのキャッチボールを始めた。
悟王は、ボールをやり取りするのを面白そうに眺めていたが、
やがてひょこひょこと近づいて行くと、脳天気にも身振り手振りで話しかけ始めた。
「おい、メリケン!拙僧の言ってる事わかるかい? わかんねぇ〜だろうな〜へっへっへ・・・」
突如現れたおかしな坊主に興味を持ったのか、
ペリーの部下達は悟王にグローブのはめ方やキャッチボールを教えてくれた。
「おぉ面白いぞこれ!メリケンって面白い遊び知ってるな〜」
明治四年に日本に本格的に野球が伝えられる21年前の事、
時の将軍も知る由も無い、浦賀の浜の奇天烈な出来事の始まりであった・・・
【次回に続く】
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この物語はフィクションです。
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また、続きを読ませてもらいますね!
2009/12/26(土) 午前 9:58 [ おたけ ]
フィクションと言いながら迫力満点ですね。
次回を首を長くして待っています。
2013/12/2(月) 午後 0:02
はこふぐさん、ありがとうございます!
続きは書庫にありますので是非どうぞd(^-^)
2013/12/2(月) 午後 0:23
はこふぐさん、ナイスありがとうございました(^o^)
2013/12/2(月) 午後 0:24