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〔第2話〕
大森林の中に建つフォレインの街、初めて見る威容にイクルは固唾を呑んだ。 バ・ジル氏と街に入ったイクルは、森のマーサ・ヒーコの長老に面談を申し込んだ。 長老は、森のドラゴンと呼ばれ敬われていた勇者だった。 エッゾ地区は非常に広大なエリアで、 嘗てはヒグマと呼ばれる大型哺乳類が闊歩していた。 ヒグマも絶滅したと思われていたが、 現在は紫外線に強い突然変異種が確認されている。 森のドラゴンと呼ばれる長老は 「昔はわしも大きなクマを槍1本で倒しに行ったものじゃ、ホッホッホ・・・」 目を細めながら、周りに侍らせたマーサ・ヒーコの美しい娘たちのお尻を撫でていた。 イクル達は「へ〜たいしたもんだな〜」と感心しながら頭を下げた。 そこに1人の若者が現れ、「長老、お呼びにより参上しました」と跪いた。 イクルは目を見張った!! ビルドアップされてはいるが、スラリとした長身で実にナチュラルなしなやかさを感じ、 大昔実在したと言われる伝説の選手を彷彿とさせる。 「この坊やがお前さん達が求めている、野球選手にピッタリな男じゃろう?」 長老は目を細め、叉々娘たちの胸をまさぐりながら、 イクル達に向かってそう言い放った。 若者は胸を張ってこう叫んだ!! 「俺の名は、森のマーサ・ヒーコの”シュー・ヘイ”だ!!」 ”シュー・ヘイ”を見たイクルは、「これならイケルぞ・・・」と心の中でつぶやき、 興奮を抑え切れなかった。 マーサ・ヒーコの若者シュー・ヘイに交渉を始めたい気持ちで一杯のイクルだった・・・・・、 ここでバ・ジル氏が耳打ちした。 「そんなに焦るな、ここはじっくり交渉しないと足元見られるからな」 そう囁くとイクルにだけ分かるように小さく親指を立てた。 イクルは逸る気持ちを抑えつつバ・ジル氏に頷いた。 バ・ジル氏は、シ・ユー氏のアプローチも計算に入れて、 じっくり交渉しようと考え、ここで長老に切り出した。 「森ドラ長老、実はここに来る前に半神タイガ長老に会ってきましてな、 何やらネオ・ナゴヤ・ムラのシ・ユー氏はあちらの若者を痛く気に入られたと申されてました」 森ドラ長老の目が大きく見開かれた、 ヨーテー山麓に住むタイガ長老は、その強さから半神半人と讃えられ、 若い頃から森ドラとライバル同士であり何事にも張り合う仲だったのだ。
バ・ジル氏は、二人のライバル心を利用して一芝居うったのである。 その夜イクオ達はマーサ・ヒーコの宴席に招かれた、 夜は紫外線の脅威がかなり低いので取りあえずは防護服からは開放され、 叉、施設も地下に取ってくれたので安心して出席した。 イクオの横にはサーリーとゆう女性が付いてお酌をしてくれた、 年上だったが若く美しく見え、イクオは少しドキドキした。 「人間とは違う種族なのにちょっとビックリしたな・・・・」 ネオ・ナゴヤ・シティーで待つ彼女を思い出しホッペをつねったイクオであった・・・ 〔第3話に続く〕
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野球小説
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〔第1話〕
ネオ・ナゴヤ・シティーにN・ドームが出来て既に15年、
新世紀5050年のドーム球場は地下35階の非居住エリアに設営されていた。 イクルは夢にまで見たN・ドームのグラウンドに立っていた、
高い天井に散りばめられた太陽光ライトが、 まるでオープン球場の様な気分に錯覚させる。
実際のゲームは既に人間の選手が活躍する時代は終わり、
亜人種・フォレインを育成する事で代りにゲームさせており、 人類はフォレイン達の超人的なプレイに熱狂していた。
イクルはその新人スカウトとして昨日採用されたのだった。
イクルは物心付いた時から野球を観るのが好きだった、
交際中の彼女が野球に興味が無いのが玉にキズだったが、 イクルがスカウトになったのは特に反対は無かったらしい。 「いよいよ明日から、地上に出て有望なフォレインを探さなければ・・・」
彼はスター・プレイヤー発掘に燃えていた。 実際はベテランに付いてイロハから教えてもらいながらの活動になるのだが。
「おーい、若造!!」振り向くとべテラン・スカウトのバ・ジル氏が
後ろで呼んでいた。 振り向いたイクルに向かってバ・ジル氏は手を振った、
「おい、明日はハードになるから今夜はぐっすり寝て置けよ!!」 ひとこと言うと、バ・ジル氏は呑み仲間のシ・バドラ-氏と去っていった、
もしかしたら、あの人達これから酒盛りかな? 本当にタフだな〜「あの人達と付き合うとアル中になっちまう!」
元々身寄りの無いイクルがこの仕事に就けたのは、
懇意にしていたシ・バドラ-氏の推薦のお陰だったが、
その時にバ・ジル氏に紹介してもらって、朝まで酒盛りにつき合わされたのだ、 お酒が進むと、二人は野球の話に熱中して何時間も話し込んでしまう、
アルコールに弱いイクルはあっという間にダウンしてしまった。 その為彼らの後ろ姿を見送りながら、思わず苦笑した。
翌日、イクルはバ・ジル氏と地上に出ていた。
遥か昔、オゾン層の破壊で人類が地上に住む場所を追われ居住区は無くなり、
既に地上は嘗ての姿を変え、紫外線に強い新生物に取って代わられていた。 イクルたち新人類の祖先は、長期間の地下生活に順応した為、
紫外線に極端に弱い体質になっており、
無防備で地上に10分とは居られないのだった。
イクルとバ・ジル氏は紫外線防御スーツに身を包み、
国連ニホン・エリア:ネオ・ナゴヤ・シティー所属の エア・クラフトで移動し始めた。 エッゾ地区のマシュー湖周辺の大森林エリアが目的地だ、
亜人種・フォレインは人類にそっくりだが、
紫外線に耐えうる強靭な皮膚や粘膜を持っている。
以前からマシュー大森林エリアに住むとゆう逸材に目を付けていたバ・ジル氏は、
「今日はスカウトするぞ、おい!」と意気込んでいた。 バ・ジル氏が狙っていたのは、大森林に住んでいるとゆう、
森のマーサ・ヒーコと呼ばれているフォレインの北方種族だった、 情報ではネオ・ナゴヤ・ムラのベテランスカウト、
シ・ユー氏も乗り出しているとの事でバ・ジル氏も気が気で無いと言った所であろう。 やがて、イクル達の眼前にマーサ・ヒーコの住むフォレイン居留地が姿を見せ始めたのであった。
〔第2話に続く〕
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