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札幌から列車に揺られ函館本線を南に下る、 窓の外を眺めると、灰色の空から風花が舞い散っている。 銭函駅を越える頃に線路のすぐ真横に日本海が広がり 荒波が線路へとザブザブ被って来る錯覚に陥る。 小樽駅で降りると、
札幌に比べ意外と少なめな歩道の雪に戸惑いながら、
国道沿いを札幌方面に戻るように歩き出す。 相変わらず積もらない雪は、 歩道を流れる川の様に
サラサラと横切っていく。
久しぶりに小樽の街中を歩いてみたが、 変わらない風景に変わらない人波。
鉄道のガードが目の前を横切る交差点。 左手に続く道は寿司屋通りへ、 右に曲がると「はれるや」はそこにある。
「はれるや」と書かれた暖簾をくぐってサッシの引き戸を開けると、
大きなストーブが床に置かれたあの日と同じ風景がそこにあった。 「いらっしゃい」いつか来た日と同じ様に、 おばちゃんが声を掛けて来た。
目の前のカウンターに腰掛けてメニューを見ていたら、 おばちゃんはせっせと料理を盛り付けると、 テーブル席に居た小さなお婆さんに定食を運んで行く。 時計は午後2時過ぎを指している、 遅い昼食になったが、
そのせいか自分とテーブルのお婆さんしか客は居なかった。 さて何を食べようか? ここは夜でもランチが食べられる不思議な店、 英語のランチの事を単に定食と勘違いしてるだけなのだが・・・ 以前来た時にチキンカツ定食を食べたのを思い出す、 大きくて皿からはみ出す位で、 だから真ん中で切って盛り付けてあった。
ちょっと違う物が食べたいなと思った、 「カツカレーください」 おばちゃんに注文をしてから後ろを振り返ると、 ソースのシミの付いたマンガ本がお約束のように置いてある。 カウンターの中でカレーを鍋で温めるおばちゃん、 テーブル席で猫のようにちんまりと座っているお婆さんは、 黙々と食べている。
暫く待っているとカレーが出来上がった。 まっきぃきぃのカレー、昔懐かしいカレー、 わずかに粉っぽく、スパイシーな味。 カウンターの中でおばちゃんは小さめの皿にカレーを盛ると、 「おなか空いてないんだけどね〜カレー食べよ〜」 誰に向かって言う訳でも無く、独り言のように呟くと、 皿を持ってテーブル席のお婆さんの向かいに座ると一緒に食べ始めた。 真っ白なお皿にまっきぃきぃのルー 食べ終えてお金を払うと、おばちゃんに声を掛けた。 「15年振りに来ましたよ」 おばちゃんは、あらそう?といった感じで。 「この店も28年目よ〜」 「今年は雪が少ないですね?」 「そうね〜少ないね〜」 おばちゃんと少し会話した後 「又来ますね」 そう言って店を出ると、 雪はいつの間にかやんでいた、
しばらく鉛色空を見上げてから、 アーケード街に向かって歩きだした・・・
<おしまい>
----------------------------------------- <あとがき>
先日、「Google マップ」で小樽の町並みを、
観ていたら、懐かしの「はれるや」の看板が消えていました。
建物は残っている様ですが、
屋号が何処にも書いてない!?
マップのデータには2013とあったので、
2年前には閉店?もしくは移転?
おばちゃん一人でやってたので、
店を続けられない事情があったのでしょうか?
とっても気になっています。
この小説は、2008年に書いたものを
加筆訂正し、改めてアップしてみました。
はれるや食堂の旧データ&記事 .
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北海道ロード小説
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