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死のフラグメント

Sci. Signal., 24 February 2009
Vol. 2, Issue 59, p.
 
神経科学
死のフラグメント

John F. Foley
 
神経系発生過程において、細胞死の機構によって不適切なニューロンおよび軸索枝が排除され、適所で生存可能な連結のみが残る(Nicholson参照)。しかし、神経細胞死および軸索変性は神経変性疾患でも生じる。細胞死は、神経栄養因子の欠如による受動的な場合と、腫瘍壊死因子受容体ファミリーのメンバーのような受容体を介する能動的な場合とがある。Nikolaevらは、このような受容体の1つであるDR6(オーファン受容体と考えられる)が神経前駆細胞に比べて分化したニューロンに多いことを発見した。DR6の欠損または抗体によるDR6の遮断は、in vitroでマウス脊髄ニューロンを栄養因子枯渇による細胞死から保護した。コンパートメントチャンバーでのニューロンの培養によって、DR6は神経細胞死と軸索変性に必要であることが示された。しかし、細胞体死は(以前に示されているように)カスパーゼ3によって媒介されるのに対して、軸索変性(カスパーゼ非依存性と考えられていた)は非古典的エフェクターであるカスパーゼ6によって媒介された。DR6の細胞外ドメインとヒトFcの融合タンパク質は、正常の感覚神経軸索および運動神経軸索に結合したが、栄養因子を除去して培養した軸索には結合しなかった。また、栄養因子を除去したニューロンの培養液中ではDR6結合タンパク質が認められたが、正常なニューロンの培養液中には認められなかった。ニューロンの栄養因子除去培養はアミロイド前駆体タンパク質(APP)の切断を誘発し、DR6に対して高親和性の結合を示す断片(N-APP)が生じた。栄養因子枯渇に応答するニューロンの変性はN-APPに対する抗体によって遮断され、Appノックダウンによって、対照のニューロンに比べて、栄養因子除去によるニューロンの細胞死が減少した。最後に、DR6欠損およびApp欠損マウスでは神経筋結合部で同様の軸索剪定異常が見られた。以上の結果から、APPおよびDR6が(別個のカスパーゼを介して)栄養因子枯渇後の神経細胞死と軸索変性を媒介することが示唆される。

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