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放射能に汚染された稻藁を食べた「汚染牛」問題は、福島だけでなく東北から関東にも飛び火して、まだこれだけでは収まりそうもありません。 国や県は全頭検査を打ち出していますが、現在ある測定装置の数から物理的に対応できないと言う声もあります。 ヨウ素131、セシウム134、136、137と言った放射線種を測定するためには、この写真のような1,000万円以上する高価なゲルマニウム半導体検出器や施設が必要ですが、現在注文しても納期は来年までかかってしまうからです。 食品は、2リットルのマリネリ容器(底に検出器を入れる穴がある容器)に細かく刻んで入れ、時間をかけて放射線種を計測しなければなりません。 結果は線種に固有のスペクトル(波長)があるかどうかで分かります。 今進めている「食品の放射能検査システム」は、100万円以下の計測器を使って食品の放射線量を調べるものです。 6月に行ったテストでは、TGS-146Bと言うGM管式の計測器だったので「表面の測定」しかできませんでした。 牛の表面を計測しても、内部の「肉」の放射線量は計測できません。 今回7月21日に行ったテストでは、TCS-172Bと言うNaI(Tl)シンチレーション式の計測器で、これは内部の放射線量の計測に使うことができます。 NaI(Tl)・タリウム活性化ヨウ化ナトリウムの結晶にγ線が当たると発光する(シンチレーション)ことから、その光の数を数えて放射線の量を計測するのがこの計測器です。 GM管より感度が良く、測定できる範囲も広いので、食品の内部で周囲の放射線を計測することができるのです。 先月19日に納品された市も使っているハンディタイプのPA-1000 Radi(堀場製作所)2台と、県から借りたTCS-172Bの数値を比較してみました。 PA-1000もシンチレーション式ですが、検出器はヨウ化セシウム結晶とシリコンダイオードです。 測定範囲は0.000~9.999μSv(マイクロシーベルト)なので、微量な線量の測定ができますが、10μSv以上は測定できません。 バックグラウンド(その空間内の線量)は、TCS-172Bが「0.16μSv/h」、PA-1000が「0.266〜0.275μSv/h」でした。 放射線と測定方法を知らない人が見ると、なぜこのように数値が違うのかと思われることでしょう。 ひとつは、二つのシンチレーションセンサーが使っている結晶が違うので、γ線でも測定する波長が違うと考えれば分かり易いかもしれません。 GM管の測定できるγ線も波長が違う(測定する線種が異なる)ので、同じ値になりません。 それとSv(シーベルト)と言う単位は、Bq(ベクレル)と言う単位に人体への影響を定められた換算係数を掛けて出すため、必ずしもメーカーが同じ係数を使っているとは限りません。 大人と子どもでは係数が違うし、外部被曝と内部被曝ではその影響も異なります。 放射能を理解し対処するには、研究者以外の人はアナログ的な見方をするべきだと思います。 放射線の測定は、基本的には放射性物質の中で原子核が崩壊し放射線が飛び出す数を計測します。 それは一定の値ではなく、ポップコーンが弾けるのに似ています。 連続して弾けるかと思うと、しばらく止まってしまったり、短い時間だとばらつきが目立ちます。 ポップコーンが半分まで弾けるのが半減期と言うところでしょうか。 同じPA-1000が「0.266〜0.275μSv/h」となるのは、測定した時間の範囲で空間にある放射性物質の原子核の崩壊にばらつきがあったからです。 長い時間かけて平均値を出せば、値はもっと近いものになるでしょう。 数分の計測で出てくる0.01〜0.1μSv/hの差は、ばらつきの範囲にとどまります。 食品の計測に、それで役に立つのでしょうか? 実は今検証している「食品の放射能検査」と言うのは、人のスクリーニングと同じ考え方に基づいています。 放射線の種類は分からなくても、放射線量が基準値を越えているかどうかは、この種の計測器で判断することができます。 計測する食品は細かくカットしてPP袋に入れV5容器(500g)にセットし、センサーを内部に入れて測定できるようにします。 測定テストでは「桃」「スモモ」「ジャガイモ」「トマト」を計測してみました。 参加企業の食品は、牛乳、味噌、米、塩、桃、牛肉などがあり、それぞれ企業の担当者が手順にしたがって計測を行いました。 この計測法は、平成14年3月に厚生労働省が作成した「緊急時における食品の放射能測定マニュアル」に基づいて行っています。 どれも放射線量は制限値を大きく下回り、問題はありませんでした。 肉類では放射性セシウムが500Bq/kgが摂取制限の対象となっていますが、今回計測した牛肉では全く問題の無いことが確認されました。 これは計測前に、個体識別番号からも放射能の汚染が無いことは分かっていましたが、それが実証されたわけです。 それでも、この牛肉は販売することができません。 食肉卸の社長さんは、この肉をカットするのを他人に任せることができませんでした。 実証されたうれしさよりも、販売できない悔しさを誰にぶつけたらよいのか。 生産農家に牛一頭5万円で何が解決すると言うのでしょうか。 誰も放射能に汚染された食品を売りたいとは思っていません。 でも、汚染されていないものも一緒にされて破棄させられるのは、あまりにも理不尽です。 もうすぐ米の収穫期です。 どこかのテレビ局での放送事故のように、いわれのない風評被害がまた広がりかねません。 8月は、実測事例を積み重ねて行政との連携を確立させたいと思っています。 その結果は、9月6〜9日のギフトショーの飲食部門「グルメ&ダイニングスタイルショー」で発表することになりました。 ここで発表するノウハウは、全て公開します。 放射能との戦いは、しばらく続くことになるでしょう。 パニックを起こさないように、冷静に安全を確認して行きたいと思います。 http://www.daiichiinsatsu.co.jp/img_ban/000_ban_fukutoriban234_60.gif
福の鳥←福島の地域興し〜復興プロジェクトを企画実践しています。 |
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>実証されたうれしさよりも、販売できない悔しさを誰にぶつけたらよいのか。生産農家に牛一頭5万円で何が解決すると言うのでしょうか。
本当に・・・本当に・・・悲しいですが、こうして地道な姿勢がきっと未来へとつながること、信じたいです。
2011/8/8(月) 午後 8:47
おやつやさんが理解されている通り、放射能は現実にそこにある問題です。
この国で暮らす限り、そこから逃げるわけにはいきません。
先をみて、それぞれの人たちが、今できることを続けること。
それだけが、自分たちの未来につながる道だと思っています。
2011/8/8(月) 午後 11:22
先日、スーパーでみたこと、感じたことを記事にしました。
参考になればと思い、今朝書いた記事をトラバしますね。
ご存じ化もしれませんが、首都圏のある消費者、販売者側の一辺を知ることも必要かもと・・・。
2011/8/9(火) 午前 6:56
福島の人たちも情報がなければ同じです。
何とか、このようなシステムが動き出して、安心して購入できるようにしたいと思います。
こちらもトラックバックさせていただきました。
2011/8/9(火) 午前 10:50