神田のガリレオ

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 2008年6月16日号の日経エレクトロニクスが届きました。今回は、「無線の行方はアンテナが決める」が特集です。私もこれからの無線通信のキー技術はアンテナであるということを講演でお話します。日本にはアンテナの技術者が本当に少ないと思います。

● マルチアンテナ技術 ・・・ マルチアンテナ、すなわち、複数のアンテナを用いた技術です。マルチアンテナは大きく分けて

(1)個々のアンテナの干渉をうまく利用したマルチアンテナ

 SDMA(Space Division Mutiple Access : 空間分割多元接続)技術として注目されるアレイアンテナの世界です。複数のアンテナ(素子アンテナ)の個々の給電点の位相と振幅を制御して、鋭い指向性を得て通信相手にビームを絞り込みます。(ビームステアリング技術、ビームスイッチング技術)

 素子アンテナの給電点に、高周波部品による可変位相器や可変アッテネータを用いた第1世代のアンテナシステムを「フェーズドアレイアンテナ」と呼びました。現在、位相や振幅の制御をベースバンドで行ってしまう無線通信機でいうソフトウェア無線のようなアンテナシステムがあります。これを「スマートアンテナ」と呼び、第2世代のアレイアンテナとして進化してきました。アンテナが、ディジタル信号処理や電子回路と融合し、SDMA(空間分割多元接続)が実現しました。

 通信したくない相手に電波を吹かない(受けない)技術もスマートアンテナで実現できます。(ヌルステアリング技術)

(2)個々のアンテナが干渉しないようにしたマルチアンテナ

 日経エレクトロニクスの特集記事で扱われていた、MIMO(Multiple Input Multiple Output)がそのアンテナシステムになります。これは通信の高速化を達成する新技術として、非常に旬な話題です。アンテナが、ディジタル信号処理や電子回路と融合し、SDMA同様に、MIMOも実現しました。私のコメントも、この日経エレの記事の中で2ケ所に出てきますが、本記事は、アンテナについてトレンドをうまくまとめた記事と思います。

 「MIMO」は、今までの通信屋さんの常識の「シャノンの定理」を超えてしまう通信容量(MIMOの条件を理解すれば、MIMOもシャノンの定理で説明できます)が実現でき、戸惑われている方も多いと思います。

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 アンテナは、案外、専門家でも、他の人が設計した内容がわかりにくくなってきたのも最近のアンテナの傾向です。アンテナ本来の特性のみでなく、アンテナがディジタル信号処理や電子回路と融合した「アンテナシステム」となった結果、想像もできない高いパフォーマンスを得られるようになったことが原因と思います。

 また、今まで、アンテナは、製造メーカーからみますと単価の安い一つの部品にすぎないという見方が多く、アンテナに対して誤った認識があったりもしました。以下の内容は、今回の日経エレクトロニクスの記事には出ていませんが、私が講演したNEアカデミー(日経BP社主催の講演会)で話をした内容です。アンテナの間違った認識の事例としては、

 .咫璽猊が広く,利得の高いアンテナを作ってください。

[理由]: アンテナの利得は、アンテナのビームをある特定方向に絞り込むことによって、その方向にエネルギーを集中させることによって高くできます。高い利得を望む場合は,ビーム幅は狭くなります。

◆“鷯錣望形(アンテナの放射素子に関しては「小形」を使うことが多いですが、アンテナシステムでは「小型」を使うことが多いです。)のアンテナでビーム幅が狭いアンテナを作ってください。

[理由]: アンテナを小形にしてゆくということは、その極限はアイソトロピックアンテナ(点アンテナ)の放射に近づいてきます。すなわちアンテナからの放射は球状である全方向無指向性アンテナに近づいてゆきます。しかし、全方向無指向性アンテナの実現は、それはそれで難しいです。

 アンテナはパッシブ素子だから歪が出ない。

[理由]: 大電力送信用アンテナの給電点において、そこで異種の金属(例えばコネクタ側は銅,アンテナの放射素子側は真鍮)で接続されていると、そこにはダイオードが形成されて、大電力を入力すると、放射電波では歪や混変調が生じます。これをパッシブインターモジュレーションと言います。

ぁ‐形アンテナでも大きなアンテナと同じような利得のアンテナを設計してください。

[理由]: アンテナを小形化すると、アンテナの放射抵抗(外形寸法がλ/20くらいまでのアンテナでは、放射抵抗はアンテナの大きさに比例すると考えてよい)は低下すると同時に、放射効率も低下します。アンテナの利得は放射抵抗や放射効率に依存しますので、アンテナを小形化すると利得も低くなります。

ァ‐形アンテナで周波数帯域の広いアンテナを設計してください。

[理由]: アンテナの形状を工夫し利得を若干犠牲(損失を大きくすれば)にすることになりますが、ある程度の周波数帯域は確保できます。しかし、小形アンテナは、利得を保持しようとしますと、一般的には周波数帯域は狭くなります。

Α.▲鵐謄覆鯀置に組み込んだら共振周波数がずれてしまった。悪いアンテナだ。

[理由]: アンテナは性能が良いアンテナほど、周囲の影響を敏感に受けます。すなわち、装置に組み込んだら共振周波数がずれてしまうアンテナほど、性能が良いアンテナなのです。「このアンテナを装置に組み込んだら、カタログと共振周波数がぜんぜん違う。ひどいアンテナだ。」ということは誤りです。装置に組み込むアンテナは、装置に組み込んだ環境でアンテナの共振周波数を目的の周波数になるように設計(調整)することになります。

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 これからの移動通信は、進化するアンテナが要素技術になることは間違いないと思います。

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