神田のガリレオ

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 4月からの新年度を迎えるにあたり、各企業様からのお問い合わせが増えてきました。この数年間、私の会社も人体通信を含めた近距離無線の仕事が主体になっていましたので、近距離無線に関するご相談が多いですが、今年の特徴は、そのお問い合わせをいただく業種が増え、新たな産業が立ち上がることを予感(実感)します。

 私もテレビ番組などで医療ICTの話をしていたこともあり、私の会社は情報通信関連企業ですが、今の時期にお問い合わせをいただくのは、情報通信関連企業以外に、医療(機器)関係、自動車、物流、ロボット産業、家具(寝具、トイレなども含む)、衣料(アパレル)関係、おもちゃ関係の企業様からのお問い合わせもいただきます。


・ 技術の動向

 毎年2月から3月は、4月と10月移行のお仕事の御引き合いをいただく時期ですが、今年も昨年と同じく、公衆回線系(携帯電話、WiMAX、WiFiなど)は、お問い合わせは海外の企業からばかりでした。

 携帯電話は、世界中で無線通信に割り当てられる周波数が異なることもあり、ソフトウェア無線技術を用いた、周波数が変わろうと変・復調の方式が変わろうと、その地域ごとに順応するコグニティブ無線のご相談が増えてきました。基地局から送られるソフトウェアで、自分の姿を変えてしまう変幻自在な無線端末ですが、私の会社のようにハードウェア(アンテナや高周波回路)を設計する会社でも、数年前とは仕事の内容が変わってきましたので、ハードウェアの考え方も必然的に変わっています。

 以前は、私の会社では、回路を設計し、プリント基板レベルの試作を行い、性能を確認するという業務がほとんどでしたが、最近はソフトウェア無線用の IC を意識したハードウェアの設計内容になってきました。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、過去に比べると、これからの無線端末の高周波回路の規模は少なくなるでしょう。一方で、その回路の考え方が変わって、ある意味、言葉は悪いですが、回路の性能がほどほどであればソフトウェアで電気的な性能を補ってくれることになります。しかし、回路の設計がそれで楽になったわけではなく、その分、回路でできることの範囲が増えてきますので、回路とソフトウェアを組み合わせることにより、どんな新しいことができるが、また、それは何かを考える必要が出てきます。

 また、アンテナは、以前は通信の周波数に同調させ、回路とアンテナの間に、その接続損失を最小限にするようなインピーダンス整合回路を設計し、回路として基板上に載せていました。ところが、昨年、話題になりました iPhone4 で、端末に内蔵したアンテナを、操作する人の手が覆ってしまってアンテナの特性が劣化することが問題視されました。アンテナの設計者は、アンテナは、端末の外の、周囲の環境に影響されない場所に設置してほしいのが本音ですが、端末のデザインや、一つ端末に、多くの無線(携帯電話、近距離無線、ワンセグ、電子マネー、GPS)機能が入れられ、複数のアンテナを押し込まねばならない状況になっています。アンテナは性能が良いものほど周囲の影響を受けますので、アンテナ単体で良い性能のものを設計しても、端末に内蔵しますと、他のアンテナ、周辺回路、基板、筐体などの影響を受け、性能が劣化します。内蔵アンテナの設計の難しさはこんなところにあります。

 前述のように無線通信は、国ごとの異なる通信周波数が異なることがありますので、その周波数に対応させ、また、使用する環境によってもアンテナが柔軟に対応するように、回路とアンテナの間に入れるインピーダンス整合を自動的に行うオートマチック・アンテナ・チューナーの考え方が必要になってきました。これは、アマチュア無線や、航空機搭載の無線の世界では、半ば常識化しているもので、ある長さの電線を無線機につなぎ、いろいろな周波数で電波を出せるように、アンテナ・チューナーというものが昔から広く用いられています。このノウハウが小型の携帯端末の中にも入り込んでくることにより、これからのコグニティブ無線の世界には、小型広帯域アンテナを搭載し、世界中で数百MHzから数GHzに一本のアンテナで対応するようになるかもしれませんが、MIMOやダイバーシチを考えるとどうなっていくのか ・・・ 各社の考え方(割り切り方?)に大変、興味があります。

 これから当面の無線端末は、ほとんどの機能がワンチップICに入ってしまいますので、外付けの部品は、双方向通信を行うためのデユープレクサ(FDD方式)か高速のスイッチ(TDD方式)、広帯域小形(小型と同義)アンテナ、高CN比の広帯域発振器(VCO)、高周波の可変帯域フィルタくらいかなと思ってしまいます。


・ 医療ICT

 近距離無線で注目を浴びているのは、医療分野への応用です。1月7日に、私は東大病院で医療ICTや在宅で安心して患者さんが生活できるためのICT(Information and Communication Technology)の講演をしました。医師の方々、医療機器メーカーの方々以外に、新たな市場への期待感があるので、情報通信機器メーカー、部品メーカー、素材メーカー、電線会社、計測器メーカーからのご参加が多かったです。特に計測器メーカーからのご参加が多く、医療ICTへの新市場が期待されています。このときの講演資料は以下のURLに起きました。ご興味のある方はダウンロードされてください。

http://amplet.com/nebiya/20110107.pdf

 昨年の福祉ロボット関連の研究会で講演したときに御聴講いただいた方から、米国のMBAN(Mobile Body Area Network)の情報をいただきました。2011年1月、ヘルスケア企業と航空業界は,モバイル人体近傍通信(MBAN・・・FCCが2010年に提案した米国全国規模の計画)の認可を早急に行うようにFCCに対して要求しました。MBANは 2.36〜2.4、2.3〜2.305、2.395〜2.4、2.4〜2.4835GHz、そして、5.15〜5.25GHzの周波数帯を利用する予定とのことです。

 医療ICTについては、私も今、雑誌の原稿と、単行本の原稿を書いています。今年の夏ころに出版(刊行)される予定です。


・ 私の講演会

 久しぶりにワイヤレス製品の企画から量産までのテーマと、人体通信のビジネスについてNEアカデミーで、3月23日に講演することになりました。詳細は、以下のURLをご参照ください。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/SEMINAR/20110128/189136/


・ 大学での公開講座

 4月から東京電機大学にて社会人向けの公開講座「ユビキタス無線工学」を、私が今年も担当します。東京の神田校舎での講義は今年で最後で、来年からは足立区北千住に校舎が移転します。秋葉原や御茶ノ水、神田から近い神田校舎での講義が今年で最後かと思うと寂しい気持ちがしますが、北千住の駅前では、新校舎の工事が着々と進んでいます。東京スカイツリーの工事とともに、工事の状況が気になっています。

http://tdu.syllabus.eblo.jp/view/course_print.php?doc_no=12167

・ 近々の展示会情報

 以下に近々の展示会情報を書きました。私も情報収集に行く予定です。

http://www.amplet.co.jp/expoj.html

閉じる コメント(4)

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通信のプロなんですね!
携帯電話、WiMAX、WiFiは、会社でもいろいろと調べています。ある会社の話ですが、通信回線をソフト的に専有する事ができると聞きビックリしました。技術は日々進化していますね!

2011/2/12(土) 午後 7:36 [ wlc ] 返信する

WLCさん こんにちは

通信に関する仕事に携わっています。技術の進化は本当に速く、ついていくのが大変です。

このブログの内容は、メルマガでみなさまにお送りしている内容でした。メールアドレスをお知らせいただければ、リストに登録いたします。

2011/2/13(日) 午前 6:40 drnebiya 返信する

おはようございます ^^

先生、新年度&新学期もお忙しい様ですね!
記事拝読するとアンテナ部隊・・大変そう。。
ケータイのメーカ退社して8年も経ってしまい
ました(^^;) 今日は母と散歩に出掛けます♪

2011/2/19(土) 午前 6:10 テクコ 返信する

テクテクさん こんにちは

携帯電話のお仕事のオファーは海外ばかりになってしまいました。日本もがんばってほしいですね。

今日も本の原稿を会社で書いています。

2011/2/19(土) 午後 0:51 drnebiya 返信する

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