楽興の時・音の絵

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■松竹10月公演「カエサル――『ローマ人の物語』より」
2010年10月3日(日)15時開演 日生劇場

 作家の塩野七生が1992年からの15年間にわたり書き下ろしてきた『ローマ人の物語』は、のべ920万部の売り上げを誇る大ベストセラーだ。ユリウス・カエサルは、この大作のなかでも塩野氏がもっとも惚れ込んでいる人物であり、単行本で2冊分、文庫本なら6冊分もの分量を当てて、その生涯を描き出している。今回の舞台は、この作品をもとに、松竹傘下にある劇団新派の座付き作家・齋藤雅文が脚本化を試みている。演出は栗山民也。知人が出演していたこともあり、その初日を観た。あらすじは以下のとおり。

 紀元前1世紀――。混迷の時代を迎える共和制ローマ。混迷の時代を迎える共和制ローマ。建国以来、拡大と繁栄の一途をたどった共和制下のローマだったが、その拡大ゆえに国内では矛盾が累積し、内乱と危機の時代を迎えていた。敵対勢力から逃れて雌伏の青年時代を送っていたカエサルは、軍事的な才能や弁舌の才。資材を投じた事業などを駆使して次第に頭角を現す。そして8年にわたる遠征で、ローマを長く苦しめてきたガリア諸民族をついに屈服させ、決定的に民衆の支持を得ることになる。しかし、カエサルひとりが大きな軍事力を民衆の支持を得ることに危惧した人々は、建国以来の政体である共和制を盾にカエサルを追い落とそうと画策する。「賽は投げられた!」――苦渋の決断の末、ルビコン川を渡り自国ローマに進軍したカエサルはついに共和制派と対東方諸国を舞台とする最後の大決戦を辛くも制し、エジプトをもその影響下におさめた彼は、ついに唯一人の統治者としてローマに凱旋する。こうしてその巨大な姿を見せ始めた「新しいローマ」を平和裡に統治するためには、新たな国家像が必要だった。しかしこの「国家改造」の途半ば、カエサルを共和制派の凶刃が襲う……。「ブルータス、お前もか!」(公式ホームページより)

 意欲的な舞台ではある。なにせ文庫本で6冊分に及ぶカエサルの事績を劇化しようとすれば、どこかに話を絞らないと散漫になりかねないだけに、脚本を担当した齋藤雅文がどう料理するのか興味をもって観た。第1幕はいわゆる「ルビコンを渡る」に至る過程をいくつかのエピソードを紹介しながら描くという仕立て。第2幕では、ポンペイウスが殺された後、エジプト遠征からブルータスに殺されるまでを描いている。栗山民也演出のテキパキとした人物の出し入れと場面転換で、弛緩を極力防いだ舞台になっていることは確かだ。しかしながら、率直な感想を言えば、全体として「大河ドラマの総集編」のような感じは否めない。おそらく齋藤も脚本家にあたってその弊を避けようとしたのか、愛人セルヴィーリアの奴隷であるアリスなる人物を登場させたり、キケロを最後まで登場させたりして、彼・彼女らにカエサルの人物像を語らせるという工夫をこらしてはいる。だが、第1幕ではカエサルがかなり長くお休みしている印象だし、第2幕になってカエサルの苦悩が独白などによって多少描かれるが、人物像の掘り下げはいま一つ深まらない。塩野七生の原作本があまりに面白いので、それを2時間枠におさめようとすると、どうしてもそうならざるを得ないのだろう。

 演技について。カエサルの松本幸四郎についていえば、威風堂々とした立ち居振る舞いはさすがで、「ローマ」の「ロ」を巻き舌にするなど独特の科白まわしが耳に残るが、科白の聴き取りにくいところがところどころ気になった。女優陣では、セルヴィーリア役の高橋惠子が、気品と色気を程よくミックスさせていて、いくつになっても美しいなと思う(管理人は映画「高校生ブルース」「おさな妻」や「太陽にほえろ」伸子役などを結構よく見ていた)。その召使アリス役の水野美紀は、ボーイッシュでバタバタと走り回る元気な娘という役どころが狂言回し的で面白い。他方、クレオパトラの小島聖は、割と好き女優だが、このエジプトの女王を演じるにはもっと艶っぽさがほしい。男優陣では、「三頭政治」のあとの二極をなすポンペイウスの瑳川哲郎、クラッススの勝部演之の2人が、いかにも重厚な演技で舞台を引き締めるが、第2幕になるとほとんど出てこないので、いささか勿体ない印象。キケロを演じた渡辺いっけいの演技は、情けない感じをかなり強調していてユニーク。これにたいして、ブルータスの小澤征悦は、融通のきかない一本気な感じが前面にでる。その他では、ラビエヌスに扮した劇団青年座の檀臣幸に存在感があった。

【データ】
 原作:塩野七生
 脚本:齋藤雅文
 演出:栗山民也

 カエサル:松本幸四郎
 ブルータス:小澤征悦
 クレオパトラ:小島聖
 オクタヴィアヌス:小西遼生
 ポンペイウス:瑳川哲朗
 クラッスス:勝部演之
 アリス:水野美紀
 キケロ:渡辺いっけい
 セルヴィーリア:高橋惠子
 バルブス:ガリア人の召使:久保酎吉
 ラビエヌス:檀臣幸
 マルケルス:松井工
 ディヴィチアヌクス:佐藤祐四
 カルプルニア:高橋礼恵
 パルシア:今井あずさ


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